「お前らは大丈夫」。「アイロンヘッド」を支える先輩の重い言葉 中西正男の「そら、この芸人さん、売れるにきまってる!」【23】

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2021年05月10日 11:21  テレビドガッチ

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2007年にコンビを結成し、16年に大阪から東京に拠点を移した「アイロンヘッド」。今年4月からはヨシモト∞ホールの看板芸人「ムゲンダイレギュラー」に選ばれたお笑いコンビ「アイロンヘッド」。2007年にコンビを結成し、16年に拠点を大阪から東京に移し、活動を続けてきました。これまで「NHKお笑い新人大賞」の大賞受賞や「歌ネタ王決定戦」で3回決勝進出を果たすなど実力派として知られていますが、ナポリさん(36)と辻井亮平さん(36)の道のりを支えてきたのは人気絶頂のあのコンビだと言います。―5月22日にヨシモト∞ホールで単独ライブを予定されているんですよね。辻井:東京は方々に劇場があって、埼玉に行ったり、千葉に行ったりと移動が多いんです。なので、各劇場を移動して、バタバタとネタをやったりすることが多くなる。そんな中で、たくさん小道具を使うネタだと道具の運搬、セッティングだけでも大変ですし、細かく音響を使うネタだとスタッフさんと入念な打ち合わせが必要だったりもする。そういう事情もあって、極力小道具や音響などを少なめにしたネタをチョイスするようにしてたんですけど、今回はそういうことを一切考えずに、本当にやりたいネタをやりたいようにやってみようと。そう考えたんです。ナポリ:今回は大掛かりで楽しい感じにしようと思って作っています。―そういう方向転換をした理由は?辻井:大きな要因として、新型コロナ禍というのはあると思います。去年の緊急事態宣言の時は完全に仕事がなくなりまして、相方とも2カ月ほど会えなかったんです。こんなこと、芸人をやってて初めてのことでしたし、その間、完全に何もかもが止まってました。ナポリ:そんな中でも、何かできないかと思って、毎日YouTubeでの配信を始めたんです。特にネタをするわけでもなく、しゃべっているだけのYouTubeやったんですけど、毎日見てくださる方もいらっしゃって。そして、緊急事態宣言が明けて劇場が再開した時に、そのYouTubeを見て劇場に来てくださった方もいらっしゃったんです。配信で僕らを知ってもらって「この人を生で見てみたい」と思って劇場に来てくださった。配信と劇場が繋がっていて、このご時世でわざわざ来てくださるというのは、すごく大きな衝撃でした。配信の力も知りましたし、何より、わざわざ足を運んでくださるありがたさを痛感して、心動かされました。辻井:今もより一層大変な世の中になってきていますし、せっかく来てくださる方に純度の高いものをお見せしたいという思いが表れたと思います。―これまでで影響を受けた先輩は?辻井:大阪でこの世界に入った頃から「千鳥」さん、「笑い飯」さんに本当にお世話になりました。それこそ、僕らが箸にも棒にもかからない時から、イベントや番組に呼んでいただきまして。そこで、ずっと言ってくださっていたんです。「お前らは大丈夫や」と。正直、その言葉があるから、今でもやれていると思います。今でも人づてに聞こえてきたりもするんですけど、大悟さんもテレビ局に行っては「『アイロンヘッド』を呼んでやってくれ」と言ってくれているみたいで。大悟さんの環境はものすごく変わりましたけど、それでも、昔のまま、ずっと変わらず見てくださっているんだなと思うと、メチャクチャうれしいですね。ナポリ:最初の接点は僕らがNSCを出てすぐの時に「千鳥」さんのイベントに呼んでいただいたんです。ただ、呼んでいただいたと言っても、完全にエキストラで。野球のコントで、大悟さんが監督、ノブさんがバッターだったと思うんですけど、僕らNSCを出たてのメンバーはベンチにいるチームメート役。本来は、特にコントに深く絡むことはなかったんですけど、そこで大悟さんが僕をイジりたおしてくださいまして。ただ、僕も全くキャリアもなかったですし、全然返せずに妙な感じになって、それでまた返せずに…みたいになっていきまして。恐らく、大悟さんもなんとか面白くしてやろうと思って“全球種”を投げてくださったと思うんですけど、それでも返せない。僕もどんどん「ヤバい、ヤバい…」となっていって、最後の最後、大悟さんから「お前はなんじゃ!?」と言われて、大きな笑いが起こりました。―愛情たっぷりの流れですよね。辻井:そこから可愛がってもらうようになったんです。飲みに連れて行っていただくようにもなり、東京に来てからも連れていってもらっています。ただ、今に至るまで、おっしゃることはずっと一緒です。「お前ら大丈夫やから」と。何がどう大丈夫なのかはおっしゃらないんですけど、昔からずっとだし、誰にでも言っているわけでもないし、その言葉が支えてくれています。あと、アドバイスというか、実戦的なお話も大悟さんからいただきました。「ボケもツッコミも全部やれ。お前は全部やらなアカンタイプの人間で、オレと一緒や」と。僕らが東京に出てきた頃だから、4〜5年前の話です。僕からしたら、ただただ面白くてボケしかしないイメージがあった大悟さんがそうおっしゃっている。その時点で僕からしたらすごい衝撃でもあったんですけど、いろいろとうかがってきたお話を総合すると、「千鳥」さんですら東京に出てきた時は跳ねなかった時期もある。その経験から得た言葉なんだろうなと。―本当に重みのある言葉ですものね。辻井:そこから抽出したものを僕に言ってくださっているのも本当にありがたいですし、その言葉はとんでもなく重たいですし、そこから僕も大きく意識が変わりました。恩返しなんてことはおこがましいばかりですけど、大悟さんは歌が好きなんです。ある日、バーに行ったら、東京ドームで行われた矢沢永吉さんのバースデーライブの映像が流れていたんです。そこで、大悟さんがポツリとおっしゃったんです。「ワシャ、これがやりたいんじゃ」と。僕は音楽が得意なので、なんとかドームでの矢沢さんのライブみたいに気持ち良く大悟さんを歌わせるような場を作れればなと思っています(笑)。ナポリ:だいぶ壮大な話やけど(笑)、本当にそんなことができるくらいまで、なんとかまずは僕らが頑張っていきたいと思います。■取材後記大阪時代からネタのクオリティーや独創性は注目されていましたが、実は、評判が高かったのが芸人さんの結婚式で見せる余興でした。プロの芸人さん、そして、テレビ局のスタッフさんらプロしかいない場で確実に笑いを取る。これはいかに笑いの地肩が強いかを示してもいます。緊急事態宣言の延期などもあり、さらに厳しい世の中になっていますが、だからこそ、開催されたライブでは、本当に密度の濃いネタが展開されることと思います。執筆者プロフィール中西 正男(なかにし まさお)1974年生まれ。大阪府枚方市出身。立命館大学卒業後、デイリースポーツ社に入社。芸能担当となり、お笑い、宝塚などを大阪を拠点に取材。桂米朝師匠に、スポーツ新聞の記者として異例のインタビューを行い、話題に。2012年9月に同社を退社後、株式会社KOZOクリエイターズに所属し、テレビ・ラジオなどにも活動の幅を広げる。現在、朝日放送テレビ「おはよう朝日です」、読売テレビ・中京テレビ「上沼・高田のクギズケ!」などにレギュラー出演。また、Yahoo!、朝日新聞、AERA.dotなどで連載中。
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