明大は国際系なのにアニメも学べる 人気学部に「幅広い学び」という共通点

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2021年05月13日 08:00  AERA dot.

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写真【明治大学】世界のことも日本のことも学べる国際日本学部/他大学の国際系学部とはひと味違う授業が売りだ。また、1、2年生では英語の必修科目が週5〜6コマと充実。英語で行われる授業も多い(撮影はコロナ禍前)(写真:大学提供)
【明治大学】世界のことも日本のことも学べる国際日本学部/他大学の国際系学部とはひと味違う授業が売りだ。また、1、2年生では英語の必修科目が週5〜6コマと充実。英語で行われる授業も多い(撮影はコロナ禍前)(写真:大学提供)
 コロナ禍で大学全体の志願者が減少する中、従来とは異なる新しい学びを提供する「新興学部」が人気だ。AERA 2021年5月17日号は、各大学の取り組みを紹介する。

【図】私立大トップの伸びは航空系?

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「言語など異なる背景がある人との違いを、様々な観点から見る授業や機会が多いことが魅力です」

 韓国人留学生で3年生のチェ・イェリンさん(21)がそう言えば、4年生の高島海人さん(21)は夢をこう語る。

「通訳・翻訳の授業での字幕制作などの学びを生かし、海外に発信するコンテンツを作りたい」

 2人が在籍する立教大異文化コミュニケーション学部(08年設置)は、コロナ禍による海外渡航の制限などで苦戦が予想された国際系学部でありながら前年比156%の志願者を集めた。特徴は外国語での「コミュ力」を学ぶだけではないことだ。浜崎桂子学部長は言う。

「同じ日本にいても、性別やその場での役割の違いなど『異文化』はあちこちにある。自分と異なるものに出合い、違いに気づき、なぜ理解できないかを考察する。そんな学びの場です」

 オンラインも利用しながら、異文化の文化的背景や通訳・翻訳など複数の領域を学ぶ。1学年は145人ほどと小ぶり。うち約20人が正規課程の留学生だ。

「授業自体が、多様な背景を持つ教員や学生の『異文化に出合う場所』になっています」(浜崎学部長)

 人気の就職先は運輸、通信、旅行、情報、教育関係だという。

■カギは学部名の「日本」

 明治大国際日本学部(08年設置)も国際系でありながら、前年比104%と志願者が増えた。そのカギは学部名の「日本」にあると、鈴木賢志学部長は話す。

「本学部は『日本と世界をつなぐ学部』。そのために日本のこともしっかり学ぶ点が特徴です。まず日本を学び、留学は行けるようになったら行こうと。志願者が増えたのは、そう思える学部だったからでは」

 たとえば「ツーリズム」の授業では、ビジネス面の講義があるほか、日本のアニメが好きで「聖地巡礼」に訪れる外国人を念頭にアニメも学べる。こうした日本と世界をつなぐための組み合わせを考えた授業が多く用意されているという。一方で、鈴木学部長はこう語る。

「専門科目は比較的自由に履修できます。いろんな学年の学生が一緒に受けている授業が多いのも特徴です。ある学年で留学して、『もっと日本の文化や社会を学び直さなきゃ』と痛感して帰ってきた学生にも門戸を開いておく。国際日本学部らしいところだと思います」

 就職先は様々だが、国際的な業務に携わる卒業生が多いという。

 海外で活躍できる人材の育成をめざす駒澤大グローバル・メディア・スタディーズ学部(06年設置)も、志願者数が前年比131%と増えた。

 各務(かがみ)洋子学長は人気の理由をこう分析する。

「コロナで変わったのは、『オンラインを使いこなせないと、もう生きていけない』と実感したこと。情報分野も深く学べる点が必要とされたのでは」

■英語のほかに8分野

 力を入れるのは英語のほか、経済、経営、法律、政治、情報、社会学、コミュニケーション学、文化学の8分野だ。

「一つの学問分野だけではなく、複数の学問分野を横断的に学び、地球規模の問題を解決する学生を育てたい」(各務学長)

 歴史のある旧帝大にも新興学部が登場している。中でも特徴的なのが九州大共創学部(18年設置)だ。学部名からは何を学べるかイメージしにくいが、河合塾によると前年比114%の志願者を集めた。鏑木(かぶらぎ)政彦学部長が説明する。

「これからの世界の変化や複雑な課題に対応するために、法学や化学など一つの分野に限定するのではなく、多層的なアプローチを組み合わせて、解決策を作っていく。それが教育の主眼であり、『共創』の意味です」

 留学が必須で1年時から英語に力を入れるほか、学位取得に向けて2年時末から学生が自ら動き始めるのが特徴だ。

「教員に『こんな研究をしたい』とコンタクトを取り、主体的に動く。『決まったレール』はなく、どう学べばいいかを自分で考え道を切り開いていきます。旧帝大でこのような学部は他にありません」(鏑木学部長)

■文学部と比べて多方面

 学部初の4年生の進路は3、4割が大学院志望で、就職も業種は多様になりそうだという。

「公務員を目指す学生もいれば、教育関係や不動産関係に内定を得ている学生も。どんな卒業研究をやって羽ばたいていくのか、私たち教員も楽しみです」(同)

 決まったレールのない魅力は早稲田大文化構想学部も同様だ。志願者数は前年比97%で、大学全体の88%を上回る。第一文学部と第二文学部が再編され、07年に文学部とともに生まれた歴史の浅い学部だ。柳澤明学部長は言う。

「文化構想とは何なのかは、卒業生やいまいる学生自身が、『文化構想学部という文化を構想して作っている』その過程にあるのだと思います」

 授業は多岐にわたる。たとえば「地中海文化論」「人工知能とポストモダン思想」「バレエ/ダンス論」などだ。就職先にメディア系が比較的多いのも、幅広く社会を知りたいという学生が多いからかもしれない。入試・広報副担当の小村優太准教授はこう話す。

「文学部に比べて文化構想学部は、同じ哲学をやるにしても科学や社会学、美術など多方面からも軽やかに飛び回り、『とにかく全部見てみよう』と。そこが魅力と言えます。また、学部は『1・3制』という1年生で専門に分かれないシステム。コロナ後が不透明な中、幅広く学べて、かつ入学してすぐ自分の学ぶ分野を限定せずに『様子を見て』決められる。そこも魅力なのかもしれません」

(編集部・小長光哲郎)

※AERA 2021年5月17日号より抜粋

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