オリックスの猛牛打線が爆発！ 3連敗中のエース山本が37日ぶり4勝目

◆　交流戦で猛牛打線が覚醒！

　交流戦で最も相性が良かったセ・リーグ最下位のDeNAに負け越しスタートとなったオリックス。3試合の失点は26点（1試合平均8．67点）と、投手陣の奮起が待たれる中で打線が1回に5点を挙げるなど、先発全員の12安打9得点と、この日も爆発。3連敗中のエース・山本由伸は7回2失点で37日ぶりの白星を手にした。

　交流戦3試合で25得点の強力打線は、今夜も健在だった。ヤクルトの先発は、昨年までソフトバンクに在籍し、オリックスから通算12勝を挙げているバンデンハーク。天敵ともいえる相手に、交流戦で6割近い打率を誇る3番・吉田正尚が襲いかかった。1回一死から宗佑磨が死球で出塁した後、バンデンハークの初球、内角への149キロのストレートを強振し右翼上段に豪快に運んだ。

　バンデンハーク相手に通算打率.406という相性の良さもあったからか、「真っすぐに（対し）しっかりと強く、いいスイングが出来た」と、自画自賛の打撃内容。さらにロメロの中前打、T－岡田の四球、安達了一の中前打で一死満塁とし、杉本裕太郎が2点適時打。続く紅林弘太郎も右前適時打を放ち、この回に一挙5点を奪った。

　「いい流れを切らさないように何とか食らいついて打った」と、2年目の若手らしく必死さを強調した紅林は、3回には3号2ランを放ち7点目。この回、さらに一死満塁から吉田正の投ゴロ間に加点し、8得点。6回にはロメロのソロも飛び出し、9点目。交流戦3試合で1試合平均8．33得点だった打撃が面目躍如の得点力を発揮した。

　先発の山本は4回二死から村上宗隆への四球をキッカケに、3連打を浴びて2点を献上したものの、7回を投げて107球、5安打、毎回の9奪三振、2失点という内容で、この日一軍に昇格したヒギンスにマウンドを譲った。

　侍ジャパンの稲葉篤紀監督が視察に訪れる中、見応えのあったのが、山本と3番・山田哲人、4番・村上の対戦。山田には1回、縦のカーブで左飛に打ち取り、4回の2打席目ストレートは2球で追い込み、4球目の126キロのカーブで空振り三振に仕留めた。3打席目は154キロのシュートで三邪飛に。村上も第1打席を127キロのカーブで空振り三振、2打席目に四球を与えたが、3打席目はフォークボールで二ゴロに仕留め、安打を許さなかった。

　稲葉監督は「山本、吉田正の2人は球界を代表する選手。山本はストレートに力があり、変化球にキレもあった。1つ1つの球は素晴らしい。吉田正は、三振も少なく選球眼がよく四球も取れる。狙った球をとらえる能力も高い」と、投打の主力を改めて高く評価した。

　山本は、勝ち星が付いたことは「うれしい」と素直に喜んだが、投球内に関しては「（交流戦は）普段対戦しないので、どの打者にも慎重になって、二死からの四球など反省は大きい。初回からいい点を取ってもらったのに、毎回モタモタしてしまい、個人的には納得していない」と、何度も反省を口にした。

　中嶋聡監督は「（山本は）まだ全開ではないかもしれないが、どういう意図で投げているのか、内容はあった。ただ、四球の出し方など由伸本来のものではなかった」と辛口の評価。一方、打線については「初回からしっかりと攻撃が出来て、（山本）由伸を楽な展開にしてあげることが出来た。山本、山岡、田嶋と、（5連勝中の）宮城だけでなく援護して勝ちをつけてあげたい」と、好投しながら勝ち星が先行しない山本への援護を喜んだ。

　エースに久々の勝ち星が付き、打線も変わらず好調のオリックス。腰痛で戦列を離れていたヒギンスは、8回の1イニングを1安打、1三振、無失点と復活のマウンド。中嶋監督は「後ろ（抑え）が定まっていないところに、ヒギンスが帰って来てくれた。まだ平野（佳寿）もいる」と、投手陣の再整備に手応えを口にした。

取材・文＝北野正樹（きたの・まさき）

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