田原総一朗「五輪中止の声を大きくした“ワクチン獲得戦争”の敗北」

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2021年05月19日 07:00  AERA dot.

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写真田原総一朗・ジャーナリスト (c)朝日新聞社
田原総一朗・ジャーナリスト (c)朝日新聞社
 ジャーナリストの田原総一朗氏は、東京五輪に関する世論調査で中止、延期が過半数に達している理由を論じる。

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 5月7日に菅義偉首相は、11日までとなっていた3回目の緊急事態宣言を5月末日まで延長することを決定した。

 もともと4月25日に緊急事態宣言を出したとき、医療専門家たちは17日間では短すぎると反対していたのである。

 それを政府があえて5月11日までとしたのは、17日にIOCのバッハ会長が来日して、都の幹部や政府の五輪担当者と会議を行って東京五輪の開催を最終的に決めることになっていたためで、菅首相としては、何としてもそれ以前に緊急事態宣言を解除して、感染者数を大きく減らしておきたかったのであろう。

 だが、解除の延期を知ると、バッハ会長は17日の来日を取りやめることにした。となると、仮に来日するとしても6月に入ってからとなり、当然ながら会議は6月となる。それで7月の東京五輪開催が決められるのか。

 新聞やテレビの世論調査では、国民の7割近くが東京五輪の中止、ないし延期を求めている。国民の多くがこうした気持ちになった原因は、日本がワクチン獲得戦争に決定的に敗北したためであった。菅首相自身がワクチン獲得戦争の敗北を認めているのである。

 厚生労働省は、米ファイザー社からワクチンを購入するにあたって、まず百数十人分のワクチンを求めて、それを百数十人に接種し、ひどい副反応が生じるか否かを1〜2カ月実験し、副反応が出ないと確認できたところで、ファイザー社と購入の契約を行うことにした。そのために時間がかかり、世界でのワクチン獲得戦争に決定的に敗北してしまったのである。

 先進国では、遅い国でもすでに国民の3割以上はワクチン接種が終わっている。だが、日本ではまだ数%にしか及んでいない。日本では、とにかく慎重にということが何よりも大事で、他国ではやっていない試験的接種に時間をかけすぎてしまったのである。

 さて、右往左往する緊急事態宣言だが、そもそも1回目の宣言時、発出は遅れていた。当時、安倍晋三首相に私は一対一で、「なぜ、日本では緊急事態宣言が、欧州諸国、米国に比べて約1カ月も遅れたのか」と問うた。すると、安倍首相は、「緊急事態宣言をすると基本的人権やプライバシーを損ね、また日本は先進国で最も財政事情が悪く、10年15年後には財政破たんが起きると言われていて、緊急事態宣言などすると、100兆円、200兆円の資金が必要になるということで、大臣たちもマスコミも強く反対していた」と話した。

 さらに、他国には緊急事態に違反すると罰則規定があるが、日本にはなぜないのかと問うと、「日本国憲法には緊急事態条項がなくて、罰則規定など作ったら政権が持続できない」と答えた。

 5月3日の憲法記念日に、日本経済新聞は「緊急事態条項が必要か」という論議を第2面の全面をかけて展開した。日本国憲法には「緊急事態条項」なるものが欠如しているというのである。記事では、同条項は災害や戦争で国家の存立が脅かされた場合、個人の権利を抑制できるようにするもので、現憲法に明確な規定はないとある。

 現在、3回目の緊急事態宣言を出してはいるものの、効果が上がっているようには見えない。この問題をどう捉えるべきだろうか。

田原総一朗(たはら・そういちろう)/1934年生まれ。ジャーナリスト。東京12チャンネルを経て77年にフリーに。司会を務める「朝まで生テレビ!」は放送30年を超えた。『トランプ大統領で「戦後」は終わる』(角川新書)など著書多数

※週刊朝日  2021年5月28日号

このニュースに関するつぶやき

  • 菅首相としては、何としてもそれ以前に緊急事態宣言を解除して、感染者数を大きく減らしておきたかったのであろう。
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  • ワクチン受けても感染しなくなるわけではないし、ほとんど爺さん婆さんしか死んでないんで、わかい奴にうって、意味不の副作用が出たら大変なんで、爺さん婆さんで、実験したほうがいい。
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