中学受験で要注意「こんな校長先生はダメだ」! 学校説明会のスピーチで「○○自慢」は、候補校から外すべき!?

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2021年04月25日 19:02  サイゾーウーマン

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サイゾーウーマン

 “親子の受験”といわれる中学受験。思春期に差し掛かった子どもと親が二人三脚で挑む受験は、さまざまなすったもんだもあり、一筋縄ではいかないらしい。中学受験から見えてくる親子関係を、『偏差値30からの中学受験シリーズ』(学研)などの著書で知られ、長年中学受験を取材し続けてきた鳥居りんこ氏がつづる。

 どこの世界でもいえることではあるが、組織にとって、やはりトップは大事。その組織が生きるも死ぬもトップの力量次第ということは、皆さんも経験上、ご存じのはずだ。学校もまさにそうで、特に私学の場合、トップのリーダー力が、学校全体に大きく影響するという面は否めない。

 なぜならば、私学はそれぞれの確固たる教育理念の下、人を育てるという理想像を追求している組織だからだ。時代によって、理想像は変化して当然なので、トップには時流を読む力が必要になる。その航路を示した上で、学校全体を率いなければ、この少子化時代、ヘタをすると“お取り潰し”(=閉校)という危機を招きかねないのだ。

 筆者は中高一貫校を中心とした学校取材を数多くこなしているが、十人十色ならぬ十校十色ともいえるほど、一つとして同じ空気を持つ学校がないと実感している。さらに、同じ学校であったとしても、新校長就任などによって、その雰囲気がガラッと変わることは、特に珍しくも何ともない話である。

 この「学校トップ」とは、経営のことでいえば、理事長を指すことが多いが、生徒や保護者に直接関わるという面でいえば、校長先生がそれに当たるだろう。校長先生の話を受験生保護者が聞ける機会は、学校説明会だが、これだけでも大まかにわが子を任すに足る学校なのかは選別できる。

 昨年はコロナ禍の影響で、合同説明会や自校での説明会をオンラインで対応せざるを得なかった。そのため保護者は、学校の雰囲気をつかむのになかなか苦戦されたと思うが、もし今年実現されたら、ぜひ直接出かけてみて、校長以下、各先生方の話に真剣に耳を傾けてみてほしい。

 数年前の話だ。合同学校説明会に出向いた受験生の母・朱里さん(仮名)は、ある校長の話に驚いたという。

 その説明会では、学校トップ陣が入れ替わりで自校を紹介する“5分間スピーチ”というものが行われたそうだ。朱里さんは、自宅から近いという理由もあってX学園の話に期待していたという。ところがX学園の校長は、その5分の持ち時間のほとんど全てを「校長自身の自慢話」に費やした。どうやら、新任としてよその学校から移って来たばかりのため、自校のことを語れなかったという背景があるようだが、朱里さんはX学園への興味が失せてしまった。つまりその瞬間、受験校候補からX学園を外したというのだ。

 中学受験界は、「ママ友情報」という口コミ情報が幅を利かせる世界でもある。そのせいかは判断つかないが、朱里さんをガッカリさせたX学園は、人気度としては低迷している。

 このように学校説明会で、トップが“本人の自慢話”をするケースは意外と多い。もし、ここで、保護者に受験校候補選びのアドバイスをするのならば、「トップが自分の自慢話をするのはNGだが、生徒の自慢話をするのはOK」ということに尽きる。

 学校の主役は「生徒」。次代を担う子どもたちを預かるという責任を熟知しているトップの口からは「生徒のため」という熱い思いしか出てこないものなのだ。

 逆に朱里さんは、同じ説明会の席上で、まったく受験校候補に挙がっていなかった学校が気になったという。

 その学校であるC学園の校長の説明は、こんな感じだったらしい。

「本校の自慢は生徒。本当にウチの子たちは可愛くて! 全員が自慢の子たちです。ぜひ本校にいらして、直接、確認してみてください。いつでも歓迎します」

 後日、朱里さんとお子さんはC学園を訪問し、同校の大ファンになったという。以降、C学園を目指して、親子で受験に取り組んだそうだ。そして、入試当日。保護者控室の体育館で、その校長先生は次のような話をされたと聞いた。

「今、試験を開始しましたが、皆さんにこれだけは申し上げたい。結果はどうあれ、中学受験をした経験は決して無駄にはなりません。小学6年生が受験に臨むというのは、本当に本当に大変なことです。でも、間違いないことは、お子さんはこの経験を通して大きく成長しているという事実。あなたが一生懸命、育ててきたからこそ、こんなに素晴らしい子になっている。どうか試験が終わって、お子さんを迎えたならば、この試練に正々堂々と立ち向かったお子さんを褒めて、抱きしめてあげてください。私からのお願いです」

 朱里さんは、子どもと自分の頑張りを認めてくれた校長の言葉に涙。ふと気付くと、周りの保護者たちも目頭を押さえていたそうだ。ついでに見渡すと、控室に待機していた先生方も同時に目を潤ませており、朱里さんは校長先生の人望の厚さを感じたという。

 朱里さんのお子さんは見事にC学園の激戦を突破。お子さんの話によると、やはり校長先生は生徒から大人気だそうだ。校長室はいつも、校長先生と話したいという生徒で混雑しているそうだ。

 受験校をどうやって選べばいいかわからないという保護者には、やはり「トップを見る」ことをオススメしたい。

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