クリクリした目のアメショの美猫 飼い主の離婚に二晩鳴き続け…新たな居場所を見つけるまで

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2021年05月14日 07:30  ORICON NEWS

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写真飼い主の離婚で行き場を失った風子(写真:ねこけんブログより)
飼い主の離婚で行き場を失った風子(写真:ねこけんブログより)
 家族を論じるうえで「子どもは親を選べない」なんて言葉がよく使われるが、それは飼い猫にとっても同じこと。飼い猫は飼い主を選べない。人は自分の意見を言葉として伝えることができるが、猫はどんな扱いを受けたとしても、決して言葉で訴えることはできないのだ。家庭の事情で飼育を放棄された風子(ふうこ)について、NPO法人『ねこけん』代表理事の溝上奈緒子氏に聞いた。

【写真】「まるで別猫!」不安で鳴き続けた風子、今では幸せいっぱいにゴロゴロ…新たな家族と暮らす風子

■「自分で飼い始めたのに、自分の都合で『引き取ってほしい』という依頼は本当に多い」

 風子は、ある夫婦によって飼われていたアメリカンショートヘアの猫。目がクリクリっとしていて、とっても可愛らしい美人猫である。飼い始めた当初はきっと、その夫婦も幸せな未来を思い描いていただろう。風子も家族の1人として、生活に潤いを与えていたに違いない。しかし、時の流れは残酷である。そんな夫婦も事情があり、離婚することを選択。風子は、元妻が引き取ることになった。

 だが、しばらくして元妻から「猫を飼えなくなった」と連絡が入った。すでにペット不可の物件に住んでいた元旦那は、扱いに困り、『ねこけん』に相談したという。こうして風子は、『ねこけん』によって保護されることになった。

 「猫を引き取ったにも関わらず、元奥さんもペット不可のところに住んでしまったようで、結局飼えなくなって元旦那に相談したそうです。猫を飼うならペット可の物件に住む、これは当たり前のこと。離婚には事情があると思いますが、飼い猫まで巻き込んでいいということではないと思います」と溝上氏。世の中には問題外の多頭飼いや虐待など、ひどい飼い主もいるが、おそらくこの夫婦は離婚しただけで、本来は普通の飼い主だったのだろう。しかし、ペットを飼う上では「身勝手」と言われても仕方がない。

 「自分で飼い始めたのに、自分の都合で『引き取ってほしい』と言ってくる依頼は、本当に多いです。すでに猫を飼っているにも関わらず、ペット不可の団地に引っ越しをしてしまった、という事例もあります。一体何を考えてのことなのか…、困惑するケースが多々あります」。

 環境の大きな変化は、猫にとっても大きな負担となる。特に、愛する飼い主と離れ離れになるとき、そのストレスは計り知れない。上記の元夫婦に事情があったことは理解できるが、傷つくのは猫のほうだ。『ねこけん』にやってきた風子も、その影響は大きかった。

 「うちにきたとき、風子ちゃんは何日もご飯を食べず、二晩鳴き続けました」と、溝上氏は保護当時の様子を語る。はじめは隠れしまい、なかなかボランティアメンバーの前に姿を現さない。きっと、なぜ家族が迎えにこないのか、必死に呼んでいたのだろう。いきなり知らない場所に連れてこられ、周りは知らない人ばかり。風子の不安は、二晩も鳴き続けた姿にはっきりと表れていた。

 そんな風子だったが、預かりボランティアの献身的なお世話もあり、徐々に環境に慣れていった。本来の甘えん坊の性格を見せはじめ、スタッフも本当に安心したという。しばらくして、風子は里親とのトライアル期間を経て正式な家族として迎え入れられ、『ねこけん』から巣立っていった。風子に付けられた新たな名前は、「凪」。波が穏やかなことを表す言葉だ。この言葉が表すように、ずっと安心して暮らせる穏やかな心を保ってほしいと願うばかりである。

(文:今 泉)

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