混パの鍵を握る“ダークホース”が得意の交流戦で借金返済&上位進出を目指す

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2021年05月28日 10:53  ベースボールキング

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ベースボールキング

サヨナラ打を放ったオリックス・宗
◆ 負け越しスタートも交流戦はお手の物!?

 2年ぶりに開催されているプロ野球『日本生命セ・パ交流戦』。最初のカード、DeNA戦は1勝2敗と負け越したが、過去15回(昨年はコロナ禍で中止)の交流戦を振り返ると、優勝を含め3位以内が5度と、オリックスにとっては好結果を残してきた舞台であり、チームを立て直し、借金返済・上位進出につなげるためには大きなチャンスと言えるだろう。

 2005年から始まった交流戦で、オリックスの通算成績は174勝173敗10引き分け、勝率.501。2010年には優勝し、2011年、2018年、2019年は2位で終えている。

 チーム別の対戦では、DeNAに38勝23敗1分け、勝率.623と、最も相性が良かった。次いで34勝24敗1分け、勝率.586の広島で、現在6連勝中だ。最も勝率が低いのは中日で、23勝35敗1分け、勝率.397。しかし、17、18、19年の3年間の成績は5勝4敗と勝ち越しており、苦手意識はないだろう。

 中止になった昨年を除く直近の3年間の交流戦通算成績は、32勝20敗2引き分け、勝率.615と、圧倒的な強さを誇っている。

 ただ、交流戦の好成績を、シーズンにつなぐことが出来ていないのが実情だ。この15年間でシーズン成績では優勝はなく、2位は2度(2008年、2014年)。Bクラスは13度(4位4度、5位4度、6位5度)。交流戦を、6位、2位、2位で終えた直近3年間のペナントレースは、4位、4位、6位に終わっている。


◆ 覚醒した猛牛打線

 浮沈のカギを握るのは、打者では主砲・吉田正尚。19年は69打数22安打7打点、2本塁打、打率.319。18年は68打数27安打10打点、3本塁打、打率.397で、打率部門で3位につけた。今季、交流戦までの全47試合に出場し、171打数57安打26打点、9本塁打。打率.333で、打率トップ。2年連続の全試合出場での首位打者獲得に向け快進撃を続けている。

 打席内で常に心掛けているのが「臨機応変」。フルスイングのイメージが強いが、走者やアウトカウント、ボールカウントなど状況に応じて、バッティングを変えていく巧打者だ。183打数で、三振数「7」は、いかにボールへのコンタクトに長けているかを物語っている。

 先のDeNA戦では、初戦で入団から6年連続2ケタ本塁打となる10号2ラン。3戦目にも11号2ランを放った。3連戦では12打数7安打、6打点、2本塁打、打率.583と勝負強さを発揮している。


 DeNAとの2戦目に5打数5安打、3打点と爆発し、3連戦で11打数7安打、4打点、打率.637のT-岡田にも期待が高まる。17年に打率.274で4本塁打。16年も打率.284で5本塁打を放っている。今季は打率2割ながら4本塁打、19打点。得点圏打率.350と勝負強さを発揮している。

5月18日のロッテ戦(京セラドーム大阪)では通算190号をマーク、200本塁打も照準に入ってきた。チームトップの16本塁打を放ち、3年ぶりに規定打席に達した昨季は、交流戦がなかっただけに、今年はバットでチームを勢いづけたい。

 コロナ禍での不適切な行動で球団から厳重注意を受けた、4番・杉本裕太郎にも注目が集まる。交流戦前までに、40試合に出場し、リーグ8位の打率.294をマーク。チームトップの11本塁打。DeNA3連戦では11打数3安打、0打点。昨季から「本塁打を狙わずコンパクトに打つ」ことを心掛け、「確実性をつけ、自信のあるパンチ力を生かしたい」と臨み、数字を残している今季、セ・リーグの投手にどこまで通用するか楽しみだ。

 また、宗佑磨も好調。5月22日のソフトバンク戦から、3試合連続のマルチ安打を含め、5試合連続安打中。DeNA3連戦では13打数6安打、打率.462の固め打ち。27日には2四球を選ぶなど、好球必打に徹している。


◆ 左右の両輪が健在

 投手陣では、山本由伸と2年目の宮城大弥が好調だ。中でも、左腕・宮城はDeNA戦に勝利し、開幕からの連勝を5に伸ばした。勝ち星では楽天のドラフト1位の新人、早川隆久(早大)の6勝(2敗)を追うが、右打者への低めのスライダーで空振り三振を奪うなど、緩急をつけた粘り強い投球で安定感は抜群だ。

 28日のヤクルト戦(京セラドーム大阪)で先発する山本は、防御率2.37、3勝5敗と勝ち星に恵まれていないが、150キロ後半のストレートを軸に、150キロ前後のフォークボール、120キロ台のカーブなど自在にボールを操る。

 初の開幕投手を務めた今季、「負けることはすごく悔しいこと」「負けない試合をしたい」「全部勝つ気で投げたい」と、常に勝利にこだわってきた。自身の勝ち星ではなく、「もっと勝ちを積み重ねて(ファンの)みなさんを喜ばせたい」と、当然ながらチームの勝利を最優先に考える。開幕投手を務めたエースとしての強い自覚がそこにはあるのだろう。まずはヤクルト戦で自身約1カ月ぶりの勝ち星を挙げ、チームを勢いづかせたい。

 防御率4.09の山岡は、2勝4敗。55イニングで53奪三振。ストレート、スライダー、カットボール、チェンジアップなどを投げ分けるキレのよい投球が身上。髪の毛を金髪に染めたりしたことで派手な印象を与えるが、入団時に当時の福良淳一監督(現オリックスGM)から託された「チームを変えてほしい」との言葉を胸に、チームのために真摯に野球に向き合っている。

 先発したDeNA戦の初戦では、3本の本塁打を浴びて踏ん張れなかったが、投手陣のリーダーとして今後の巻き返しに期待。打線の援護を欠き2勝2敗の左腕・田嶋大樹も安定した投球を続けており、打者の意表を突く大胆な投球でセ・リーグの打者を手玉に取れるか注目だ。


取材・文=北野正樹(きたの・まさき)

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