優勝候補筆頭は佐藤琢磨。8台体制のアンドレッティ・オートスポートも要注意/第105回インディ500プレビュー

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2021年05月19日 03:01  AUTOSPORT web

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写真インディアナポリス・モータースピードウェイを走行する佐藤琢磨の30号車
インディアナポリス・モータースピードウェイを走行する佐藤琢磨の30号車
 2021年の第105回インディ500には35台のエントリーがされる予定で、36台目が登場する可能性もある。グリッドは33個なので、少なくとも現時点で2台が決勝に進めないことになる。

 2年前の衝撃が思い起こされる。あの年にはF1チャンピオンのフェルナンド・アロンソが、ルーキーのカイル・カイザーにバンプ・アウトされて予選落ちを喫した。今年も予選からドラマが生まれるだろうか?

 今年のエントリーには、インディ500優勝経験者が9人もいる。

 3勝を挙げ、史上最多に王手をかけているエリオ・カストロネベスは、今年はチーム・ペンスキーからではなく、メイヤー・シャンク・レーシングからの出場。使用エンジンがホンダになる。彼はポールポジションも4回の獲得歴がある。これはもちろん今年のエントリーの中で最多だ。

 2勝しているのは昨年のウイナーである佐藤琢磨(レイホール・レターマン・ラニガン・レーシング)と、2017年以来の出場となるファン・パブロ・モントーヤ。彼もチーム・ペンスキーからの出場ではなく、アロウ・マクラーレンSPからだ。

 カストロネベスもモントーヤも、力を伸ばしている真っ最中のチームから出場。おもしろい存在となるだろう。カストロネベスの走るチームがアンドレッティ・オートスポートと技術提携しているので、彼の加入がアンドレッティの6人いるドライバーたちにも何らかの影響を与えるだろうところが楽しみだ。



 インディ1勝のドライバーたちの中では、スコット・ディクソン(チップ・ガナッシ・レーシング)が、昨年自身3回目となる2位フィニッシュという悔しい思いをしている。PPも3回獲得している彼は今年もPP、レースの優勝、どちらも候補に挙げられる。

 1勝、PPも1回のトニー・カナーンが今年はチップ・ガナッシ・レーシングに復帰しての出場を実現。大きなチャンスを与られている。アレクサンダー・ロッシ、ライアン・ハンター-レイもアンドレッティ・オートスポートからのエントリーなので強力だろう。

 そして、忘れてはならないのがウィル・パワーとシモン・パジェノー(PP1回)。チーム・ペンスキーからエントリーするふたりも2勝目に意欲満々だ。

 ルーキーは3人と少ない。その中で最も活躍しそうなのはチーム・ペンスキーから出場のスコット・マクラフラン。他はピエトロ・フィッティパルディ(デイル・コイン・レーシング・ウィズRWR)、もうひとりはRC・エネルソン(トップ・ガン・レーシング)。

 女性ドライバーも1人出場。シモーナ・デ・シルベストロが女性がチーム・オーナーのパレッタ・オートスポートで走る。彼女たちはチーム・ペンスキーのサポートが受けられる契約になっている。

 エンジンはホンダが17台、シボレーが18台。一昨年はシボレー優位、昨年はホンダにアドバンテージがあった。今年はどうなるだろうか?

 よりダウンフォースの大きい新エアロルールとのコンビネーションで、どちらのエンジンが有利になるのかは、プラクティスが重ねられないとわからない。

 プラクティス開始は今年も火曜日。ノーマルブーストで水曜、木曜まで走り、金曜は翌日からの予選に向けてブーストが高められる。その状態で2日間走行。

 日曜日に予選が完全に終了した後、決勝向けの集団走行=グループランを試すプラクティスが設けられる。

 ここまでで6日間の走行だ。他のレースと比べれば走行時間は遥かに多い。しかし、プラクティスを2週間行い、予選も2週末4日間かけて行うのがインディ500の伝統的スケジュールだった。

 徹底的にマシンを磨き上げてから500マイルのバトルを戦う。そのことがインディ500に重みを与えていた。その頃に比べれば、走行時間は本当に短くされており、価値が下がってしまわないかとの心配される。レースを前にして、最後の調整を行るのは金曜日。カーブデイという伝統はまだ残されている。


 4月にインディアナポリス・モータースピードウェイで行われた2日間のテストでは、最速ラップがチーム・ペンスキーのジョセフ・ニューガーデンによって記録された。

 ドラフティング利用で226.819mph。彼は2日目に130周の走り込みをこなし、「まだ進歩させるべき部分はもちろんあるが、2日間走ってマシンの仕上がりは満足のいくものにできている。新レギュレーションで前を行くマシンについて行くのは簡単になっているが、トップから10台とか後方のポジションだと走るのが大変だ」と走行フィーリングを話していた。

 テスト2番手は琢磨だったが、「ドラフティングを利用したもので、納得のいくラップではなかった」と彼は話していた。

 226.396mphをマークしたが、「トラブル続きだった。もっと走り込むつもりだった。最後の30分間を走れたのはよかったが、マシンのバランスはまだ満足のいくレベルに届いていないし、トラフィックの中でのハンドリングもほとんど試せていない」とコメント。

 チームメイトのグラハム・レイホールが単独走行でも集団走行でも速く、インディ500のみチームメイトとなるサンティーノ・フェルッチも上々。チームとしてデータはまずまずのものが得られている。

 3番手につけたのはモントーヤ。226.123mphをマーク。4番手はディクソンの225.906mph。優勝候補はテストでも実力を発揮していた。

 今年は開幕からの5戦で5人のウイナーが誕生している。アレックス・パロウはチップ・ガナッシ・レーシングから、パト・オーワードはアロウ・マクラーレンSP、そしてリナス・ヴィーケイはインディでPPを3回記録しているエド・カーペンター・レーシングからと、キャリア初勝利を挙げたばかりのドライバーたちもチーム体制が良いので、彼らが優勝争いに絡んでくることも期待ができる。

 インディでコンスタントに速さを見せているアンドレッティ・オートスポートも要マークだ。技術提携組のジャック・ハーベイとカストロネベスがテストではトップ10入りしていた。

 アレクサンダー・ロッシはインディで常に速いし、昨年のポールポジションウイナーであるマルコ・アンドレッティもスポット参戦してくる。ジェイムズ・ヒンチクリフもインディでのPPを2016年に獲得の実績あり。急成長を続けるコルトン・ハータもいる。2回目の参戦となるステファン・ウィルソンのエントリーも行うアンドレッティ軍団は8台が協力体制という層の厚さを誇り、収集データ量もダントツで多いところを武器に戦う。


 琢磨は優勝候補の筆頭。2017年と2020年のウイナーは、ここ数年、インディで最も安定して強さを発揮しているドライバーだ。

 今年はエンジニアが変わったが、昨年共に優勝を飾ったエンジニア、エディ・ジョーンズとのコンビがインディでは復活。短い走行時間で勝つために必要なマシンを作り上げる。そのノウハウを昨年もう一段高めたのが彼だった。

 空力ルールが変わって、レースがどんなバトルになるのか、正確なイメージを描き、それに見合うマシンを作り上げる戦いで、技術面に対する理解度が深い彼の能力は大きなプラスとなるはずだ。2連覇、通算3勝目の可能性は小さくない。


 予選で琢磨がどこまで上位に来るかは不明だが、レースで競い合う相手はディクソン、ロッシ、パジェノー、ニューガーデン、モントーヤ、ハンター-レイ、パワー、カストロネベス、カナーンあたりでは?

 インディ500では経験が大きくものを言うのでベテランが強いが、、若手もオーワード、パロウ、ヴィーケイの初勝利トリオは速いだろうし、チーム・ペンスキーで走るマクロクリンにも注目したい。
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