圧巻のパフォーマンスを届けた、10thアニバーサリーライブの真実とは――東山奈央『off』インタビュー

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2021年05月10日 17:41  ダ・ヴィンチニュース

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ダ・ヴィンチニュース

写真東山奈央
東山奈央

 2020年、声優デビュー10周年を迎えた東山奈央。演技者として、あるいは音楽活動における仕事ぶりを知る人は、おそらくほとんどの人が同じ認識で彼女のことをとらえているだろう――東山奈央は、「働き者」である、と。実際、特に音楽活動の取材をさせてもらっていると、ライブを観る機会があるわけだが、1stライブの日本武道館の公演から、東山奈央のステージ上でのパフォーマンスには毎回心底驚かされている。自ら作詞・作曲もこなし、最高にカッコいいダンスを披露したり、元来音楽的な才能を備えた人だと思うが、彼女の音楽やライブが特別である理由、そして聴き手が東山奈央の表現を好きである理由は、才能に加えて圧倒的な努力により、表現の精度を高めて提示してくれるからだ。その点において、東山奈央は100%信頼するべき表現者であり、そのことを彼女が裏切ることは、この先も決してないだろう。

 そんな東山奈央の最新リリースにして、初のコンセプトミニアルバム『off』(5月12日発売)のテーマが「休みと癒し」というのは、だからこそ驚きのトピックである。リリース直前からお届けする3本立てのインタビューの第1回では、今回のミニアルバムのテーマにもつながっている昨年12月のライブ『10th アニバーサリーライブ「Special Thanks! フェスティバル」』を振り返ってみた。

手間暇をかけて真心込めたものって、間違いなく伝わるんだなって思う

――ちょっと振り返りになりますけど、昨年12月のキャラソンライブ、オンラインの映像で観させてもらって。めちゃくちゃ素晴らしかったですね。

東山:ありがとうございます。

――オンラインのライブでここまでの体験ができるんだなって、個人的にも驚きました。2時間40分くらいのステージだったけど、ほんとに一瞬だったし、終わるのが寂しいな、と感じるライブで。東山さんの中では、12月のライブはどんな時間として記憶に残っていますか。

東山:声優活動10周年ということで、キャラクターソング・ベストアルバムを出させていただいてからのライブだったんですけども、やっぱりそうそう実現できる企画ではない、と思っていて。実現するにはたくさんの方のご協力が必要だし、すごく時間もかかることですし。10年分の歩みを振り返るということで、わたし自身も今まで自分がどういうことをやってきたのか、そして何よりキャラクターや人との出会いを振り返るいいきっかけになりました。今回のアルバムのテーマにもちょっとつながるんですけど、シャカリキに前だけを向いて走り続けてきたので、「ここで立ち止まって後ろを見てみる」ということが、絶対にこの先につながっていくだろうなあって思えることの連続でした。これを機に、過去の作品やライブ映像をもう一度観たのですが、自分ごととは思えないくらい、ほんとに豊かな時間を過ごさせていただいてきたんだなと感じましたし、12月のライブも、まさに夢のような時間でした。ライブ自体は、アーカイブもないですしディスクにも残らないということで、ある意味では幻のライブになっているのですが……(笑)。

――12月に会場と配信で観た人だけが体験できたライブである、と。

東山:はい。今はどうやっても観ることができないものなので、「夢だったんじゃないか?」みたいな。あれだけの内容をステージの上で表現することには、わたし自身もすごくドキドキしていましたし、果たして自分に務まるのだろうか、と思いながら直前まで頑張っていた感じなんですけど、そこで火事場の馬鹿力が出てくれて(笑)。

――(笑)東山さんの「火事場の馬鹿力」はわりとよく見てるかも。

東山:はい、いつもそうかもしれませんね(笑)。やっぱり、自分ができることのちょっと上を毎回やらせていただいてるなって思うんですよね。「背伸びしてもまだ届かないかも」みたいなハードルがいつもあるので、けっこうギリギリまであがいています。今回のライブでも、“ニセモノ注意報”っていうすごく高速の楽曲は、リハーサルでの成功率が非常に低くて(笑)。「このまま本番に持っていくのはちょっと不安だな」と思っていたんですけど、ライブでは噛まずに、かつテンポに振り落とされることもなく、きちんと表現することも大切にしながら歌うことができました。火事場の馬鹿力が出せるかどうかは、普段どれだけ全力で生きてるか、にかかっていると思うので、そうやって積み重ねたものを無事にステージで発揮することができて心からよかったと感じた瞬間でした。

――配信で観ていたとき、“ニセモノ注意報”には驚愕のコメントが相次いでましたよ。

東山:ドッペルゲンガーも出てきていましたしね(笑)。どうなってるの!?という斬新な演出をつけていただきました。あと、そもそもこの楽曲が本当にライブで披露されるとは思わなかった、という方も多かったようです。

――(笑)実際、自分も「なんでこれを歌えるんだ、この人は」と思いましたけど、お客さんのコメントを読んでいて印象的だったのは、東山さんのここまでの努力がみんなに伝わっているんだな、ということで、感動しました。「東山奈央はこういう人だ」っていう信頼があって、それにパフォーマンスでちゃんと応えている。素晴らしいことだなって思いました。受け取り手が観る、聴く、体験することのために、ここまでしてくれてるんだ、と伝わっていたし、観る人に与えるものがとても大きいライブだったんだな、と思います。

東山:やっぱり、手間暇をかけて真心込めたものって、間違いなく伝わるんだなって思いますし、それは10年間の歩みの中で何度も経験してきてたことでもあります。今はこういうご時世だからこそ、時間を忘れて楽しんでもらえるようなことができたらいいな、と思いながらスタッフの皆さんと作ってきました。

――まさに、真心ですよね。そういうものの作り方、届け方、アウトプットのしかたが、10年の歩みの中でしっかり自分の中に築けていることを、12月のライブで感じられたんじゃないですか。

東山:そうですね。どんなによくできているものでも、真心が欠けちゃうと何か足りない感じがするというか、心に響かない感じがすることがあって。いいものなんだけど、一生の中には残らない、というか。だけど、「これは自分に向けられているものなんだな」って思えると、やっぱり何倍にも心に響いてくると思うし、そういうことを感じられる第六感みたいなものが人にはあると思っていて、それは絶対に伝わるものだと思います。そういうところは、この10年の中で大切にしてきました。

東山奈央

東山奈央

「現地に行けないから致し方なくオンライン」ではなくて、「オンラインにはオンラインのよさがあったね」って思えるライブに着地したかった

――リアルでも配信でも、受け取った人の心を動かすことができたライブだと思うんですけど、ステージから音楽を届けていくことについて、ひとつのあり方を知ることもできたんじゃないですか。

東山:ライブって、音楽活動とは切っても切り離せないものだと思うんですけど、今回のキャラソンライブをやってみて、「現地に行けないから致し方なくオンライン」ではなくて、「オンラインにはオンラインのよさがあったね」って思えるところに着地したかったんです。なので、画面の使い方だったり、カメラワークは現地にいる人にはむしろ味わえないオンラインだけの部分なので、そういったところをちょっとずつエッセンスとしてちりばめることで、「現地も最高だけど、オンラインも最高だった」みたいな感じになったらいいな、と思って、いろいろとチームの皆さんにご相談させていただきました。

 今の時点で、今後のライブがどうなるかはわからないですけど、やっぱり皆さんが楽しんでいただくことが一番大事で。わたしたちも、やりたいことはいっぱいあるんですけど、でも独りよがりや自己満足なものになってもいけなくて。自分たちがやりたいことと、お客さんが求めていることが合致したときが最大に幸せだと思うので、常にまわりの状況を見ながら臨機応変に作っていけたらいいですね。あと、今後やってみたいなと思ったのは、ライブのあとのアフタートーク配信です。もう、いつまででも話していたいくらいでした。ライブが終わったあとも、全然疲れてなかったので。

――あのライブをやったあとに?(笑)。

東山:全然でした!(笑)。だから、2日目の本番が終わったあとにアフタートークして、あとちょっとしたお渡し会もしていたのですが、それから今回のコンセプトミニアルバム『off』の打ち合わせもしたんですよ。ライブのあとにそのまま会場に残って、スタッフさんたちが撤収作業をしている中、ロビーで打ち合わせをしていました。

――めちゃくちゃ元気だなあ……。

東山:はい(笑)。だから、「オフじゃないじゃん」「めちゃめちゃオンじゃん」みたいな感じのスケジューリングだったりします(笑)。無事にキャラソンライブが開催できて、そしてこのご時世の中トラブルもなく終えられてよかったですし、わたし自身もやり遂げることができて、いいものがちゃんとできてよかったな、と思います。1曲1曲歌うキャラクターが変わるなんて、もしかしたら最初で最後かもしれないですよね。一瞬の花火を打ち上げるためにたくさんの準備をしてきましたし、ずっとクライマックスなライブでした。

――確かに、「2日間で終わっちゃうの? このライブ」っていう惜しい気持ちはだいぶありましたね。もう、舞台みたいな感じで2週間くらいやっていてほしかったし。

東山:ロングランしたかった(笑)。あれだけのものを準備してきて一瞬で終わっちゃうのは、もったいないような気もしましたし、演出にもすごくこだわっていただきました。1曲1曲の世界を作るために、スタッフさんも作品を観て、理解してくださってから一緒に作っていくことができたので。『たまゆら〜卒業写真〜』の“これから”という坂本真綾さんの楽曲をカバーさせていただいたとき、後ろのスクリーンに広島の竹原市っていう、作品の舞台になった街の写真が流れてくるんですけど、スタッフさんが広島県にわざわざ写真を撮りに行ってくださって、でもそれも1日目しか流せなくて。たくさんのものが詰まったライブだったと思います。

第2回へ続く(第2回は5月11日配信予定です)

取材・文=清水大輔 撮影=小野啓
スタイリング=寄森久美子 ヘアメイク=田中裕子

東山奈央

東山奈央のサイン入りポラを、3名様にプレゼント。応募要項は以下の通りです。

【応募方法】
ダ・ヴィンチニュースの公式Twitterをフォロー&この記事のツイートをRTしていただいた方の中から、抽選でプレゼントいたします。当選者の方には、ダ・ヴィンチニュースのTwitterアカウントより、DMをお送りさせていただきます。

※当選後、住所の送付が可能な方のみご応募ください。個人情報につきましては、プレゼントの発送以外には使用いたしません。
※当選の発表は、賞品の発送をもってかえさせていただきます。

<応募締切>
5月18日(火)まで

●東山奈央(とうやま・なお)
2010年に声優デビュー。代表作に、『神のみぞ知るセカイ』(中川かのん役)、『きんいろモザイク』(九条カレン役)、『ニセコイ』(桐崎千棘役)、『マクロスΔ』(レイナ・プラウラー役)など。アニメ作品から派生したユニット、Rhodanthe*やワルキューレにも参加し、数多くのステージに立つ。2017年2月1日、『Chain the World / True Destiny』で自身名義の音楽活動をスタートし、2018年2月に日本武道館で1stライブを開催。5月12日、初のコンセプトミニアルバム『off』をリリースする。


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