吉永小百合がずっと夢見ていた医師役に 出演122本目の映画「いのちの停車場」

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2021年05月13日 11:30  AERA dot.

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写真映画「いのちの停車場」は21日から丸の内TOEIほか全国公開 (c)2021「いのちの停車場」製作委員会
映画「いのちの停車場」は21日から丸の内TOEIほか全国公開 (c)2021「いのちの停車場」製作委員会
「子どもの頃、体が弱くてしょっちゅう病院のお世話になっていたので、病院で働く方たちが憧れでした。回らない舌で“大きくなったらカンゴちゃまになるの”というのが夢だったんです」

【美しい吉永小百合さんの写真はこちら】

 吉永小百合さんは1959年「朝を呼ぶ口笛」で映画デビュー、夢は大きく逸れたが、俳優でいれば、医療人を演じる機会があるはず、いつか演じたいと願ってきた。63年、「いつでも夢を」で、医師である父親の下で働く看護師の娘を演じた。「当時のことでしたから、白衣は白衣でも割烹着」を着て、昼は診療所で働き、夕方になると制服に着替えて通学する健気な夜間高校生役だった。

「10年ほど前、成島出監督、堤真一さん主演の『孤高のメス』を見て私も一度ドクター役を演じたいとお話ししたのですが、実現しませんでした」

 そんな時を経て、出演122本目となる最新作「いのちの停車場」で初めて医師を演じた。大学病院の救命救急センターのトップに立つ医師だったが、ある事件の責任をとって退職、市井の小さな診療所で在宅医療に携わる医師の役。

「ですから、この映画は本当に念願の役であり、作品なんです」

「いつでも夢を」が描いたのは、高度経済成長下で、貧しくもまさに夢を抱いて生きる青春群像だった。今回の作品では、高度経済成長を支えてきたかつての青年たちが直面する老い、病、死が描かれる。俳優・吉永小百合が歩いてきた時代と軌を一にするといってもいいだろうか。

「医師といえば手術、手術着に身を包んで、メスを握る、そんなイメージを描いていたのですが、実際に救命の先生の指導を受けて、救命医療は例えてみれば、スポーツだと思いました」

 瞬発力、瞬時の判断力を武器に、救急現場は治療しながら考え、考えながら手当てをする。一転して在宅医療の現場では、末期のがんや高齢で死を目前にした患者や家族、地域社会すべて含めて静かに向き合うことになる。

「在宅医療ひとすじの先生に、脈の取り方、看取り、臨終の伝え方など手取り足取り細かく指導していただきながら、どうやって命を終わらせる人に寄り添うか、在宅、終末医療とは、ということを考えさせられました」

 期せずして二つのタイプの医師を「欲張ってできました」というが、

「私たちに近い年齢の人たちを対象にしていますから、あまり考えなくても自然に物語に入っていけました。ただ、在宅医療には、何がよくて何が悪いといった結論がないんですね。とくに、最後に近づくにつれて、ドクターとして、ひとりの娘として、苦しむ父親の最期を迎えつつある姿にどう向き合ったらいいのか、演じる私も大変でした。その苦悩が、役に出たかなと思っています」

 演じてみて、救急医療にせよ終末期医療にせよ、これまで医師の仕事や役割を形だけでとらえていたことを、あらためて認識したという。

「自分の死であれ、家族の死であれ、死を見つめるのは、苦しみ以外のなにものでもないかもしれません。現実の死でも物語の中の死でも、誰もができれば目を背けていたい。演じていてもそうでした。でも、死が避けて通れないものである以上、死を避けることに苦心するよりも、日ごろから死を冷静に考えていくことが、今をよりよく生きることにつながるのだと思えるようになりました」

 このコロナ禍では役作りのために病院で見学させてもらう予定が中止になるなど、大きな制約を受けたが、それ以上に医療や介護に携わる人の大変さもあらためて思った。(由井りょう子 構成/長沢明)

吉永小百合(よしなが・さゆり)/東京都出身。小学6年のときラジオドラマ「赤胴鈴之助」でデビュー。1959年「朝を呼ぶ口笛」で映画初出演、以来、「キューポラのある街」「愛と死をみつめて」などでスターに。自らプロデュースも手がけた「ふしぎな岬の物語」、「最高の人生の見つけ方」ほか出演作多数。かたわら原爆詩の朗読などを通して戦争、核について問題を提起、平和への思いを発信し続ける。

>>【後編/吉永小百合「“転んだらダメ”をテーマに」 自宅周辺のウォーキングが日課】へ続く

※週刊朝日  2021年5月21日号より抜粋

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  • 北の零年の時に、そろそろ引退すんのかなぁ…と観に行ったが…すみませんでした。ますますのご活躍を楽しみにしております。吉永小百合さん自身の映画化とかないのかな…
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