乗るなら今? 外車デビューに最適な5台を徹底比較 第4回 走り重視の外車デビューならルノー「ルーテシア」で決まり!

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2021年05月12日 11:31  マイナビニュース

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初めての輸入車に、欧州No.1のコンパクトハッチバックはいかがだろうか。先代モデルが欧州Bセグメントのベストセラーとなったルノー「ルーテシア」の新型車だ。ライバルに対する明らかなストロングポイントは、力強くて高性能なパワートレイン。内装も上質で満足感は高い。

5代目となる新型ルーテシアは、プラットフォームやエンジン、運転支援システムなどにルノー/日産自動車/三菱自動車工業の3社アライアンスによる共同開発の最新バージョンを使用。より優れた性能を発揮するモデルに仕上がったという。横浜市内の一般道や高速道路を走った試乗では、“外車デビュー”にふさわしいクルマかどうかを確かめてみた。

○時代に逆行? 先代より小さくなった5代目

3社アライアンスの「CMF-B」プラットフォームを採用する新型ルーテシアのボディサイズは全長4,075mm、全幅1,725mm、全高1,470mm、ホイールベース2,585mm。フルモデルチェンジしたクルマは先代より大きくなるのが常だけれども、今回のルーテシアは長さで20mm、幅で25mm小さくなり、ホイールベースも15mm短くなっている。もう少し大きなクルマが欲しければ、同じプラットフォームを採用するSUVの「キャプチャー」をどうぞ、というわけだが、ハッチバックはいたずらに拡大路線に走らないのが正解だろう。特に、外車デビューで初めて乗るなら、これくらいのサイズがベストなのだ。

グレードは「インテンス・テックパック」(276.9万円)、「インテンス」(256.9万円)、「ゼン」(236.9万円)の3種類。ゼンは装備面をかなり省いた受注生産となっている。アダプティブクルーズコントロール(ストップ&ゴー機能付き、0-170km/hで作動)やアクティブエマージェンシーブレーキ(歩行者・自転車検知)、レーンデパーチャーワーニングなど、ひと通りの安全装備を備えるインテンスに対し、テックパックはその名の通り、渋滞時に機能するハイウェイ&トラフィックジャムアシストやレーンセンタリングアシスト(車線中央維持)、360度カメラなどの最新機能を追加で搭載している。予算と必要性に応じて、どちらを選んでも問題はなさそうだ。このあたりの進化は、先に述べたアライアンスによる恩恵が発揮されているところであり、これまでのフランス車にとって弱点だった部分がきちんと解消されている。

○走りはどれよりもスポーティー

試乗したのは、「ルージュフラムM」と名付けられた真っ赤なボディカラーのインテンス・テックパックだ。エクステリアでは、まつげのようなストライプを施した「C」シェイプのデイタイムランニングライトとLEDヘッドライト、ブラックのフロントグリル中央に輝くエンブレム「ロザンジュ」がルノー車であることを主張。サイドはリアドアのハンドルをボディに一体化したことで、2ドアのようにも見える。

リアは「LUTECIA」の車名がハッチのセンター部分に貼り付けてあって新鮮なイメージに。それを開けると2段式フロアボードを持つ391Lのラゲッジが現れ、6:4の分割可倒シートを全部倒すと大きな荷物が積み込めるようになる。

インテリアは、ブラックとホワイトの2トーンとしたシンプルな水平基調のダッシュボードや、手が触れるほとんどの部分に使用したソフトパッド、ヒーター付きのレザーシートやステアリング、調光可能なアンビエントライトなど、このクラスとしてはかなり上質なものを採用している。コックピット自体はドライバーに向けて傾けられているのでとても使いやすく、さらにいうと、208の「3D i-コックピット」にあったようなエンターテインメント性は少ないけれども、初めてステアリングを握っても違和感がなく、すぐになじめる優しさがあるようだ。

搭載するのはパワフルな1.3L直列4気筒直噴ターボエンジンで、最高出力131PS/5,000rpm、最大トルク240Nm/1,600rpmを発生する。3気筒の1.0Lや1.2Lを搭載するライバルに比べてアドバンテージは大きい。実際の走りもそうで、電子制御のデュアルクラッチ式7速トランスミッションはタイムラグが少なく、パドルシフトを使えばちょっとしたスポーツカー並みの走りが楽しめる。この手のクラッチで気になる走り出しの部分には少しギクシャク感があったものの、動き出したらネガなところはすぐに忘れさせてくれた。

高速道路に上がると、室内の静粛性が高いことに気が付く。新プラットフォームを採用したことで、空気抵抗の少ない軽量高剛性のボディとよく動くサスペンションがマッチして、路面から拾う騒音が減少しているようだ。

全車速対応のアダプティブクルーズコントロール(ストップ&ゴー機能付き)も使ってみた。日産とのアライアンスによって進化したこのシステムは、メーターの表示がシンプルでわかりやすいので作動の状態がつかみやすい。追従状態も安定しているので、これを使えばロングドライブでの疲労度を大きく減らすことができそうだ。

試乗時の燃費はメーター上で6.5L/100kmを表示。日本式に割り算すると約15.4km/Lで、WLTCモード燃費の17.0km/Lを少し割る数字だった。ただ、こんな表示の仕方も“外車”らしさを味わえる楽しい部分で、わかってやっているのならこれも許したいところだ。

ライバルとなるトヨタ自動車「ヤリス」やホンダ「フィット」よりはどうしても高額になるものの、208よりはちょっとだけ手が出しやすいルーテシア。外車デビューで力強い走りを楽しみたいなら、コレが1番だと思う。

原アキラ はらあきら 1983年、某通信社写真部に入社。カメラマン、デスクを経験後、デジタル部門で自動車を担当。週1本、年間50本の試乗記を約5年間執筆。現在フリーで各メディアに記事を発表中。試乗会、発表会に関わらず、自ら写真を撮影することを信条とする。 この著者の記事一覧はこちら(原アキラ)
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