食品には賞味期限があります。期限を過ぎると商品としての価値がなくなり、スーパーなどは廃棄せざるを得ません。
そうした無駄を、人工知能(AI)を活用してなくそうと取り組んでいるスタートアップWastelessのソフトウェアがポーランドのスーパーで試験展開されることになりました。賞味期限が迫った食品の値段をタイムリーに下げて購入を促し、地球に優しく、そしてスーパーと消費者にとってもメリットを提供します。
値下げタイミングをAIが判断賞味期限が近いもの、少し傷み始めた青果などを「20%引き」「半額」などと値引きして売る、というのは珍しくはないでしょう。この値引きの判断をAIが行うシステムをWastelessは構築しました。
プロダクトの賞味期限が近いものほど安い価格で販売するというもので、そのタイミングや値下げ幅などはAIが決めます。商品によっては同じプロダクトでも3種の価格が提示されたりもします。
このシステムを大手卸売スーパーチェーンのMetroが試験導入することになりました。Metroは世界24カ国で678店を展開していますが、まずはポーランドで試験し、その後他国にも広げる考えです。
相互にメリットWastelessによると、ソフトウェアを活用することでフードロスを40%減らせるということです。また、売れ残りを少なくするというのは、廃棄量を減らせることを意味し、店舗にとって売り上げ増と廃棄費用の抑制につながります。
一方で、消費者も安く買えるというオプションを手にします。レギュラー価格と値下げ価格の2つが提示されれば、「今夜食べるから安い方を買おう」ということもあるでしょう。これがフードロスの抑制につながり、と同時に消費者のお財布にとっても嬉しいものでもあります。
実際にスーパーでの活用を通してソフトウェアの向上を図り、開発元は「今後数年でフードロスを80%減らせる」としています。
Wasteless
(文・Mizoguchi)