藤田朋子が結婚して変わったこと「お芝居をしなくても生きていける」

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2021年05月29日 12:00  週刊女性PRIME

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週刊女性PRIME

藤田朋子さん(撮影/近藤陽介)

 テレビデビュー作となった、朝の連続テレビ小説『ノンちゃんの夢』(NHK)のヒロイン役でブレイク。そして長寿ドラマ『渡る世間は鬼ばかり』(TBS系)では、岡倉家の五女・長子役で“国民的娘”となった藤田朋子さん。女優として妻として、女性としての生き方について話をうかがうインタビューの後編は、“ひとりの女性・桑山朋子”の生き方〜結婚、これからの夫婦のあり方ついて〜をお届けする。

*前編『藤田朋子、コロナ病床であふれた“涙”と女優人生の忘れられない“出会い”』はこちら

 年を重ねるごとに輝きを増す人がいる。自分のやりがいや目標を持って、自分の気持ちに素直に生きている人。藤田さんもそのひとり。

 インスタ、YouTube、TikTok、アメブロ、LINEなどSNSを使いこなし、インスタライブやTikTokライブではファンの方たちとの交流を楽しみ、日々の生活を紹介してくれている。そこでも、藤田さんの人柄が垣間見られてほっこりとさせられる。

 でも、若い頃の藤田さんは、がむしゃらに仕事だけに目を向けてわき目もふらず突っ走ってきた。そんな藤田さんが「結婚して肩の力がスーッと抜けた感じがした」と語るのは、現在、夫でアコーディオン奏者の桑山哲也さんとの出会いだ。

よきパートナーをくださいとお願いしたら

──(前編で)仕事での大切な出会いは奈良橋陽子さんと石井ふく子先生の名前を挙げてくださいましたが、プライベートではご主人の桑山哲也さんとの出会いがとても大きかったのではないですか?

「そうですね。私たちが結婚したのは、2005年の私が40歳を迎える少し前でした。でも私、ずっと結婚はしないと思っていたんです。桑山に出会う2001年のお正月までは(笑)

──ご主人は、まさに運命の人ですね。

「私、クリスチャンなんですけど2001年のお正月に教会の礼拝に行ったとき、小学生の頃から親しくしてくださっている先生がいらして、『結婚しないの?』って聞かれたんです。それで私は、『両親が健康で仕事もあって、屋根も壁もある家に住めているので、これ以上何かを望むなんて罪です』って答えたんですね(笑)。

 そうしたら先生から、『何を言ってるの!? 1人より2人がいいって聖書に書いてあるわよ』って言われて、ハッとして。それからお祈りの仕方を変えてみたんです

──どんなふうに?

「それまでの私は、お祈りの最後に『できれば私によきパートナーをください』って唱えてたんですね。そうしたら先生に、『できれば、なんてやめなさい。あなたが誰かに頼むときに、できないかもしれないけどお願いするわって言われて気分いい? 神様だって“できれば”なんて言われたらイヤですよ』と言われて。

 それで翌日から『私によきパートナーをください』って改めたら、なんと2月に桑山と出会ったんですよね。ただ、“この人は私の運命の人!”っていう稲妻が走るようなことはなかったけど(笑)

──4年の交際を経てのゴールインですね。

「そのときのエピソードがあって。結婚指輪を買おうということになったんですけど、一緒に行くとマスコミにバレてしまうので、私のヘアメイクをずっとしてくれている女性のスタッフと私がまず宝石店へ行って、気に入った指輪のサイズを見て、次に桑山とその女性スタッフが宝石店に行って指輪を購入しました(笑)

──そんな裏話があったんですね(笑)。結婚をされた当初は、芸能界のお仕事を続けていくつもりでしたか?

「引退してもいいかなと思っていました。働かない自分も大好きというか、主婦業も自分に向いていたのか楽しかったんです。もちろんお芝居は大好きですし、やりたいことだけど、桑山と結婚して、がむしゃら感が減ったんですよね。

 20代、30代の頃は、あれやりたいこれやりたい、ハリウッドにも行ってみたい、あのオーディションは絶対に受からなきゃっていう気持ちでずっとやってきました。でも、結婚したとたん急に肩の荷が降りた感じがして。『私からお芝居を取ったら生きていけない』という方の話も聞くけど、夫と暮らしいてる中で、私はお芝居をしなくても生きていけるってことに気づきました

 結婚してから今年の4月で17年目を迎えた桑山・藤田夫妻。芸能界でもおしどり夫婦として有名だが、2人にしかわからない努力もきっとあったはず。ラブラブ夫婦のようなべったりとした関係ではなく、大人のほどよい距離感がちょうどいいようだ。気になる夫婦円満の秘訣は「相手に求めすぎないこと」だそう。

ペットロスを救ってくれたのは──

──今、ワンちゃんを飼ってらっしゃいます。わが子のように可愛がっているのがブログでも伝わってきますが、フレンチブルドッグのブリトニーちゃんが去年の夏、14歳になる直前で亡くなりました。そして、去年の11月にフレブルのルパンくんをお迎えしました。

ぶぅちゃんが亡くなってから、私、すごいペットロスになってしまったんです。もう何をしていても涙があふれてきちゃって……。そんな私を見かねた夫が、『可愛い子を見つけたから見にいくだけいってみようよ』って提案してくれて、見るだけならいいかなと思って出かけることにしました」

──それが見るだけじゃ無理だった?

「そうなんです! 会ってしまったらもう連れて帰りたくなってしまって。1回落ち着こうって駐車場に戻ったんですけど、遅かれ早かれまた犬をお迎えしようって話していたから、それは今日でもいいんじゃない? ってなって急遽決まったんです。

 ぶぅちゃんのことを忘れたことはないけど、ルパンをお迎えして本当によかったと思いました。うちには子どももいないし、精神的にも夫婦の間に犬がいる形がいちばんいいということに気づいたし、本当に今の私の癒やしです

──4月で結婚16年。夫婦関係に変化はありましたか? 

「それが何もないんですよね(笑)。だから最近、『私、(家事を)ちゃんとやってるよ!』って言うようにしてるんです。そうしたら、『わかってるよ。ありがたいよ』って返されるんだけど、『本当にわかってる? わかってるならいいんだけど』みたいな会話をしてます。ま、腑に落ちない感じはあるんですけど(笑)」

──夫婦円満の秘訣は何でしょうか?

自分の理想を相手に押しつけないということかな(笑)。私にもダメなところはあるし、彼にもある。そういう気持ちの持ち方が大切だと思います。期待しすぎてもダメだし、やってくれないとか腹を立ててもダメだと思うんです。

 先日、夫がゴミをゴミ箱に入れなかったので、『入れてほしい』って言ったら、『俺がやったら、とこ(※藤田さんのニックネーム)がまたゴミの分別をしなくちゃいけないでしょ? 手間をかけさせたら悪いから』って返されて。なるほどって思いました(笑)」

 現在、藤田さんは55歳、桑山さんは49歳。仲睦まじいご夫婦ではあるが、年を重ねるにつれ2人だけの生活で不安なこともあるはず。今、思い描いている老後の暮らしや桑山さんへの思いをうかがった。インタビューの最後に「桑山哲也の妻を生きているから幸せ」という言葉が胸に刺さった。愛と好奇心が藤田さんをいつまでも輝かせ続けている──。

生きたいように生きることで心が穏やかに

──人生100年時代、老後についてふたりでお話されたりしますか?

結婚したときから、『今の仕事がなくなったら、路上で歌えばいいね』と冗談半分、本気半分で話しています。彼がアコーディオンを弾いて私が歌って、投げ銭をしてもらいながら暮らせばいいねって(笑)」

──そのためにも健康でいることが大切ですね。

「そうですね。新型コロナウイルスに感染したときに、人生についてけっこう考えたんですよね。軽く遺書なんかも書いたりして。『藤田朋子記念館』を建てるわけではないですから、断捨離をしようという気持ちになっています」

──もっと年を取ったら、田舎暮らしをしようとは考えていませんか?

「若い頃は主人も、地元の北海道に帰りたいって言ってたんですけど、今は全然そんな会話はしないですね。主人はシャンソンが大好きで、シャンソンの普及に尽力しているので、残りの人生をシャンソンにかけると思うんですね。

 なので私の夢、桑山朋子としての夢は、桑山と一緒にいる生活が大事なので、桑山といることがうれしいし、楽しいし、彼が幸せであることが私の幸せなんです。自分が愛してる人が幸せになるためなら頑張れるんですよ

──夫の愚痴を言う奥さんはよくいるけど、「愛してる人の幸せのために頑張れる」と言える、藤田さんが素敵です。

偽善者っぽく聞こえるから、本当に申し訳ないんですけど……。私、自分だけが幸せになることがイヤなんですよね。だから今回、みなさんにひよこ饅頭をお土産に買って来た(※前編参照)のも、自分の印象をよくしようとかじゃなくて、おいしい思いを共有したいっていう、ただそれだけなんです。

 女優・藤田朋子として死ぬまでいられるのもうれしい人生だけど、桑山の奥さんとして生きれるのもいいなあって思うんです。誰かの価値観じゃなくて、自分の生きたいように生きるのが最終的に心穏やかでいられるんだろうなって、コロナ禍の中ですごく感じました。

 だから、まわりの人に『藤田朋子って最近、見ないよね』って言われたとしても全然平気。私は“桑山哲也の妻”を生きていられたら幸せです

(取材・文/花村扶美)

●プロフィール
藤田朋子(ふじた・ともこ)/1965年8月3日、東京都出身。A型。1987年、ミュージカル『レ・ミゼラブル』で女優デビュー。翌年にはNHK連続テレビ小説『ノンちゃんの夢』で主役に大抜擢。その後、数多くのドラマや映画、舞台などで活躍。橋田寿賀子脚本の大人気ドラマ『渡る世間は鬼ばかり』では、岡倉家の五女・長子役を熱演。1989年9月にはシングル『THE WOMAN IN ME』で歌手デビューも。配偶者はアコーディオン奏者の桑山哲也氏。1928年創業の和装小物メーカー「岩佐」で、バッグや草履のブランド「苺壱ゑ(いちごいちえ)」のプロデュースを手がけるなどマルチに活動。

【ホリプロオフィシャルサイト】https://www.horipro.co.jp/fujitatomoko/
【オフィシャルブログ「笑顔の種と眠る犬」】https://ameblo.jp/tomoko-fujita/
【Twitter】@tomoko_fujita
【Instagram】@chiendormant
【Instagram(着物アカウント)】@kimono15gram
【YouTube「tokoecoちゃんねる」】https://www.youtube.com/channel/UClB6phh9nAKPDdfh9vVrOkQ/

●出演情報
5月28日より、1970年代の旧ソ連に実在した「忠犬パルマ」のエピソードをもとに、犬と人間の関わりや親子の葛藤を描いた日露共同制作映画『ハチとパルマの物語』が公開される。日本からは渡辺裕之、藤田朋子らが参加。
【公式サイト】https://akita-movie.com/

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