五輪まで2カ月半 競泳はGWで「キャパシティーを広げる」

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2021年05月17日 17:00  AERA dot.

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写真平井伯昌(ひらい・のりまさ)/競泳日本代表ヘッドコーチ、日本水泳連盟競泳委員長
平井伯昌(ひらい・のりまさ)/競泳日本代表ヘッドコーチ、日本水泳連盟競泳委員長
 指導した北島康介選手、萩野公介選手が、計五つの五輪金メダルを獲得している平井伯昌・競泳日本代表ヘッドコーチ。連載「金メダルへのコーチング」で選手を好成績へ導く、練習の裏側を明かす。第68回は、「GW」について。

【写真】東御市の合宿に参加した選手ら

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 競泳の日本代表チームは4月の五輪代表選考会翌日からの第1次合宿を終えて、所属のチームに戻って練習を続けています。

 私のチームは4月23日から5月13日まで3週間、長野県東御市の標高1750メートルの準高地にある「GMOアスリーツパーク湯の丸」で合宿を行っています。

 五輪イヤーのゴールデンウィーク(GW)は、夏の五輪本番に向けた重要なトレーニング期間です。ゴルフにたとえると、グリーンを狙うアプローチショットでしょうか。できるだけピンに近づけるために正確なショットを打ちたい。

 選考会でいい結果を出した選手はグリーンに近づいているわけで、これまでの練習を微調整する形で進めていいでしょう。選考会が芳しくなかった選手は、まだグリーンまで距離が残っている状況なので、ここで立て直す必要があります。

 五輪3大会連続代表の萩野公介、前回リオ五輪は日本選手団唯一の中学生だった酒井夏海、そして初出場の青木玲緒樹(れおな)、大橋悠依、白井璃緒。私自身、反省すべき点があった選考会は選手も満足できる結果が出せなかったので、このGWはしっかり泳ぎ込んで、自分のキャパシティーを広げる練習に取り組みました。

 スピードを強化する仕上げの練習のときに泳ぎが崩れないように、ここで固めておきたい。たとえば4月下旬には50メートルを75秒ごとに1回、計40回泳ぐインターバルトレーニングを入れました。4回続けてハードに泳ぎ、1回イージーの泳ぎを入れて、これを8セット繰り返します。ハードは全力ではなく、いい泳ぎで8割5分ぐらいの出来をずっと維持する。冬場の泳ぎ込みの時期にやるようなメニューですが、集中していい練習ができていました。

 東御市の準高地合宿を終えた後、5月に二つの大会に出てレース感覚を磨き、6月のジャパンオープンである程度、泳ぎを整えていきます。そこから本格的にレースの練習に切り替えていこうと思っています。

 4月25日には東京、京都、大阪、兵庫の4都府県で緊急事態宣言が発出されました。新型コロナウイルスの変異株による感染の広がりが報じられ、医療現場が対応に苦慮している様子が伝えられます。東京五輪の中止や延期を求める人が増えている世論調査の結果も出ています。これまで私が参加した五輪とはまったく違う環境で地元開催の五輪を迎えることになります。

 子どものころから五輪にあこがれ、長い年月、努力を続けて代表の座を勝ち取った選手たちには、晴れの舞台で思い切り実力を発揮してもらいたい。1964年東京大会がそうだったようにスポーツへの関心が高まり、トップアスリートのレベルアップだけでなく、多くの人が日常にスポーツを取り入れて、より健康な生活を送るための契機としてもらいたい。

 そういう五輪のプラス面の議論ができず、コロナ対策に終始している現状を厳しく受け止めています。

 国や自治体が今取り組むべき課題はワクチン接種ではないでしょうか。緊急事態宣言で日々の暮らしに制限をかけるだけでなく、感染リスクを抑えるワクチン接種を広げる道筋を示してほしいと思います。

 五輪まで2カ月半、競泳日本代表チームは最大限の努力を続けていきます。

(構成/本誌・堀井正明)

平井伯昌(ひらい・のりまさ)/競泳日本代表ヘッドコーチ、日本水泳連盟競泳委員長。1963年生まれ、東京都出身。早稲田大学社会科学部卒。86年に東京スイミングセンター入社。2013年から東洋大学水泳部監督。同大学法学部教授。『バケる人に育てる──勝負できる人材をつくる50の法則』(朝日新聞出版)など著書多数

※週刊朝日  2021年5月21日号

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