「子宮頸がん」で手術が必要なケースとは? がんになる前の段階「異形成」からおこなう円錐切除術

7

2021年05月09日 10:00  AERA dot.

  • チェックする
  • つぶやく
  • 日記を書く

AERA dot.

写真※写真はイメージです(写真/Getty Images)
※写真はイメージです(写真/Getty Images)
 20、30代の若い世代から罹患のリスクがある子宮頸がん。子宮頸がんは、女性特有の臓器である子宮の頸部(入り口の部分)にできるがんだ。進行したCIN(がんの前段階)からIIB期までが手術の適応となり、子宮頸部円錐切除術や子宮全摘出術がおこなわれる。妊娠を望む場合に適応される術式もある。さまざまな面を考慮し、選択したい。

【データ】子宮頸がんのかかりやすい年代や主な症状は?

*  *  *
 子宮頸部にできる子宮頸がんには、がんになる前段階の「子宮頸部上皮内腫瘍(CIN)」と呼ばれる前がん病変(異形成と呼ばれることも)がある。CIN1、2では自然治癒や、進行しない場合もあるため、一般的に経過観察がおこなわれる。積極的な治療の対象となるのは、CIN3からだ。

 がんと診断がつけば、進行度やがんの種類などを考慮して、手術、放射線治療、薬物療法から治療法が選択される。

 手術の適応となるのは、基本的にIIB期(がんが子宮頸部の周辺組織に広がっている)までとされている。

 CIN3、またはIA1期(がんが子宮頸部に限られ、深さ=浸潤が3ミリ以内)で子宮を残す希望がある場合には、「子宮頸部円錐切除術(以下、円錐切除術)」が適応される。子宮頸部の病変部分を円錐状に切除する方法で、子宮頸がんの手術のなかでは、最も切除範囲が小さい。経腟的(腟からアプローチする)におこなわれるため、開腹の必要はない。多くは腰椎麻酔で、切除時間は30分程度。入院は病院によって異なるが、3〜4日くらいですむ。

 切除した組織は病理検査をおこない、(1)切除した切り口(断端)にがん細胞があるかどうか(陽性・陰性)(2)がんの浸潤が3ミリ以内か(3)がん細胞が血管やリンパ管に入り込んで(脈管侵襲)いないかなどを調べる。

 たとえば断端陽性(がん細胞が切り口にあって、それ以上に病変が広がっていることが予測される)の場合や、がん細胞が3ミリよりも深くまで入り込んでいると判断された場合には、子宮全摘出術を考慮することになる。一方、断端陰性で浸潤が3ミリ以内、脈管侵襲もなければ、その後は経過観察となる。

 このように、円錐切除術はCIN3、IA1期の治療であるとともに、がんの進行期決定にも不可欠な手技といえる。

■子宮全摘出術は基本的に開腹で

 そのほか、CIN3に対する治療として、「光線力学療法」と「レーザー蒸散術」が挙げられる。

 光線力学療法は、レザフィリンという薬剤を血管に注射する方法だ。レザフィリンはがん細胞に集まりやすく、一定の周波数の光を浴びると、がん細胞を壊す力をもつ。現在は治験の段階で、実施している病院は少ない。レーザー蒸散術はレーザーを照射して、がん細胞を蒸散させる。

 いずれもがん細胞を破壊・蒸散させることから、すべての病変を採取できないため、くわしい組織診断がおこなえず、病期の確定が不可能で、現状では標準的な治療とはいえない。円錐切除術を回避したい場合には、適応をしっかり見極める必要がある。

 子宮全摘出術は基本的に開腹でおこなわれ、切除範囲によって、主に四つの術式がある。

▼単純子宮全摘出術=IA1期に適応
 子宮を支える基靱帯という支持組織などを残し、子宮(体部・頸部)を切除する。入院は約1週間。

▼準広汎子宮全摘出術=脈管侵襲があるIA1期、IA2期(浸潤が3ミリを超え、5ミリ以下)に適応
 子宮、基靱帯や腟の一部を切除する。単純子宮全摘出術と、広汎子宮全摘出術の中間的な位置づけとなる。

▼広汎子宮全摘出術=IB期(IA期を超えるが子宮頸部に限られる)〜IIB期に適応
 子宮、卵巣、卵管、基靱帯、腟の一部、骨盤内のリンパ節を切除(リンパ節郭清)する。切除範囲は子宮全摘出術のなかで最も大きくなる。

 手術では排尿にかかわる神経を傷つけることが多いため術後の合併症として、尿が出にくい、尿漏れなどの排尿障害が表れやすい。完全に回復するまで数カ月かかることもあり、個人差が大きい。

 そのほか、リンパ節郭清に伴い、リンパ浮腫(足のむくみ)が10〜20%に表れる。閉経前の患者で卵巣を切除した場合には、のぼせ、ほてりなどの更年期障害のような症状がみられる。慶応義塾大学病院婦人科診療科部長の青木大輔医師は次のように話す。

「合併症について患者さんには術前に説明しますが、出現頻度や程度を予測することは難しく、いずれもQOL(生活の質)を下げるため、ご本人にとって深刻です。遠慮せずに主治医に話して、症状の軽減を図ってください」

■妊娠・出産を望む場合の手術

 四つ目の術式として、IB1期までで妊娠・出産を望む場合に考慮される「広汎子宮頸部摘出術」がある。子宮体部と卵巣を残し、妊孕性(妊娠・出産できる機能)を温存する術式だ。術後は不妊、流産、早産などのリスクが高くなるため、生殖医療や周産期医療などの総合的な治療ができる病院を選ぶことが肝要だが、実施している病院は多くない。

 なお、子宮頸がん手術では、2018年に腹腔鏡による手術が保険適用になった。がんの大きさが2センチまでが適応の目安とされている。開腹手術に比べて傷も小さく出血も少ないため、からだへの負担は少ない。しかし、骨盤内の再発率や術後の生存期間が開腹術に劣るという試験結果が、同年、アメリカから発表された。それを受けて、日本でも完全な標準的な治療にはなっておらず、日本産科婦人科学会の腹腔鏡下広汎子宮全摘出術登録施設でのみ実施されている。

 県立静岡がんセンター婦人科部長の平嶋泰之医師はこう話す。

「現在、臨床試験の形で日本独自の調査を継続中です。腹腔鏡手術の実施については各病院で考え方が異なりますので、希望する場合は、主治医に相談してみてください」

(文・別所文)

※週刊朝日2021年5月7・14日号より

このニュースに関するつぶやき

  • HPV発がんは男性の場合、陰茎がん、肛門がんに多い。だから諸外国では男児にもHPVワクチン接種を推奨している。
    • イイネ!12
    • コメント 3件
  • HPV発がんは男性の場合、陰茎がん、肛門がんに多い。だから諸外国では男児にもHPVワクチン接種を推奨している。
    • イイネ!12
    • コメント 3件

つぶやき一覧へ(4件)

ランキングライフスタイル

前日のランキングへ

ニュース設定