なぜこんなに惹かれるのかーー 『ソウルフル・ワールド』前日譚からひも解く“22番”の魅力

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2021年05月10日 14:11  クランクイン!

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写真『22番 vs 人間の世界』ディズニープラスにて独占配信中 (C)2021 Disney/Pixar
『22番 vs 人間の世界』ディズニープラスにて独占配信中 (C)2021 Disney/Pixar
 第93回アカデミー賞で長編アニメ映画賞を受賞したディズニー&ピクサー映画『ソウルフル・ワールド』。“生きる意味”という哲学的なテーマをエンタメ作品として見事に描いた本作で、ひときわ目の離せないキャラクターとして登場するのが、自分のやりたいことが見つけられない“22番”だ。このたび、22番を主人公としたショートムービー『22番 vs 人間の世界』が、ディズニー公式動画サービス「Disney+(ディズニープラス)」で配信スタート。『ソウルフル・ワールド』の前日譚となる物語で、22番がどうしてそんなに“こじらせ”てしまっているのか、その一端が明らかとなる。ケビン・ノルティング監督のインタビューとともに、見どころを紹介してみたい。

【写真】『22番 vs 人間の世界』“こじらせ”ソウルの22番

■ 表情もキュート! 22番は“もっと知りたくなる”キャラクター

 「ジャズ・ミュージシャンになる」という夢半ばにして、ソウル(魂)たちが暮らす世界に迷い込んでしまったジョー・ガードナーが、地上に戻るべく奮闘する姿を描く『ソウルフル・ワールド』。そこでジョーが出会ったのが、22番と呼ばれるソウルだ。ソウルの世界では、それぞれのソウルがどんな性格や興味を持つのかを決めたのち、人生を始めるために地上へと降りていく。そんな中、何事にも興味が持てず、いつも不満そうな顔をしていた22番。眉をひそめたり、いたずらっぽく歯をのぞかせたりと、こじらせた表情もなんともキュートで、22番が大好きなキャラクターとなった人も多いはずだ。

 『22番 vs 人間の世界』では、ジョーと出会う前の22番の様子を目にすることができる。もちろん22番の悪巧みの表情は健在。仲間と秘密組織(その名もアポカリプス!)を結成し、ソウルの世界で反乱を起こそうとするのだ。純粋無垢なソウルたちと22番が巻き起こす大騒動は愉快で愛しい。監督を務めたのは、『カールじいさんの空飛ぶ家』や『インサイド・ヘッド』のスタッフにも名を連ねている、ディズニー&ピクサーのベテラン、ケビン・ノルティング。ノルティング監督によると、『ソウルフル・ワールド』を制作していく過程では「僕たちは、“新しいソウルが地球で暮らしたくない理由”というのをずっと話し合っていた」そうで、「『22番 vs 人間の世界』は、“何が22番を22番にしたのか”を掘り下げるすばらしい方法だった」とスタッフ陣にとっても、22番はもっと知りたくなるようなキャラクターだったという。

■ ノルティング監督も22番に共感ーー なぜこんなにも22番に惹かれるのか?

 なぜこんなにも、私たちは22番に惹かれるのか。それはきっと誰もが、22番の葛藤に心を寄せる点があるからだろう。ノルティング監督は「ジョー・ガードナーは、若い頃から、自分が何をやりたいかを知っていたキャラクターだ。彼は人生における目的を見つけていた。22番は正反対のキャラクターなんだよ」と切り出し、「僕は、ジョーよりも、22番の方に共感している」と告白。「僕自身、何をして生きていくかを決めるには、とても長い時間がかかった。未来を見つめても、進むべき道がまったく見えなかったんだ。22番はそういうタイプのキャラクターだ」と自身と重ねる。

 ノルティング監督は、これまでに「多くのことを試してみた」のだとか。「正直に言うと、僕がアニメーションをやることになったのは、まったくの偶然だったんだ」と明かす。

 「僕は大学で文章を書くこと、絵を描くことを勉強していたんだ。その後、実写映画の仕事に就いて、ディズニーで『シャンハイ・ヌーン』の仕事をしていた。そんなある日、オフィスにいたら電話が鳴ったんだ。何年も会っていなかった友だちからの電話で、彼はそのときにピクサーで働いていて『ピクサーで働くことに興味はあるか?』って僕に言うんだ。実はその時期と同じくして、僕は子どもたちをピクサー映画に連れていく機会があって。それは、僕と子どもが一緒になって共感できた、初めての映画になった。そんなことが同時に起きたんだよ」と話すように、「これだ」と思うものを見つける過程はさまざまだ。大人になっても自分探しの旅は続くし、胸を張って「これが私の生きる道」と言い切れる人なんて、そうそういないのではないだろうか。

 だからこそ、22番が「生きる意味って何?」、「人生のきらめきって何?」とモヤモヤとしているさまは、子どもたちが見入ってしまう姿でありつつ、大人にとっても忘れていた大切なことに気づかせてくれる、胸がキュンとなる瞬間となる。『22番 vs 人間の世界』には、ほんの6分の中に22番のこじらせっぷりがたっぷりと詰まっているのだが、それも愛らしくてたまらない。ノルティング監督は、「僕の場合、“人生のきらめき”を見つけるためには、あらゆることに対してオープンになって、他の人の話や物事に耳を傾けるために時間を使うことが大事だと思っている」とにっこり。誰にとっても分身のような存在である22番を通して、ワクワクと楽しみながら「自分にとってのきらめきってなんだろう」と思いを巡らせることができる、最高の作品だ。(文:成田おり枝)

 『22番 vs 人間の世界』は、ディズニープラスにて配信中。
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