巨人の「FA補強」は今後も続く? 生え抜き主体の編成には“致命的な弱点”も

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2021年05月05日 18:00  AERA dot.

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写真昨オフはDeNAからFAとなった井納(左)と梶谷(右)を補強した巨人 (c)朝日新聞社
昨オフはDeNAからFAとなった井納(左)と梶谷(右)を補強した巨人 (c)朝日新聞社
「24:41」

 巨人における「移籍選手」と「生え抜き選手」の比率だ(支配下選手のみ、5月3日現在)。いまだ移籍選手頼りのチーム編成の根底にあるのは、勝利への執着心だ。

 NPB支配下登録選手の上限70人のうち、巨人は65人を使っている。約3分の1を超える24人が他球団からの移籍、もしくは外国人選手だ。対照的にソフトバンクは「9:59」で、支配下登録68人中11人が育成ドラフト出身なのも特筆すべき点だ(巨人は育成ドラフトから5人)。

「巨人は自前選手を大事にすることを宣言している。今年のキャンプも身長2メートルの新人、秋広優人がレギュラー奪取の可能性を見せ話題を提供した。育成から支配下登録した選手も出てきているが、まだ他球団からの補強に依存している。ソフトバンクのようになるには時間がかかります」(巨人担当記者)

 巨人といえば他球団からFAとなった選手を補強するイメージがある。打者では落合博満(前中日、93年オフ)を筆頭に、広沢克己(前ヤクルト、94年オフ)、清原和博(前西武、96年オフ)、江藤智(前広島、99年オフ)、小笠原道大(前日本ハム、06年オフ)、村田修一(前横浜、11年オフ)などビッグネーム揃い。投手でも川口和久(前広島、94年オフ)、工藤公康(前ダイエー、99年オフ)、杉内俊哉(前ソフトバンク、11年オフ)などエース級を獲得した。

「FA制度導入当時は、球団経営で自立する概念を持っている球団は少なかった。セ・リーグは巨人戦の集客や放映権頼み。パ・リーグは何かなければ注目されない状況。巨人戦はテレビ地上波でも放送されていた時期で、選手なら巨人に行きたいのが当然だった。選手も集めやすかった」(当時をよく知るスポーツライター)

「93年にFA制度が導入された。選手会はそれ以前からFA制度採用を訴えていたので、要求が通ったように見えた。しかし実際は巨人の思惑が通った形で、同時にドラフトでの逆指名制度も取り入れられた。知名度抜群の人気球団の巨人は、ドラフトで有望選手、FAで実績ある選手を集めやすくなった」(在京スポーツ新聞デスク)

 補強で巨大戦力を手にしたが、爆発的な強さは発揮できなかった。また他球団の主力を相次いで奪うことで、世間からバッシングも生まれ始める。球界再編などもあり、球団内でも自前選手を育てる重要性が議論され始めた。坂本勇人や岡本和真など『生え抜き』の主力も出現した。しかし現実的に、いまだ移籍選手に頼らないといけない体質は変わっていない。

「育成方法が言われるが、その前の入り口であるスカウティング能力が低い。スカウト部にはフルタイムで10人前後の人材がいて、全国をカバーする。しかし地方球界や独立リーグなどでは、注目選手が登場する時以外、巨人スカウトをあまり見かけない。埋もれている好素材が見つからない理由かもしれない」(アマチュア野球に詳しいスポーツライター)

「入団してから故障が発覚、悪化する選手が目につく。素材が素晴らしくても、高額な契約金でドラフト上位で入団して別メニューでは話にならない。中央球界の即戦力選手を指名する方針なら、練習も含めて徹底的にマークして故障持ちかどうかの判断はできる。昨年も手術経験者2人を上位指名しているが、先行きは不安です」(巨人担当記者)

 過去にも17年1位の鍬原拓也は、入団時から右ヒジの違和感がありキャンプから三軍スタート。3年目の20年には右ヒジを骨折して同年オフに育成選手となった。19年1位の堀田賢慎も入団直後にトミー・ジョン手術を受け、入団1年で育成選手となっている。また20年1位の平内龍太は大学4年春に右ヒジのクリーニング手術、2位の山崎伊織も右ヒジのトミー・ジョン手術を受けている。可能性に賭けたと言えばそれまでだが、ギャンブルと言われてもしょうがない。

 ドラフトで即戦力が獲れない。将来性豊かな選手も見つけられない。下部組織から上がってくる若手が少ない。それならば他球団からの補強に頼らざるを得ない。FA、トレードを最大限駆使して足りない選手を獲得する。すでに試合に出ている選手でもあるので、長短所はわかっている。大きく外すリスクも低い。

「18年オフに丸佳浩を広島から獲得した際には、各方面から批判が殺到した。あれだけの選手だから、FA権を行使すればどこの球団も欲しい。巨人を選んだのは丸自身の権利だった。また長年センターラインに悩まされていたこともあり、最大の補強ポイントだった。勝つためには当然の戦略であり、それが当たってリーグ優勝もできた」(巨人関係者)

「今年もDeNAからFAで井納翔一と梶谷隆幸が加入した。先発、ブルペンを両方こなせる井納と外野すべてを守れてスピードある梶谷。予算など含めて余裕があったので獲得したのだから、問題はない。シーズン通じて活躍できなくても、調子を見極めて使えば良い。また賛否両論あるだろうが、相手戦力を低下させることもできる。今年のDeNAを見れば効果的面なのがわかる」(巨人担当記者)

 巨人は勝たなければならない。強くなければ意味がない。

 球団関係者、巨人ファンすべてが望んでいることであり、補強を積極的におこなうのは当然のこと。だが、それに伴い各チーム間バランスが崩れ、リーグ自体に魅力がなくなることを問題視する声もある。しかし巨人ファンにとっては「勝つことが何より大事」という考えがいまだに主流なのは間違いないだろう。

「ファンのためにも、現在のやり方を突き詰め、勝つことが巨人にとって最大のタスク。最大の顧客サービスであり、企業努力として間違っていない。多少の問題はあるが、球界最大派閥である巨人ファンが喜べば盛り上がるのも確か。その巨人に他球団が勝つから、アンチも喜ぶわけです。今後のプロ野球も、そういった流れが続くのではないでしょうか」(在京テレビ局スポーツ担当)

 巨人の補強戦略では、いわゆる「飼い殺し」状態で出場機会に恵まれない選手も出てくる。しかし坂本や岡本のような現主力は、熾烈な戦いに勝ち抜き現在の地位にいる。確固たる意思と覚悟を持って、野球に取り組んでいる選手は頭角を表しチャンスを掴む。

 巨人軍の伝統は勝つことである。巨人ほど勝利への執着心が強く、チーム内での弱肉強食があるチームはない。今季もそんな環境の中で誰が勝ち残るのか、そしてリーグ3連覇があるのか、注目が集まる。











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このニュースに関するつぶやき

  • セカンドリーグの覇者巨人。
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  • 大型補強が目立ちますが巨人は育成もきちんとしてます。今の野球は補強と育成の両輪が噛み合わないと強いチームにはなりません。この両輪が上手く回らないのが阪神だと思います�������������ӻ�������
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