女子バレー代表の正セッターは誰が良いのか。竹下佳江が名前を挙げた

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2021年04月30日 11:41  webスポルティーバ

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竹下佳江インタビュー
名セッターが見る現在の女子バレー代表

 日本バレー界は男女とも日本代表の活動が本格化し、5月1日、2日に中国との親善試合(女子は1日の試合のみ)、5月下旬からイタリアで開催されるネーションズリーグを戦う予定だ。

 女子バレー代表でファンが注目する点のひとつが、リオ五輪後から固定されていない正セッター争いだろう。東京五輪を控えた今年度の全日本の登録メンバーには5人のメンバーが名を連ねているが、どの選手がレギュラーの座を掴むのか。長らく代表の正セッターとして活躍し、2012年ロンドン五輪では銅メダルを獲得した竹下佳江(ヴィクトリーナ姫路・取締役球団副社長)に現在のセッター陣について聞いた。

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――今年度の代表登録メンバーの中で、特に期待している選手はいますか?

「荒木絵里香選手ですね。北京やロンドン五輪で一緒にプレーしたメンバーが健在なことは、私もすごくパワーをもらいますし、まだまだ頑張ってほしいです」

――大きな注目ポイントが、昨年に引退した新鍋理沙さんが抜けたライトのポジション。新鍋さんのようにサーブレシーブがうまい選手を入れるのか、逆に攻撃力が高い選手を入れるのかが気になるところです。

「新鍋さんはサーブレシーブのスペシャリストでしたし、同じタイプで代わりになる選手がすぐに出てくることはなかなかありません。今シーズンのアタッカー陣を見ると、多少サーブレシーブが崩れても、ハイセット(2段トス)を打ち切れる選手を揃えている印象です。ディフェンス面は、最低限Bパス(セッターが少し動かされるサーブレシーブ)で抑えられる選手でまとめていくのかな、と思います」

――アタッカーの中心は、レギュラーシーズンを全勝で終えた東レ・アローズの黒後愛選手、石川真佑選手といった若いエースたちになるのでしょうか。

「その2人はもちろん、今シーズンはNECレッドロケッツの古賀(紗理那)選手もすばらしい活躍でした。ディフェンス面に注目すると、身長は173cmと小柄ですが、JTマーヴェラスの林(琴奈)選手も面白いですね」

――竹下さんが現役時代にプレーしていたセッター陣についてはいかがですか?

「この4年間でセッターが固定されなかったことは、正直、不安を感じます。監督の(中田)久美さんもセッターでしたから、特に強いこだわりがあると思うので、どうまとめていくかに注目しています」

――シーズン全勝の東レを退け、Vリーグ2連覇を果たしたJTから籾井あき選手が初招集されました。まだ20歳で、国際経験が乏しいといった点を不安視する声もありますが、竹下さんの印象は?

「この2年間で、彼女が『コートに立つ』『勝つ』という経験値を積み重ねたことは、高く評価していいと思います。組み立ての部分は『トスがオポジット(セッター対角)に偏る』ことも指摘されていますが、JTには191cmの絶対的な外国人エース(アンドレア・ドルーズ/アメリカ)がいるので、その安心感に頼った部分もあるんでしょう。

 今の日本代表には、そんな大型で攻撃力の高いオポジットがいませんから、コンビネーション、組み立てがより重要になります。籾井選手がどこまでやれるかは未知数ですが、監督やコーチが教えることで大きく成長することを期待しています」

――これまでに招集されていた、佐藤美弥選手(日立リヴァーレ)、田代佳奈美選手(デンソーエアリービーズ)、関菜々巳選手(東レ・アローズ)についてはどう評価していますか?

「まず佐藤選手については、チームメイトとうまくコミュニケーションを取っていて、セッターとしての評価はすごく高い選手だと思います。ただ、ケガの状態が心配ですね。今シーズンも、リーグ序盤以降は出場がなかったですし、代表での練習などで見極めが必要だと思います。

 一方の田代選手は、非常にパス力が高く、サーブもいい選手です。それでもチームでレギュラーに定着できないことには、監督から見て何かしらの理由があるんでしょうね。個人的には、組み立てに偏りが出ることがあるのが気になります。また、(2018−2019シーズンに)海外リーグ(ルーマニア)でプレーしてVリーグに復帰した際も、少しコンディションを落とした印象がありました。

 関選手は21歳ですが、今シーズンの東レは全体的に若い選手たちが中心になっていました。その若い選手たちがキャリアを積んで力をつけたことが、レギュラーシーズンの快進撃につながったと思います。ただ、リーグのファイナル決勝、皇后杯の決勝もJTに敗れたのは、関選手を含めて、若さゆえのもろさが出てしまったのかもしれません」

――経験値の豊富さという点では、中学生でVリーグデビューを果たした宮下遥選手(岡山シーガルズ)もキャリアを積んできた選手ですね。

「そうですね。宮下選手は代表の主力としてプレーしたり、メンバー外になってまた復帰したりと、いろんな経験をすることで視野が広くなってきた印象があります。26歳になり、チーム内でも立ち位置が変わって、精神的に成長してきているでしょう。技術的には、ディフェンス、ブロックが特長の選手。少し不安があったトスも、年々よくなってきていると思います」




――昨年は代表としての活動が制限され、これから東京五輪に向けてチームを仕上げていく中で、チームの司令塔であるセッターにはどんな選手を据えるべきだと思いますか?

「合宿などを見て監督が判断する、ということは前提ですが、田代選手を選択するのかな、と思っています。彼女はリオ五輪も経験していますし、先ほど話したようにハイセットを打ち抜くアタッカー陣を揃えているという点でも、パス力がある田代選手にセッターを任せる可能性はあるんじゃないかと」

――竹下さんも長く日本代表のセッターとしてチームを引っ張っていました。東京五輪の開催は不透明な部分もありますが、五輪イヤーはどのようにチームがまとまっていくのでしょうか。

「私が現役の時は、5月に行なわれる最終予選で出場権を取らなければオリンピックに出られない、という緊張感の中にいました。そこは、自国開催で出場が決まっている今の代表チームとは状況が違います。ただ、今後の国際試合などを経て最終的にメンバーが発表されたあとに、もうひとつスイッチが入ることになると思います」

――最後に、代表の選手たちにエールをお願いします。

「五輪が自国で開催されることがきまってから、そこに焦点を合わせてプレーしてきた選手も多いと思います。ただ、コロナ禍でそんな気持ちを口に出して言えなかったり、いろんな葛藤がある選手もいるでしょう。それでも、五輪という大舞台に立ってプレーできることは当たり前のことではないですし、今年の代表選手たちには後悔がないプレーをしてほしいです。私もスポーツの現場にいる人間として、日本や世界のみなさんに希望や勇気を届けるようなプレーを期待しています」

(竹下佳江が振り返るバレー人生 前編>>)

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