「子連れOKじゃないと東京五輪に出場できない」 海外ママ選手たちの訴えに組織委の回答は?

46

2021年05月17日 08:00  AERA dot.

  • チェックする
  • つぶやく
  • 日記を書く

AERA dot.

写真橋本聖子組織委員会会長 (c)朝日新聞社
橋本聖子組織委員会会長 (c)朝日新聞社
 東京五輪に乳幼児や子どもを連れて来られないことにより、大会出場をためらう海外アスリートたちがいる。新型コロナの収束が見込めないなか、日本政府などは3月、海外からの一般観客の受け入れを断念。それに伴い、アスリートの子どもや家族も東京に同行できないことになったからだ。わが子をとるか、五輪を取るか――その狭間に立たされるママアスリートたちの心境は複雑だ。

【写真】米ファッション誌の表紙も飾ったことがあるアレックス・モーガン選手と、愛娘のツーショット

 サッカー女子アメリカ代表であるアレックス・モーガン選手(31)は、昨年5月に娘チャーリーちゃんを出産。9月にはイングランドのトッテナムに加入し、オランダやフランスへの遠征にもチャーリーちゃんを同伴していたという。12月にはトッテナムを脱退してアメリカに帰国。東京五輪にチャーリーを連れてくることができない状況について、4月、現地メディアにこう打ち明けていた。

「母親が競技中に子どもと一緒にいられる選択肢を持つことは大切なこと。幸運なことに、これまで私はチャーリーを連れてどのキャンプにも、試合にも一緒にいることができていた。母親として(子どもに)支えられていると感じることは重要。東京五輪に向け、また五輪の場でもこの思いを持ち続けたい」(米USAトゥデイ・ウェブサイトから)

 マラソンのアメリカ代表、アリフィン・トゥリアムク選手(32)には、今年1月に生まれたばかりの第一子となる娘ゾーイちゃんがおり、「娘と離れることを想像できない」とし、「これまでになく課題の多い五輪だが、母親や家族、子どもが必要とする配慮と支援がなされることを願う」と話している(米NBCスポーツ・ウェブサイトから)。

 陸上女子で歴代単独最多6個の五輪金メダル、3個の銀メダルを保持するアリソン・フェリックス選手(35)は、2歳の娘カムリンちゃんがいる。「娘が1歳になる前に競技に挑んだ時、母親は子どものそばにいる必要があると感じた。こうした母親は考慮されるべき」と公の場でコメントした。さらに女子テニスのセリーナ・ウィリアムズ選手(39)は、3歳の娘オリンピアちゃんと「24時間以上離れたことがない。それが答えだ」として、東京五輪の出場辞退を示唆するコメントを5月10日の会見で述べている。

 こうした状況を、小さな子どもを育てる日本の女性アスリートはどう見るのだろうか。陸上女子100メートル障害日本記録保持者で、元7人制ラグビーの選手でもある寺田明日香選手(31)に話を聞いた。寺田選手は現在、6歳の娘・果緒ちゃんを育てながら競技を続けている。

「サッカーのモーガン選手のように遠征に子どもを帯同させるには、ベビーシッターや宿泊所の手配など、チームの理解を得ることが必要です。それが許されていること自体、日本ではほぼ考えられないことです。私の場合は、そもそも合宿などに子どもを連れて行くという選択肢すらありませんでした」

 ラグビーで競技に復帰したのは果緒ちゃんが2歳半のとき。合宿中は家族に預けていた。ベビーシッターをつける支援制度が設けられたこともあったが、一度も利用したことはなかったそうだ。

 東京五輪で女性アスリートたちから声が上がっていることについては、こう語る。

「世界的に男女平等と女性活躍が謳われているなか、特に日本は後進国。アスリートの世界でもかなり遅れをとっています。東京五輪は史上初のジェンダー・バランスの取れたオリンピックであることを宣言しています。まだ授乳期間中であれば子どもにも影響しますから、女性アスリートが自ら辞退を申し出なければならないような事態になっていることに、モヤモヤとした思いがあります。授乳中のママということが理由で出場を断念することがないようにするべきです。どこで線引きをするかは難しいですが、連れてこなければならないほどの小さな子どもがいる選手は、それほど多くないはず。そこに対応できないということは、日本の力不足を見せてしまうことになるかと思います」(寺田選手)

 東京五輪・パラリンピック大会組織委員会の橋本聖子会長は、国際女性デーの3月8日、東京五輪の公式ホームページで次のようにこう語っている。

<(最も影響を受けた女性アスリートは)旧東ドイツのクリスタ・ルーディング・ロテンブルガーさんです。スピードスケートと自転車、それぞれの競技においてオリンピックでメダルを獲得され、トップアスリートとしても活躍する一方、ドレスデン市議会議員を務め、大学にも通って勉強をされていました。結婚・出産後にカムバックしてメダルを獲得するなど、「こんな人がいるのか」と大変影響を受けた方です。ロテンブルガーさんの生き方を見て、私も自転車に挑戦し、そして政治の道に進む原点にもなりました>

<世界は今、東京2020大会に注目しています。これを1つのチャンスと捉え、組織委員会から「ジェンダー平等」や「多様性と調和」について具体的に発信していくことが、日本の社会を変えていくことにつながるのではないか。東京2020大会を通じて、社会の意識改革を目指していきたいと思います>

 丸川珠代五輪相もこんなメッセージを発信している。

<東京2020大会を、世界中の人々が多様性と調和の重要性を改めて認識し、共生社会をはぐくむ契機となるような大会とするべく、日本国政府は、IOC、IPC、東京都及び大会組織委員会とともに、東京大会を史上最高のジェンダー平等の大会とすること、スポーツ界における女性の参画を推進すること、コロナ禍において大きな影響を受けた女性への支援を行うことに、全力で取り組んでいきます>

 「多様性と調和」を掲げる東京五輪で、女性アスリートが出場か家族かを選択しなければならない状況にあることを、大会組織委員会はどう受け止めているのか。AERA dot.の質問に対し、以下のように回答した。

「子どもを持つ多くの女性アスリートがオリンピックを含む高いレベルでの競技を続行していることは素晴らしいこと。他方、東京大会は、コロナ禍での大会ということもあり、国際オリンピック委員会(IOC)との協議の結果、アスリートの家族等同伴者の参加は断念せざるを得ないということになっています。ただ、特に幼いお子様については特別の事情もあることから、どのように対応するのか、引き続き関係者のご意見等をお聞きしながら、国際オリンピック委員会(IOC)・国際パラリンピック委員会(IPC)と相談していきたい」

 感染対策とのバランスを問われるなかで、アスリートの声にどう対応するのか。橋本会長の目指す「意識改革」が試されている。

(文/AERA dot.編集部・岩下明日香)

このニュースに関するつぶやき

  • 宮沢「僕は守ると思いますよ」豊田真由子様(パフリックヘルスの専門家、ハゲに厳しい)「守らなーい」宮沢「そしたらとっとと捕まえて」真由子様「警察が足りなーい」
    • イイネ!0
    • コメント 0件
  • だから中止すればそのへんの問題も解決するだろ
    • イイネ!23
    • コメント 0件

つぶやき一覧へ(35件)

ニュース設定