最速155キロ「北の剛腕」…青森大・長谷川稜佑にドラフト上位指名の可能性?

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2021年05月28日 11:22  ベースボールキング

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青森大・長谷川稜佑選手 [写真提供=プロアマ野球研究所]
◆ 潜在能力はピカイチ!

 地方リーグの中で、近年プロで活躍するOBが目立つのが北東北大学野球連盟である。

 ここ数年は特に好投手が多く、昨年のドラフトでも佐々木健(富士大→NTT東日本/西武2位)や大道温貴(八戸学院大/広島3位)、中道佑哉(八戸学院大/ソフトバンク育成2位)の3投手が指名を受けた。




 全国的な知名度は乏しくても、実力者が揃ってしのぎを削っていることはプロのスカウト陣も当然知っている。

 今年、この北東北大学野球連盟で注目を集めている投手が、青森大の長谷川稜佑だ。

 最速155キロを誇る「北の剛腕」の真価を確かめるべく、5月8日に行われた八戸学院大との試合に足を運んだ。



▼ 長谷川稜佑(青森大) 
・投手
・183センチ/85キロ
・右投右打

<主な球種と球速帯>
ストレート:143〜155キロ
カーブ:120〜122キロ
スライダー:126〜128キロ
カットボール:130〜133キロ
フォーク:135〜138キロ

<クイックモーションでの投球タイム>
1.28秒


◆ ボールの勢いは尋常ではない

 足立学園時代から彼の評判は聞いていたが、そのピッチングを初めて見たのは昨年8月のノースアジア大戦。この時のストレートは最速146キロを記録しながらも、全体的にばらつきが多く、まだまだ“未完の大器”という印象が残った。


 それから約8カ月が経った長谷川は、体重移動のスピードが明らかに変わっていた。

 全体的には上半身が強く見えるフォームだが、右足一本できれいに真っすぐ立った時の姿勢が安定しており、そこから無駄な動きがなく、スムーズにステップすることができている。この冬の間に下半身の筋力が相当アップしたことは間違いないだろう。


 昨年秋から変わらない長所が、テイクバックでの肘の使い方。右腕が背中の方に入り過ぎず、引っかかることなく肘が高く上がり、楽に上から腕を振り下ろすことができるため、ボールの角度も申し分ない。

 この日の最速は149キロと、自身最速の155キロには届かなかったとはいえ、捕手のミットを強く押し込むボールの勢いは尋常ではないものがあった。1回に三者連続三振という抜群の立ち上がりを見せた時には、上位指名は間違いないだろうと思ったほどである。


◆ 課題は変化球のコントロール

 しかし、次のイニング以降は、昨年秋にも感じた“未完の大器”の部分が顔をのぞかせる。

 2回は3四死球で二死満塁のピンチを招き、ここは三振で何とか切り抜けたが、3回には再び制球を乱して走者をため、2本のタイムリーを浴びて3点を献上。

 さらに、6回にも四球が絡んでピンチを背負う。ストライクを取りにいったストレートをライト後方に運ばれ、これで2点追加。この回限りでマウンドを降りた。


 この試合で見えた長谷川の課題は、変化球のコントロールだ。

 130キロ台中盤から後半のスピードがあるフォークはブレーキの鋭さは申し分ない。とはいえ、指に引っかかり過ぎるボールが目立つことから、ホームベース上になかなか来ないため打者に余裕を持って見送られてしまう。

 その他のボールも確実にカウントを取るまでの精度はなく、どうしてもボール先行になってしまい、6回で8四死球という結果に終わった。

 最大の武器であるストレートに関しても、中盤以降は抑えがきかずに高めに浮く場面が目立ち、大きくなった“出力”をコントロールしきれていないのが現状だ。


 ただし、立ち上がりに見せていたボールの勢いと迫力は、今年見た全ての投手の中でも間違いなく1〜2を争うだけのものであり、まだまだここから伸びていきそうなスケールの大きさを感じさせたことは確かである。

 それに加えて、昨年秋からの成長度合いも大きな魅力。ストレートを生かすための変化球が安定してくれば、今年の大学生の中でもNo.1になれるだけのポテンシャルを秘めていることは間違いないだろう。

 今後のピッチング次第では上位指名も十分に考えられる。


☆記事提供:プロアマ野球研究所

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