若きトムスボーイズがフロントロウ独占。担当エンジニアから聞こえてきた『2人の共通点』【第3戦オートポリス予選】

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2021年05月15日 22:41  AUTOSPORT web

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一時は初ポール獲得かと思われたが、アレジに逆転され2番手の宮田莉朋
雨の影響で、大荒れの展開となった2021全日本スーパーフォーミュラ選手権の第3戦オートポリス大会の公式予選は。ジュリアーノ・アレジ(Kuo VANTELIN TEAM TOM’S)がポールポジションを獲得。チームメイトの宮田莉朋が2番手につけ、チームトムスの若いふたりがフロントロウを分け合う結果となった。

 この日、九州地方は例年より3週間も早い梅雨入りが発表され、オートポリスも朝から大雨に見舞われ、公式予選も当日朝の予定から45分ディレイした15時35分に開始された。合計4度の赤旗中断となるなど大荒れの展開となったが、雨量が少ないわずかなタイミングでアタックを決めたトムスのルーキードライバーふたりだが、それぞれの担当エンジニアに聞くと、ある共通点があることが分かった。

 ジュリアーノ担当の大立健太エンジニア(中嶋一貴も兼任)は、昨年から36号車のトラックエンジニアを務めている。まだまだ慣れない部分もあり、今は2台を俯瞰的な立場で見ている東條力チーフエンジニアや、レギュラードライバーで経験豊富な中嶋一貴に助けてもらっている部分もあるいう。それでも自身がトラックエンジニアになって初めてのポールポジションということで、嬉しさを噛み締めている様子だった。

「すごく嬉しいですけど、ピットの位置(トムスは昨年の成績からもっとも1コーナー寄り)とタイミングがたまたま良かったです。セットアップに関しても、いろいろと勉強しなければいけないところはあるなと思っているので、その辺はもう少し頑張りたいですね」

 大立エンジニアは、今年から日本でレースを始めているジュリアーノについて、このように評価していた。

「ジュリアーノはドライビングをクルマに合わせ込んできてくれたと思います。すごく細かいところもあり、繊細なところもありますけど、予選になるとバチっと速さを出してくるところは、すごいなと思います」

「ただ(3月の)テストの時はアグレッシブさがあまり良くなかったところもありましたが、それも彼のドライビングの部分で少しずつ合わせ込むようにしてきてくれています。とにかく走るたびに進化していっているという感じです」

「あと、彼はあまりクルマのせいにしなくて、まずは自分のドライビングにフォーカスしていろいろ取り組んでくれています。その中で僕は、どういうふうにしたらクルマが速くなって、ジュリアーノが走りやすいのかを話し合いながらやっているという形です」

 ジュリアーノ自身、まずは自らののドライビングでタイムを上げていこうという姿勢が、今回のウエットの難しいコンディションでの結果につながったのかもしれない。

 今回の予選ではセッション終盤に雨脚が強くなり、タイム更新が見込めない状況下でも、積極的にコースインする姿をみせていたアレジ。これについて大立エンジニアは「ちょっとリスキーかなとは思いましたが、明日の決勝の雨量が多そうだったので、それを見越していろいろと確認をしてほしくて(コースに)出しました」と、ドライバー同様に攻めの姿勢を崩していない姿が印象的だった。

 一方、0.085秒差で2番手となった37号車の宮田莉朋を担当する小枝正樹エンジニアは、今回の予選をこのように振り返った。

「今回の結果(トムスのワンツー)はピット位置もけっこう関係していたと思います。その中でクルマに関しては、決して悪くはなかったかなとは思いますが、もうちょっとやらなきゃいけなかったという印象。37号車に関しては全部が全部うまくいったかというと、そうではなかったですね」

 さらに宮田と話し合って、決勝に向けて良いセッティングを見つけようとしていた小枝エンジニア。宮田を担当するのは今年からなのだが、彼も自身のドライビングの部分で何とかしようという意識を強く持っている部分があるという。

「基本的に速さは十分持っていると思いますし、昨年もスポットで乗った時も速かったです。彼は自分で何とかしようとします。クルマの状況に合わせてすごい自分で工夫して、アジャストしてみるとか、今のクルマの状況の良さを生かしてどう走れば良いか、というところをすごく考えてながら乗ってくれていますし、それも踏まえてコメントもくれます」

「それに対して『クルマ側でこうしてみる、ドライビング側でこうしてみる』という話ができます。だから、すごくやりやすいというか、お互いに歩み寄っていって良い方向に持っていくことができます。とはいえ、まだまだ発展途上ですけどね」

 雨ではドライバーの要素が多くなるというが、まさにふたりの積極性が活きた今回の予選。明日の決勝も、天候が読めない部分もあるのだが、トムスの若いふたりがどのようなレースを見せるのか。ますます楽しみな1戦となりそうだ。

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