“アクキーの出し汁”に着想 FeliCa内蔵「推し払いキーホルダー」開発秘話

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2021年05月14日 16:42  ITmedia NEWS

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写真推し払いキーホルダー
推し払いキーホルダー

 「好きなキャラのキーホルダーで電子マネー決済できる」──“オタク”にとっての夢を実現した商品をソニーが4月に発表し、注目を集めている。商品名は「推し払いキーホルダー」。FeliCaを内蔵したアクリルキーホルダー(アクキー)で、アニメのキャラクターなどをデジタル印刷しており、電子マネー「楽天Edy」の支払いに利用できる。



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 まずは第1弾として、5月1日から30日にかけてアニメ「魔法少女まどか☆マギカ」のキーホルダー2種を試験販売している。Twitter上では、好きなキャラのキーホルダーで電子マネーを支払える点や、「推し」と「お支払い」を掛けたネーミングなどが発表直後から話題になった。



 推し払いキーホルダーはどのような経緯で発案され、そしてどのような発想で「推し払い」というネーミングに決まったのか。発案者の中野晶(あき)さん(FeliCa事業部 カード設計課)と、命名に携わった小野隆彦さん(同事業部 商品戦略課)に聞くと、ネーミングについては「推しのアクキーから出る“出し汁”」という発想がきっかけになったという。



●アクキー好きの社員が奔走 ソニーのテレビ・携帯技術を活用



 「もともとアクキーが好きで、自分で買ったり作ったりしていた。一方で、アクキーに対して『持っているだけだと実用性がなくてもったいない』とも思っていた。そこで3年ほど前に、ソニーグループ内の展示会で推し払いキーホルダーの試作品を披露したところ、当時グループ内でFeliCa事業を担当していたソニーイメージングプロダクツ&ソリューションズの河野弘副社長(現在はソニーの常務)に声をかけてもらい、商品化できることになった」



 中野さんは推し払いキーホルダーの開発のきっかけについてこう話す。しかし実際の商品化に当たっては、製造過程などにいくつかの課題があり、商品化までに時間がかかったという。その1つがキーホルダーの製造時、アクリル同士を接着する工程で気泡が入ってしまう問題だ。



 キーホルダーに電子マネーの支払い機能を付与する場合、通常は金型や完成品の形状ごとに通信性能の検証が必要になる。一方、推し払いキーホルダーは本体を多層構造で成形し、内部にFeliCaモジュールを埋め込むことで、一定のサイズであればさまざまな形状で必要な通信性能が維持できるようにしている。しかし、この構造に気泡が入ってしまう原因があった。



 「そもそも通常のアクリルキーホルダーは1枚板で製造する。しかし多層構造にしようと思うと、素材を貼り合わせる必要があり、気泡が入りやすい。最初はソニーの研究開発部門に協力を要請し、テレビ用のパネルを貼り合わせる装置を使って接着していた。この方法では気泡を入れずに重ね合わせられたが、生産の効率があまり良くなかった」(中野さん)



 その後もさまざまな方法を試したが、中野さんが望むクオリティーと生産効率が両立できる方法は見つからなかった。そこで、携帯電話の画面に使うパネルを貼り合わせる技術を試したところ、気泡の入らないキーホルダーを効率的に生産できたという。



 「ソニーグループには以前、ソニー・エリクソン・モバイルコミュニケーションズという携帯事業を手掛ける子会社があった。現在は事業再編でソニーに吸収されているが、この会社のノウハウが残っており、推し払いキーホルダーの開発に役立った」(中野さん)



 もう1つの課題は、推し払いキーホルダーを開発するに当たり、直属の上長からの理解を得ることだった。中野さんによれば、展示会で副社長から協力を得られたものの、商品化に向けては直属の上長にも製品のコンセプトやターゲットを理解してもらう必要があったという。しかし、中野さんの当時の上長は、アニメやアクキー好きへの理解が深くなかった。



 そこで中野さんは、上長を映画館に連れていき、「Fate/stay night [Heaven's Feel]I.presage flower」などの映画を一緒に鑑賞。その後、感想などを語り合うことで、商品のコンセプトや想定される市場の規模を共有したという。



●商品名が“推し払い”になったワケ



 そんな推し払いキーホルダーだが、小野さんは命名のきっかけについて「推しのアクキーから出る出し汁」という発想が基になったと話す。一体どういうことか。



 「商品化に向けたリサーチ中、アクキーをカップ麺に漬けて『推しから出る出し汁が今日もおいしい』と投稿している人をSNSで見かけ、アクキーに鑑賞以外の用途を求める人がいることを確信した。商品名で『推し』と『具体的な用途』が両立できれば、こういった人たちに訴求できると思い『推し払い』という言葉をひらめいた」(小野さん)



●まどマギ以外のアニメ・ゲームもアクキーに 個人の発注は「将来的に」



 中野さんの奔走と小野さんのひらめきを経て商品化に至った推し払いキーホルダー。試験販売している2商品の予約数も当初の想定を上回る勢いといい、今後は「鬼滅の刃」をはじめとしたソニーが関わる他のIPにも手を広げる方針だ。



 「もともとは自分が『Fate』や『まどマギ』など、ソニー子会社のアニプレックスが関わるアニメが好きだったことから、第1弾はまどマギになった。他のIP、中でも女性向けIPの活用は前々から検討している」(中野さん)



 ソニーのIPだけでなく、他社IPのキーホルダーも生産を検討中だ。小野さんによれば、アニメ、アイドル、ゲーム、バーチャルYouTuber事業などを手掛ける複数の事業者から、「キーホルダーを作りたい」という問い合わせが相次いでいるという。



 絵柄のバリエーションに加え、FeliCaを活用した機能追加も視野に入れている。中野さんによれば、推し払いキーホルダーは楽天Edy以外の電子マネーを決済することも可能なため、サービス事業者の要望があれば対応する方針という。



 FeliCaは電子チケットや会員証としても活用が可能だが、新たな機能の追加については「FeliCaは決済以外にもいろいろな用途で使われている。そういった想像も膨らませておいてもらえれば」(中野さん)としている。



 一方、個人からの受注については、現時点では小ロットの発注を受け付けられず、実現が難しいという。ただし、要望があることは承知しているため、将来的には手を広げていく方針だ。



 「電子マネーを推しに払ってもらう、もしくは推しに還元するなど、使うことでさまざまな想像が膨らむアイテムだと思う。使い方はユーザー次第だが、“痛バッグ”“痛車”のような形で定着するとうれしい」(中野さん)


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