60歳以上の会社員100人に聞いた「働き続ける理由」。年金だけでは暮らしていけない

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2021年05月17日 09:02  日刊SPA!

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写真イラスト/bambeam
イラスト/bambeam
4月1日から施行された「70歳就業法」こと、「改正高年齢者雇用安定法」。この改正により、70歳までの就業機会確保が企業の努力義務とされ、事実上「定年=70歳」時代が到来した。表向きは少子化による労働人口減少を防ぐべく、高齢者雇用で労働力を確保するということだが、専門家はどう見るのか? 話を聞いた。

◆定年後を見据え考えるべき資産・人間関係・仕事のこと

 シニア人材雇用に詳しいクオリティ・オブ・ライフ代表の原正紀氏はこう分析する。

「高齢化社会による財源不足で、年金、医療保険、介護保険という社会インフラに頼った老後生活が揺らぎつつあります。今後、年金支給年齢が上がり、支給額が下がるなどの変化が起こる可能性も少なくない。

 今回の法改正には、現役世代の年金負担の軽減と財源確保に加え、少しでも高齢者の老後破産を防ぐため、『70歳まで働き続けて、年金で足りない分は自分でカバーしてほしい』という意図もあるのではないでしょうか」

◆今から老後資金の目安を知るべき

 今後、中年世代を待ち受ける、不確実な未来。でも、だからこそ、「先がわからないから、今から老後資金の目安を知るべき」と語るのが、定年後、経済コラムニストとなった大江英樹氏だ。

「最近は老後資金の準備に向けて、『W.P.P.』という老後資金に関する優先順位を表した概念が話題です。それぞれ『W:Work longer(できる限り長く働く)』『P:Public Pension(公的年金)』『P:Private Pension(私的年金)』を意味していますが、老後資金を蓄える上で最優先は、働いて手堅く所得を得ること。仮に公的年金だけで老後の生活費すべてを賄えずとも、働き続ければリスクヘッジになりますから」

 これは現役時代と同水準で稼ぎ続けろというわけではない。

「受給額が多少減ったとしても、公的年金が0円になることはありません。受け取る年金の目安は『ねんきん定期便』や『ねんきんネット』で確認を。また、退職金や企業年金は人事部などに聞けば教えてもらえます。公的年金、退職金、企業年金を合算し、足りない分は個人資産や働いて稼ぐという考え方が理想的です」(大江氏)

◆シニア世代が働き続ける理由で最も多いのは「生活費」

 週刊SPA!が60歳以上でも働き続ける男性100人を対象に実施したアンケートでも、シニア世代が働き続ける理由で最も多かったのは「生活費(60人)」。得ている年収は「300万円以上〜500万円未満(38人)」が最多。貯蓄は「1000万円未満」が半数を占めた。

「私自身も退職時の貯金は150万円でしたが、現在、夫婦二人での生活費は22万〜24万円と年金の枠内に収めています。趣味や旅行など『人生を楽しむお金』は働いて稼いだお金や投資で得たお金を使うので、仮に貯蓄がなくてもやっていけます」(同)

 とはいえ、今の40代・50代が70代になるころに、同程度の年金水準のままである確証はない。

「逃げ切り世代という言葉がありますが、これは『それ以降は逃げ切れないぞ』ということではないでしょうか。逃げ切れない世代は自分をどう守るべきか、一度考えるしかないのです」(原氏)

◆別れが多いシニア層は仕事で人間関係構築を

 シニアが働く理由は金銭面だけではない。アンケートでは2位に「社会との関わり(53人)」、3位で「健康のため(52人)」との回答が挙がっていた。

「子どもの自立や友人の死去など、シニアになればなるほど別れは増え、人間関係は希薄になる。一方で、仕事を辞めた途端に緊張感がなくなり、老け込む人も多い。人間関係や健康寿命の維持のために働き続ける人も、今後は増えていくと思います」(同)

◆企業側は負担?

 では、シニア人材について企業側はどう思っているのだろうか。シニアの派遣紹介を行う高齢社の前社長・緒形憲氏はこう語る。

「正直、企業側は『高齢者は仕事ができないので、採用は控えたい』と考える風潮は強いです。だから、65歳の雇用義務でも大変なのに、70歳まで雇用の努力義務が課せられ、負担に感じる企業も多いはず。継続雇用であっても、65歳から給料が減り、権限や裁量がなくなれば、誰もがモチベーションが下がって扱いづらくなる。定年後も働くなら、役職や給与に関係なく『社会と関わりたい』、『人の役に立っている』とやりがいを持てる人でないと、企業側も受け入れにくいですね」

◆どんな人材に需要がある?

 では、実際にどんな人材に需要があるのだろうか。

「従来は建設・警備・清掃・介護などの現業職が多かったのですが、最近はシニア需要も営業・技術・管理・事務など幅が広がっています。また、テレワーク導入で、シニア活用は今後さらに進むでしょう」(原氏)

 受け入れは進むにせよ、高齢者労働人口が増えていけば、働き口を取り合う可能性も。そこで負けないために大事なことは?

「シニア人材が弱いところはデジタル。いまだにガラケー、FAX、郵送でしか連絡を取れない人も多い。デジタル機器の操作方法は、アップデートし続けましょう。あとは、経歴を自慢せず、謙虚な姿勢も大切です」(緒形氏)

【原 正紀氏】
クオリティ・オブ・ライフ 代表取締役社長。近著に『定年後の仕事は40代で決めなさい 逃げ切れない世代のキャリア改造計画』(徳間書店)など

【大江英樹氏】
経済コラムニスト。オフィス・リベルタス代表。証券会社を経て、独立。近著に『いつからでも始められる 一生お金で困らない人生の過ごしかた』(すばる舎)

【緒形 憲氏】
60歳以上のシニア人材専門の派遣会社・高齢社の前社長。東京ガス、子会社社長を経て、定年退職後’15年末から高齢社に。現在登録者数は1000人を超える

<取材・文/週刊SPA!編集部>

―[[老後も働く]のリアル]―

このニュースに関するつぶやき

  • 安倍晋三がアメリカ&投資銀行にうちらの年金を差し出したから、受給年齢引き上げ&年金が安いまたは出ないなんて事になるから、働かなくてはならないという悲劇。
    • イイネ!3
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  • 自分も定年退職後は #シルバー人材センター に登録かなぁ。
    • イイネ!13
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