東京で走り出した電動キックボードシェア「Luup」 思い知った最高時速15kmの現実

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2021年05月14日 13:42  ITmedia NEWS

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 ヘルメットを必要としない電動キックスクーター(電動キックボード)が東京で走り始めている。



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 東京以外でも、千葉県千葉市・柏市、神奈川県藤沢市、大阪府大阪市、兵庫県神戸市・豊岡市、福岡県福岡市でも同様に、2021年10月までにノーヘルで運転できる電動キックスクーターが走り出す見込みだ。



 これは、経済産業省が認定した産業競争力強化法に基づく新事業特例制度によるもの。上記の地域において、マイクロモビリティ推進協議会に属する4社の電動キックスクーターを用いた公道走行実証実験というわけだ。



 電動キックスクーターの道路交通法における車両区分は、フォークリフトやトラクターと同じ小型特殊自動車。最高時速は15kmの制限があり、ヘルメット装着は任意。自転車専用道路が走行できる他、一方通行だが自転車は双方通行が可能な道路は、自転車と同様に逆走できる。



 この新事業特例制度にいち早く対応したのが、シェアサイクルサービスの「Luup」(東京都渋谷区)だ。同社は2020年5月から小型の電動アシスト自転車を用いたシェアリングサービスを提供してきたが、新たに100台の電動キックスクーターを導入した。



 現時点では都内約300カ所にある駐車ポートのうち、約200ポートで電動キックボードの乗り降りを可能としている。順次台数も、利用可能な駐車ポートも増やしていくという。



 利用料金は実証実験期間中の特別価格で、10分間の初乗りが110円(税込、以下同)、以後1分ごとに16.5円が加算されていく。参考までにNTTドコモが提供している赤い電動アシストシェアサイクルは、最初が30分165円。以後30分ごとに110円となっている。



 ゴールデンウイークのある日、渋谷にあるLuupのポートへ向かった。もちろんLuupの電動キックスクーターに乗るためだ。



 利用するには、iPhoneとAndroid用に提供されているアプリ「LUUP」のユーザー登録が必要。



 アプリに名前などの個人情報を登録し、自分の免許証を撮影してアップロードする。ヘルメットを装着するかどうかは利用者に任されているが、小型特殊自動車の車両となるため普通自動車免許や普通二輪免許を所持していないと乗ることができない。そう、原動機付自転車免許(原付免許)では利用できないことに注意したい。



 登録時には、小型特殊自動車の道交法にまつわるテストも行われる。50ccなどの原付バイクとは扱いが違うということを教えてくれるもので、解説を読んだ後で回答を変更できるため必ず満点が取れる仕組みになっていた。



 現在、どのポートに電動キックスクーターが置かれているかを確認するには、アプリに表示されている地図をチェック。赤いキックスクーターアイコンが表示されているポートが最初の目的地となる。アプリ上から各車両のバッテリー残量を確認できるので、長い距離を走りたい人は詳しくチェックしよう。



 乗車するには、ハンドル中央付近にあるQRコードをアプリのカメラ機能を使って読み込み、ロックを解除する。その後、目的地(返却位置)となるポートを地図上で選択する。



 基本的に、事前に返却位置をセットする必要がある。特定のポートに多くの車両が集まってしまい、管理エリア外で返却されることを防ぐためだろう。



 ハンドル周りは他に前後のブレーキレバー、スマホホルダー、メーター、ミラー、レバー式アクセル、ウインカースイッチなどが備わる。ミラーはバイク用の大きなもの。ハンドルの端にフロントウインカーが内蔵されている。



 前から見るとハンドルポストにLEDライトが内蔵され、クラクションも外付けされている。試しに鳴らしてみたらかなりの音量で、安全性に気を配って開発したことが分かる。



 ホイールを見てみよう。フロントはショックアブゾーバーがあり、リアはインホイールモーターが備わる。後輪駆動式だ。



 リアホイール部分にはブレーキランプ、リアウインカー、反射板、ナンバーが付く。輝度は明るく、昼間でも視認しやすいものだった。



 ただしナンバープレートの位置が低いため、歩道から車道に車両を下ろす際にぶつけやすいのだろう。ナンバープレートが折れ曲がってしまっている車両が多かった。



●最高時速15kmは遅く感じる



 走り出すには、自分の足で地面を蹴ってからアクセルレバーを押し込む必要がある。停止状態から電力のみで発進ができる車両は瞬間的ではあるが前輪が浮きやすく、慣れないと危険なところがあるので、シェアリングの車両としてはこの方式のほうが適切とみた。



 乗り始めた瞬間に分かるのが安定性の高さ。電動キックスクーターは小径ホイールゆえに路面の状態の影響を受けやすい乗り物だが、それにしてもLuupの電動キックスクーターは直進安定性に優れている。フロントフォークに備わったショックアブゾーバーが、きちんと仕事をしてくれているのだと分かる。



 ハンドルの剛性の高さからくる安心感にもホッとする。



 いわゆるコンシューマー向けの電動キックスクーターは、コンパクトに収納できるようにハンドルが折りたたみかつ伸縮構造となっている車両が多い。その構造上ハンドルがガタつきやすい。しかしLuupの電動キックスクーターは業務用として開発されたもので、折りたたみ機構がない半面、ガチッとした高剛性なハンドリングとなっている。



 車線変更時にも、車体の姿勢をダイレクトにコントロールができるという自信につながる。



 ステップは細く、前後方向に長いもの。前後の重心移動がしやすく、これもシェアリング用車両として適切な構造だと感じる。



 ただし、最高時速15kmという制限速度はなかなかに厳しいものがあった。



 渋谷の道玄坂は登りきるまで3分20秒ほどで最高時速のまま走ることができたが、渋谷マークシティ脇の急勾配な坂ではそうはいかず、早足くらいのスピードしか出せず、後ろにひっくり返りそうな不安感もあった。



 交通量の多い道路の走行も厳しい。国道246号線や環状7号線、甲州街道などは電動キックボードでは走行しないようにとアプリ側で注意を促してくるが、骨董通りのような路上駐車車両の多い道も、左折目的で路肩側に寄って走る車両も多い道路でも、自転車よりも巡航速度の遅い車両で走行すると、強いストレスを感じてくる。



 複数車線の道路でも二段階右折ではなく、小回り右折が義務付けられているのもつらいところだ。加速力に乏しい車両で右側の車線に移動するというのは困難際まる。押して歩くなら歩行者と同じ扱いになるので、大きな交差点では車両から降りて、歩道の信号に合わせて動きたいものだ。



 半面、交通量が少ない道路の移動は快適そのもの。バイクよりも、自転車よりも開放感があり、自然と気分も高揚してくる。明治神宮外苑など平坦で見晴らしのいい場所では、2台のLuupに乗って観光を楽しんでいたカップルもいた。シェアリング型の電動キックスクーターは交通量の少ない場所での観光ツールとして高く評価されるのではと感じた。



(武者良太)


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