雨のレースでオーバーテイク連発の野尻と大湯。『負けて強し』の圧倒的パフォーマンス【第3戦オートポリス決勝】

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2021年05月16日 21:11  AUTOSPORT web

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写真スタート直後の1コーナーのマルチクラッシュに巻き込まれてしまった16号車の野尻智紀
スタート直後の1コーナーのマルチクラッシュに巻き込まれてしまった16号車の野尻智紀
 雨と霧で大荒れのレース展開となった2021年の全日本スーパーフォーミュラ選手権第3戦オートポリス大会。ジュリアーノ・アレジ(Kuo VANTELIN TEAM TOM’S)の劇的な初優勝で幕を閉じたが、後方ではランキング首位争いを展開する野尻智紀(TEAM MUGEN)と大湯都史樹(TCS NAKAJIMA RACING)も目を見張るような挽回劇を披露した。

 今回、開幕3連勝を目指してオートポリスに乗り込んできた16号車の野尻。7番手からスタートを切ったのだが、1コーナーでの坪井翔(P.MU/CERUMO・INGING)と平川亮(carenex TEAM IMPUL)との接触で起きた混乱に巻き込まれてしまった。

 後続では各所で細かな接触があったが、その際に山本尚貴(TCS NAKAJIMA RACING)のフロントノーズ先端部分が、野尻のマシンの後端に引っかかってしまい、そこで少しタイムロスをしてしまった部分もあったようだ。

「僕も減速はできていたんですけど、誰かに当てられて加速して、僕のフロントノーズが野尻選手のテールに引っかかってしまいました。それで僕もステアリングが効かなくなっちゃいましたし、野尻選手も引っかかって失速してしまって、ふたりでタイムロスしてしまいました。ちょっともったいなかったですね」と山本。

 一方の野尻は、この時の状況を、こう振り返った。

「山本選手が僕に若干プッシングする感じになって、引っかかっちゃったって言っていたんですけど、僕はそんなに押されている感覚はなかったです。ただ、僕は僕で(1コーナーで)ロックしてしまって、僕の左フロントが少しだけ牧野(任祐)選手(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)のサイドポッドあたりが軽く接触したかなみたいな感じはあります。それで牧野選手の行き場をさらになくしてしまった感じがあったので、そこは申し訳なかったです」

「さすがに前があんな状況だったので、僕たちも止まらないといけない状況でした。そこで追突とか接触とかもあったと思います。ただ、幸い生き残れたので、そこは良かったです。ただ、12番手くらいまで落ちてしまって……『ヤバイ、終わった』と思いました」

 しかし、ここから野尻は怒涛の追い上げを見せ、6周目のメインストレートでは3台を一気にオーバーテイクするなど、みるみるうちにポジションアップ。10周目には5番手に浮上した。

「走っている感じではパフォーマンスは悪くなくて、けっこう手応えを感じていました。このまま(路面が)乾いていく方向だったら、可能性はけっこうあるなと、走り始めの段階から予測はできていました」

「すごくタイミングが良かったりして、一度に3台ぐらい抜けたりしました。1台ずつだと、たぶん、ここまで順位を上げることができなかったと思います。たまたまのタイミングだった部分もありますけど、効率よく、うまく抜け出せたかなと思います」

 結果的に、1周目の12番手から7ポジションアップの5位でチェッカーを受けた野尻。今回はハーフポイントのため、3点のみの追加となったが、ランキング2番手以下との差をさらに広げた。

「予選で力を出し切れなかったという部分があったりもしたんですけど、今回の雨のレースでも16号車が速いというところを見せられたというのが、周りにとって脅威になると思います。結果こそ負けはしましたけど、流れは(ライバルに)渡しているつもりもないです」

「今季はあと残り4戦ですが、SUGOと鈴鹿は、これまでも調子が良かったので心配はしていないです。普通に優勝を狙いに行くだけだと思っています。ただ、例年もてぎは調子が良くない部分があるので、そこを何とか攻略しないとチャンピオンは見えてこないと思います。しっかりと勝てるところで獲りに行くのは当然ですし、特に次のSUGOは確実に獲りに行くというのは、チームみんなの気持ちでもあります。それをしっかり形につなげられるように準備したいなと思います」

 そして、前日の予選では区間タイムで全体ベストを記録し、手応えのある走りをしていながらも、100Rでクラッシュを喫してしまった大湯。赤旗の原因を作ったとしてタイムは抹消され、決勝は最後尾からのスタートとなったが、1コーナーの混乱をすり抜け、1周目には10番手まで浮上していた。

「スタートで(1コーナーで)クラッシュしているのが見えて、僕も一瞬アウトに行こうか、インに行こうか迷ったのですけど、他のクルマがアウトから避けようとしているのが見えたし、どちらかというとイン側の方にスペースがあるなと判断して行ったのが正解だったと思います。それで一気に9ポジション上げることができました。あれはすごく良かったと思います」

 そこから前のマシンを着実に抜いていき、7位入賞を果たした大湯。予選ポジションを考えると十分な追い上げだったように見えるが、レース中に感じた“野尻との差”に半ばお手上げという感じだった。

 あんなにレースペースが速かったのは野尻選手だけでしたね。僕もポジションは上げて行っていたのですけど、野尻選手が(その勢いを)凌駕するような感じでした。

「オーバーテイクの仕方も余裕があるというか、どこのラインも通れるような勢いで、少し余裕がありそうでした。相当クルマが決まっていたのかなと思います」

「(赤旗中断の後)もしレースが再開していたら、相当速かったんじゃないのかなと思います。あのペースでいくと(再開していた)トップまで行くのではという感じでした。僕も再開されていればもっと順位を上げられていたかもしれないという気持ちもありますが、そこまでの(優勝を狙えるような)ペースはなかったと思います。そこは……複雑ですね」

「予選のポジションがあまり良くなくても、あれだけのものを決勝で出せるというのは、やっぱり16号車のクルマも含めて、ちょっと強いな……という感じです」

「今年のTEAM MUGENは強すぎるな……という感じですが、何とか追いつかなければいけないです。岡田エンジニアとチーム含めて、何とか改善しないといけないなと思っています。予選はトップを獲るところまでいけていないにしても、ギリギリで何とかなっています。決勝になるとズタボロになっちゃいます。何とか、そこをうまくやりたいなと思います」

 こうしてみると、開幕3戦を終えて、野尻が頭ひとつ抜け出したという感があるが、そこに対して大湯を始め、ライバルたちがどう立ち向かっていくのか。注目である。
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