感染経験者の再感染「1000人に1人」と推計 起こる3つの理由は

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2021年05月19日 08:00  AERA dot.

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写真机やイスにカバーがかけられたシンガポールの屋台街(朝日新聞社・5月14日撮影)
机やイスにカバーがかけられたシンガポールの屋台街(朝日新聞社・5月14日撮影)
 新型コロナウイルスの感染を経験しても再感染する例が出ている。その頻度や考えられる理由とは。AERA 2021年5月24日号から。

【グラフ】日本でも変異株への置き換わりが進む

*  *  *
 シンガポールでは、寮に住んで建設や港湾、工場の仕事に携わる外国人労働者が約30万人いる。今年4月、そういった外国人労働者の中からも、ワクチンブレークスルー(ワクチン接種後の感染)の起きた人が見つかった。

 感染拡大を防ぐために同じ寮の住人や職場での接触者、近くの寮の住人など5500人以上が検査を受けた。すると今度は、再感染が見つかった。27人は、すでに1回感染したことがあったにもかかわらず、検体から新型コロナのRNAが検出され、陽性と判断されたのだ。

 詳しい検査の結果、2人は陰性、20人は過去の感染の影響でRNAの断片がまだ体内にあり、それが検査で検出されたとわかった。だが残りの5人は再感染だった。うち4人は、南アフリカで見つかった変異株に再感染していた。

■千人に1人が再感染?

 この結果を受け、シンガポール政府は4月下旬から再感染を防ぐために、感染経験者には免除していた定期検査などの感染対策を、感染未経験者と同じ水準に強化した。

 再感染も数は多くないものの、各地で報告されている。

 英国のイングランド公衆衛生庁の研究チームが4月、英医学誌「ランセット」に発表した論文もその一つだ。論文によると、医療従事者約2万6千人を対象に昨年6月から今年1月まで継続的に、2週間ごとにPCR検査をしたり、健康状態を報告してもらったりして調べた結果、すでに新型コロナウイルスに感染した経験がある8278人のうち、153人(1.8%)で再感染が確認された。

 一方、イスラエルの研究チームが3月に公表した論文では、昨年3月から今年1月までにPCR検査を受け陽性だった14万9735人のうち154人は、100日以上の間隔を空けて、2回目の陽性が出た。この結果から、再感染の頻度は1千人に1人程度と推計できるとしている。

 また、米オハイオ州のクリーブランドクリニックの研究チームが3月、米感染症学会誌に発表した論文によると、昨年8月までにPCR検査を受けて感染が確認されている1278人のうち、62人(4.8%)が、少なくとも90日以上の間隔を空けて検査で再度陽性となり、再感染が疑われたという。

■日本でも変異株まん延

 再感染の発生頻度はまだよくわからないが、起こる主な理由としては、(1)何らかの理由で、最初の感染で体内に強い免疫ができなかった。(2)体内の免疫が時間の経過とともに弱くなっていった。(3)変異株など最初に感染したウイルスとかなり異なる株に再感染した、という三つの可能性が考えられる。

 このうち(2)については、今後さらに時間が経たないとわからない。(3)については、シンガポールの場合は南アフリカ株で再感染が起きていた。

 さらに、ブラジルの研究者は先の「ランセット」誌で、ブラジル北部の中心都市マナウスで、同国で見つかった変異株への再感染が起きている可能性を指摘している。

 また、インドでみつかった変異株は、再感染と同時にワクチンブレークスルーへの懸念も高まっている。世界保健機関(WHO)は5月11日、「懸念される変異株(VOC)」にインド株を加えた。これでVOCは英国株、南アフリカ株、ブラジル株とインド株の4種類になった。

 WHOは、インド株の再感染やワクチンブレークスルーのリスクはまだデータが少なくて結論が出せないとしているが、しっかりした調査が必要だと警鐘を鳴らす。

 日本国内でも変異株がまん延している。ただし、インド変異株は、自治体が実施しているスクリーニング検査をすり抜ける可能性が大きい。

 早急に、インド変異株についてもきちんと把握し、より厳しい対策をとる必要がある。(科学ジャーナリスト・大岩ゆり)

※AERA 2021年5月24日号より抜粋

このニュースに関するつぶやき

  • 他のウイルスで考えると、IgG抗体があっても、再感染は普通にあるような…。
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