LiSAと振り返る、10年間の「最高の日々、最高の道のり」――LiSA10周年インタビュー

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2021年05月17日 17:41  ダ・ヴィンチニュース

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LiSA

 2011年4月20日。1stミニアルバム『Letters to U』で、LiSAがソロデビューを果たしてから、10周年を迎えた。『紅蓮華』や『炎』の驚異的な大ヒット、2020年末にはTBS「第62回輝く!日本レコード大賞」にて「日本レコード大賞」を受賞、NHK紅白歌合戦に2年連続出場――いまやLiSAを説明し、紹介するためのフレーズはそれこそ無数にあるけれど、10年前に歩みを始めたひとりのシンガー・LiSAが、最初から自信たっぷりで、すべてを成功させてきた完全無欠のスーパースターだったかと言えば、決してそうではない。傷つき、悩み、それでも楽曲を受け取ってくれる・ライブを一緒に楽しんでくれる仲間たち、彼らがLiSAに託した夢が、彼女を奮い立たせ、その足を前に運ばせる力となってきた。LiSAがオンリーワンの存在であり続けている理由、それは聴き手に近づきたいと願う想いの強さであると思う。初めて話を聞かせてもらった2012年から、その印象はまったく変わらない。ブレることなく過ごした日々、進んできた道のりが、今のLiSAの楽曲やメッセージを形成しているのだ。

 今回は、10周年のミニアルバム『LADYBUG』(5月19日発売)にあわせて、10年間の軌跡をLiSAとともに振り返らせてもらった。『紅蓮華』や『炎』をきっかけにLiSAを認知し、彼女の歌にのめり込んだ方は、たくさんいることだろう。だからこそ、LiSAの原点・根幹を成す考え方をお伝えするために、10年間の前半について厚めに語ってもらうロング・インタビューとなった。5日にわたって、お届けしていきたい。第1回は、2011年のソロデビューから、2012年までの歩みをたどった。

ソロデビューして、たくさんの人が聴いてくれたことが嬉しかったし、その人たちを絶対に後悔させないようにしようって思った

――2011年4月リリースの1stミニアルバム『Letters to U』からお話を聞いていきたいと思います。今聴いても素晴らしい1枚だなあ、と思うんですけども、2016年、5周年の『LUCKY Hi FiVE!』のときに『Letters〜』は「自分以外の色に染まるのがイヤだった。あとから愛せるようになった」という話を聞かせてもらって。改めて、今『Letters〜』はどういう位置づけになっていますか。

LiSA:『LADYBUG』を作るにあたって、わたしも『Letters to U』のときの気持ちをちゃんと思い出した上で、振り返る作業をしました。今回の『LADYBUG』を7曲入りで、新しい方たちと一緒にやっていくことを決めさせてくれたのは、やっぱり『Letters to U』があったからでした。『Letters to U』は、それこそガルデモ(Girls Dead Monster)がひと段落して、自分自身の名義として出すものを作るぞ、となり、ニコニコ動画で活躍するクリエイターの皆さんや、田淵先輩(田淵智也/UNISON SQUARE GARDEN)のようにアーティストさんを連れてきてもらって、できあがった楽曲たちでした。

 当時、これから何色にでも染まりそうな自分が、すごく色濃いクリエイターさんと一緒にやることに対して、すごく恐怖があって。だからこそ、自分が何色にも染まらない、自分のやりたいことは自分で表現しなくちゃ、という意味で、(M-1の)“Believe in myself”を、それまで一緒にバンドをやってくれていたみんなと一緒にレコーディングしました。そこで自分にとっての軸をきちんと作れたからこそ、皆さんの楽曲にも自分を預けることができたのが、『Letters to U』です。もう、色濃いクリエイターさんがいっぱいいて(笑)。

――(笑)。

LiSA:最初から、大きな試練をもらったような感覚はありました。でも、そこで初めて出会った強い味方が、田淵先輩でした。曲への言葉の当て方みたいなところをすごく勉強させてもらいました。先輩に出会って――先輩が書いてくれた“妄想コントローラー”は、自分もガルデモからの流れとして好きな楽曲だったし、田淵先輩もガルデモのライブに来てくれて、少なからずわたしのことを理解しようとしてくれた上で、“妄想コントローラー”を作ってくれたので、すんなり受け入れられたところはありました。ただ基本的には、すごく難しい曲が多かったし、いわゆる普通のデビューではなかったような気がします。

――結果的に、だけど、デビューだから大切に、慎重にやっていきましょう、というよりは、わりと豪快に作られている1枚だった、と。

LiSA:そうですね。だって“覚醒屋”なんて、レコーディングを生配信でやったんですよ?

――破天荒なことしてるなあ……歴史がありますね(笑)。

LiSA:(笑)はい、そういうことをしてました。

――しかし、10年前にリリースされた曲たちで、タイアップもついていないのに、最近でもライブで歌うとめちゃくちゃ盛り上がるじゃないですか。“妄想コントローラー ”や“覚醒屋”なんてものすごく愛されているし、自身の体験を歌にした“無色透明”は、それこそライブを経て体験が浄化されていくようなところもあったし。その点では、今でも『Letters〜』の曲たちへの愛着は相当あるのでは?

LiSA:そうですね。結果として、お客さんが一緒に積み上げてくれた思い出も含めて、全曲大事な曲になってます。曲を好きでいてくれる人たちの顔が浮かぶ楽曲ばっかりですね。

――もう、2012年の野音(日比谷野外大音楽堂)の映像の記憶とセットになっていて、個人的には“ミライカゼ”への思い入れはハンパじゃないですけど。

LiSA:(笑)わかります。わたしも、楽曲をレコーディングしたときの記憶よりも、ライブで完成したとき、ライブが見せてくれた景色で覚えてます。

――音源はとても充実した内容だったけれども、振り返ってみると、2011年4月って、世間的にはみんなが大変な思いをした時期でもあったじゃないですか。CDが出た当時のことってどう記憶してますか。

LiSA:発売日の4月20日が来るまで、その1ヶ月くらい前からは本当に何もできなかったし、当時は「やっぱりわたしのデビューはないんだな」って思ってました。それまで、一緒に意気込んでくれていたアニプレックスのみんなの気持ちとかとは裏腹に、「神様はわたしをデビューさせる気なんてないんだ」と(笑)。だけど、実際デビュー日の直前になって、秋葉原のアニメイトさんだったり、ガルデモのときと変わらず大きく展開してくれたり、コーナーを作ってくれたりして。すごく幸せなデビューを迎えました。

――無事にリリースできた安ど感もありつつ、いろんな人が味方してくれたことが記憶に残っている。

LiSA:そうですね。振り返ってみると、お店の方も大変だったと思うんです。買いたいものが買えなかったりもしたし。その中で、お店の方々がちゃんとデビューの日を飾ってくれたのはすごいことだなあと、いまでも思います。

――実際に出るまでは不安だらけだったデビューを経て、結果としてはたくさんの人が『Letters〜』を応援してくれた、聴いてくれた事実に直面したときに、どんなことを感じましたか。

LiSA:「ここから始まりなんだな」って思ったし、「この人たちのことは裏切らないぞ」って思いました。ガルデモのときも、自分の姿は出ていないけど、アニメの映像でユイちゃんが歌ってる映像で、『COUNT DOWN TV』で歌が流れるような、不思議な体験をして。ツアーをやったら全部ソールドアウトして、アルバムもシングルも全部10位以内に入って……実感がなさすぎて、よくわからなくて。わたしは何もしていないのに、こんなにたくさんの人が楽しんでくれるんだなって思ったけど、それはいつかなくなるものだ、とも思いました。みんなはアニメの作品を通して楽しんでくれているだけで、それが終わったら全員いなくなるんだって。だけど、ソロデビューして、たくさんの人が聴いてくれたことが嬉しかったし、その人たちを絶対に後悔させないようにしようって思いました。

――結果そうなっていないから聞けることだけど、うまくいかなかったら、その人たちが全員いなくなってたとしたら、どうしようと思ってたんですか。

LiSA:いなくなったら、また最初に戻るんだと思ってました。最初、わたしは何も持ってなかったから。

――違う場所で音楽を続けると想像していた?

LiSA:うん。また最初からそういう場所を探す、自分のやり方を探していく。明確には何も決めていなかったですけど、でもソロデビューして、最初からうまくいくとは思ってなかったですね。デビューが決まって、そこまではとにかく長い長い日々で、夢が叶う日を当日まで、「来るかな? 来ないかなあ?」って考えていました。その日を迎えたあと、たくさんの人にCDを受け取ってもらって、「ここから始めるぞ」って思ったときに、最初に立てた目標が武道館です。受け取ってくれた人たちを後悔させないための方法が漠然と武道館でした――武道館しか知らなかったから(笑)。

――(笑)頑張った自分がそこに立てたらいいな、という想いと、支えてくれた人たちが報われるという点でも目指したい場所が、武道館だったと。

LiSA:そうですね。

ガルデモを始めたとき、アニメのお客さんに感動した

――ライブと言えば、武道館より以前、2012年の野音のライブがとにかく素晴らしくて――。

LiSA:野音の映像が好きな人、たくさんいるんですよ。特に、昔から好きでいてくれる人たちは、野音の映像の話をしてくれますね。

――あのとき会場にいた人たちは最高にハッピーだっただろうと思うし、自分は映像だけですけど本当に素晴らしいライブだったと思います。LiSAのライブの神髄が出ているし、「こういうものなのである」という。それこそ長年応援しているファンの人には有名な話だと思うけど、1曲目の“優しさに辿りつくまで”、2曲目が“ROCK-mode”で、最初フードをかぶっていて、1曲目と2曲目の間でフードを取る。それは、めちゃくちゃ緊張してたからである、と。

LiSA:超震えてますもんね、「よ、よ……ようこそ」みたいな(笑)。わたし、今でも思うんですけど、あれは自分で自分を不安にさせてたんだと思います。フードをかぶって見えなくなると、余計に緊張するじゃないですか。だって、目の前の人がどういう顔してるかわからないから(笑)。自分で自分の不安を煽ることをしていたなって。

――あれは演出? それとも自分の意志?

LiSA:自分でやった(笑)。自分で不安を煽る演出を、自分で作ってました(笑)。なんか、カッコつけて出られないんですよ。目が合うと笑っちゃうというか、笑わないといけない気持ちになる、というか。みんなが「LiSA〜!」ってやってくれているのに、ニコッとせずにはいられないから。だから、ちゃんと1曲目の世界観と向き合うために、わざと見ないようにして、自分の感情をちゃんと出すためにフードをかぶっていったんですけど、結果緊張して「よ、よ……ようこそ」(笑)。

――(笑)逆に今は、ライブのステージに立って1曲目に入るとき、どういう気持ちでいるんですか。

LiSA:変な言い方になりますけど、ショータイムです。「は、じ、ま、る、よ!」って感じですね。自分が仕掛けてる感じ。

――フードの話やカッコつけて出られない話も象徴的だけど、当時「ここまでオーディエンスに向き合える人ってなかなかいないよな」って思ったんです。で、それはいい/悪いでもなくて、誰かと比較したいわけでもないんだけど、映像を観てから8年、9年経って、改めて考えると、最初からオンリーワンなやり方をしていたのではないかって思うんですよね。だからこそ、今のLiSAが存在している、というか。その意味で、たとえば他のアーティストと交流したりする中で、「自分のライブって特殊なのかな?」って感じることもあるんじゃないかな、と思うんですけども。

LiSA:これはわたしの経験でしかないですけど、ロックバンドって、カッコつけてこそロックバンドというか、自分から近寄っていかないのかなって思ってたんです。わたし自身がバンドをやっていたときも、初めてライブに来た人たちが、最初っから自分のライブで盛り上がってくれることなんてなかったし。対バンで、他の人のライブを観に来た人、自分目当てで来ていない人たちをどう巻き込むかに、必死になってました。1回ライブをして「ああ、あの人の手は上がらなかったな」って反省するのが、基本だったから。だから、ガルデモを始めたとき、アニメのお客さんに感動したんですよ。最初に行ったのが『ANIMAX MUSIX』だったんですけど、全員に対して「この人を観に来たんですか?」というくらい、全員がその曲を勉強して楽しんでいる姿を見て、「これはすごいことだな」って思って。「その人たちにもっと楽しんでもらう方法を、わたしなら提案できるんじゃないか」って思いました。

――バンド時代から持っていた思想というよりは、ガルデモをやって培われた考え方、ライブの有りようである、と。

――じゃあ、バンド時代はどうだったんですか。

LiSA:バンド時代は、カッコつけてました(笑)。

――(笑)「歌うんで、聴いてください」みたいな? ああ、だからフードかぶったのか。

LiSA:ははは。そうかも。

第2回へ続く(第2回は5月18日配信予定です)

取材・文=清水大輔  写真=藤原江理奈
スタイリング=久芳俊夫(BEAMS) ヘアメイク=氏家恵子

LiSA

LiSA(りさ)

TV アニメ『Angel Beats!』で劇中バンド「Girls Dead Monster」2 代目ボーカル・ユイ役の歌い手を務めたのち、2011 年にミニアルバム『Letters to U』でソロデビュー。TV アニメ『Fate/Zero』『ソードアート・オンライン』『魔法科高校の劣等生』など数々の人気作品の主題歌を担当し、フルアルバムを4枚リリース。2018年5月にリリースした自身初のベストアルバム『LiSA BEST -Day-』『LiSA BEST -Way-』は、オリコンウィークリー1位・2位を独占するという快挙を達成。2020年末にはTBS「第62回輝く!日本レコード大賞」にて「日本レコード大賞」を受賞。さらに、2年連続で「第71回NHK紅白歌合戦」への出場。2021年4月20日、ソロデビュー10周年を迎えた。

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