“ウマ娘”効果で支援者1万人超え! ナイスネイチャ 5回目のバースデードネーション

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2021年05月05日 09:10  netkeiba.com

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写真今なおファンから愛されているナイスネイチャ(ユーザー提供:すみれさん)
今なおファンから愛されているナイスネイチャ(ユーザー提供:すみれさん)
【佐々木祥恵(競馬ライター)=コラム『第二のストーリー』】

◆長い間がんばってきた馬たちへプレゼントを

 ナイスネイチャの誕生日の4月16日から5月17日までの間、ナイスネイチャ・バースデードネーションが行われている。この企画は毎年テーマを持って実施されており、昨年はジャパン・スタッドブック・インターナショナルの引退名馬繋養展示事業助成金の受給条件(JRA重賞勝ち馬及び地方競馬で実施されたダートグレード競走の勝ち馬)を満たしている馬のための寄付を募った。というのも飼養者や馬主が助成金の制度を知らなかったり、2万円(地方競馬のダートグレード競走の勝ち馬は1万円)の助成金だけでは飼養経費を賄えないという理由から、繁殖を引退した後は牧場から出て行方知れずになってしまうケースがこれまでもあったと推測されるからである。

 昨年のドネーションでは、404人から1,763,900円を集め、出産、子育てを終えて昨年繁殖生活を引退したエイシンルーデンス(牝25・チューリップ賞、中山牝馬S優勝)をフォスターホースとして迎え入れた。ちなみにルーデンスは、ナイスネイチャと同じ、北海道浦河町の渡辺牧場で余生を送っている。

 今年のドネーションでは、産駒が重賞勝ちを収めているにもかかわらず、自身が重賞を勝っていない馬や、海外から繁殖のために輸入されて助成金の対象にはならない馬たち(種牡馬・繁殖牝馬)に支援の対象範囲を広げ、寄付を募っている。

 引退馬協会ではこれまでスキャンや3月18日に急逝したプリサイスエンドの2頭の輸入種牡馬の余生支援を行ってきたが、このような輸入種牡馬や繁殖牝馬が用途変更になり、気がつけばどこに行ったのかわからなくなっているというのは、よく見聞きする話だ。重賞勝ち馬を輩出して日本の競馬界に貢献した馬たちが人知れず悲しい末路を辿らず、穏やかに残された馬生を過ごしてほしいと個人的にも思うが、引退馬協会では今回集まったドネーションで、そのような馬たちに今後の道筋をつけて、天寿を全うするまで面倒をみる計画だ。

 当初は目標額が2,000,000円だったが、初日に目標額を突破して新たなゴールを3,000,000円に設定し直すも、あっという間に予想をはるかに超えて10,000,000円超が集まった。404人から1,763,900円の寄付が寄せられた昨年の時も「凄いこと」だと引退馬協会の代表理事・沼田恭子さんは思ったそうだ。だが今年に関しては「金額よりも支援してくださった方が1万人以上というのが、本当に凄いと思っています」と驚きを隠せない。

 各所で報道されている通り、これには「ウマ娘 プリティーダービー」という人気のゲームアプリ・アニメで過去の名馬たちに再度光が当てられたことが影響している。過去の名馬の中には有馬記念で3年連続3着となって「ブロンズコレクター」と呼ばれ、その歯がゆさが彼の愛されるキャラクターとして定着したナイスネイチャも含まれている。そのナイスネイチャのバースデーとあって、ウマ娘から来た新しいファンがドネーションに参加したということらしい。

「まさかこのような展開、このようなビッグプレゼントが用意されているとは想像していませんでした。ウマ娘から来たと思われる方々から寄付の際に寄せられたメッセージはとても優しくて心温まるものが多かったですね」(沼田代表)

 と今回のドネーションの感想を語った。引退馬協会に寄付をしたり、フォスターホース会員になるのは、これまでは同じ人が毎年、あるいは同じ人が何度もというケースが目立ち、新規開拓がなかなかできず、ある意味膠着状態が続いていた。だが今回のウマ娘ブームで、これまで超えられなかった壁が一気に取り払われ、新規の層が引退馬支援にドッと雪崩れ込んできたと言ってもよいだろう。新型コロナによってリモートワークが広がったように、一度壁が崩れると世間に浸透するのも早いのではないかと思う。さらにウマ娘から来た新規ファンだけではなく、ウマ娘によって以前の競馬ファンが再び戻ってきて、寄付をするケースもあるようだ。

 この原稿を書いている5月4日13時50分現在、12,982人から27,487,048円の寄付が集まっており、昨年を大幅に上回る額となっている。

◆モットーは“必ず最後まで責任を持って面倒をみる”

 ちなみに今回の寄付は、引退した種牡馬や繁殖牝馬を鹿児島のホーストラストに預託するための諸費用にあてられる。繁殖を引退した馬たちは、それまでいたスタリオンや生産牧場からすぐに出なければならない場合がほとんどで、繁殖として供用されていた馬は馬産地のある北海道にいることが多い。なので鹿児島までの長距離移動に備えて休養する牧場や施設への1か月分の預託料、ホーストラストまでの輸送代、ホーストラスト入厩時に必要な保証金、フォスターペアレント(里親)会員が集まるまでを半年と考えてそれまでの預託料等の諸経費、牡馬の場合は去勢代等が集まった寄付から支払われる。

 これら当面かかる経費を引退馬協会では1頭100万円と見積もっている。実は昨年は1頭につき諸経費80万円の計算だったのだが、高齢になればなるほど体への負担がかかっているケースも見受けられ、その場合は医療費も馬鹿にならない。また前述したように移動に備えての休養期間の預託料が発生するため、昨年から予算を20万円アップして1頭100万円になったということだ。

 だが鹿児島のホーストラストに預託するのは、あくまで「基本的なプラン」と沼田代表は話す。昨年もプリサイスエンド(3月18日急逝)とドネーションで受け入れたエイシンルーデンスの2頭が、休養ののちに鹿児島のホーストラストに移動予定であったが、どちらも疾患等を抱えていたことから、移動を中止して北海道に残った。このように馬それぞれの状態を見定めて繋養場所は決定され、引き取った馬は必ず最後まで責任を持って面倒をみる。それが引退馬協会のモットーでもある。

(つづく)

【注意】ナイスネイチャが繋養されている渡辺牧場は、新型コロナウイルス感染拡大等により、当面の間見学を中止しています。

※馬の見学に際しては、競走馬のふるさと案内所のHPを必ずご確認ください。

このニュースに関するつぶやき

  • 文末の注意書きがめっちゃ大事なんよね。作品のファンが一定のイメージを保てるか、撮り鉄みたいな社会の汚物扱いされるかの分岐点よな
    • イイネ!1
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