オリックス・増井の“快挙”は未遂に終わるも猛牛打線の逆襲で逆転勝ち

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2021年05月30日 23:10  ベースボールキング

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オリックス・吉田正尚選手
◆ 増井の内容と打線の粘りに手応え

 オリックスの増井浩俊が29日のヤクルト戦に先発登板。この試合で勝利投手になると、12球団からの勝利&セーブを記録したNPB史上初の選手となることができたが、リリーフ陣が追いつかれて快挙達成とはならなかった。

 増井は5回を投げて74球、3安打、2失点という内容で降板。その時点でチームは3点をリードしており、勝利投手の権利を得たが、6回に3番手の山田修義が村上宗隆に2ランを浴びて1点差にされると、6回には4番手の村西良太が塩見泰隆に同点の中前打を許し、増井の勝利は消えてしまった。
 
 記録は達成とはならなかったが、投球内容は満足のいくものだった。5月9日のロッテ戦(ZOZOマリン)以来、21日ぶりの一軍マウンド。1回、塩見を131キロのフォークボールで空振り三振、中村悠平は2球で追い込み、外角低めいっぱいに148キロのストレートを決めて3球三振と、2者連続三振のスタート。山田哲人も2球目の148キロで遊ゴロに仕留め、この回を10球で片付けた。
 
 2回も先頭の村上宗隆を133キロのフォークで空振り三振。3回に先頭・サンタナに初安打を許したが、続く西浦直亨をフォークで3ゴロ併殺打。ゴロを打たせてピンチを断つ、ベテランらしい注文通りの投球だった。 惜しむらくは、2点を与えた4回の投球か。死球と山田の二塁打で二死2、3塁となり、オスナに右前への2点適時打を許した場面。2球で追い込みながら、3球目に投じた147キロのストレートが甘く入ってしまった。

 「全体的にコントロールもある程度できていたし、真っすぐも走っていたのでいい調整が出来ていたのだと思う。失点した場面は死球や失投でもったいないところもあったけど、それ以外は完璧に近い内容だったと思う」と振り返った増井。ストレートの球威が戻り、フォークもさえて次回登板に期待を抱かせる内容だった。


 リズムのよい投球に、打線も呼応した。1回、選球眼よくストレートの四球を選んだ宗佑磨を二塁に置き、杉本裕太郎が左翼へ12号2ランを放ち先制。2回は伏見寅威、宗の安打で二死1、3塁とし、吉田正尚の遊撃内野安打で加点した。1点差に迫られた4回には杉本の適時二塁打と暴投で2点を加え、再び3点差とした。

 6、7回で5失点と逆転を許したが、今季のオリックス打線は粘り強く、勝負強い。8回二死2、3塁から宗が中前適時打、続く吉田正が2点適時三塁打を放ち、逆転に成功。最後はK-鈴木が締めて逃げ切った。


 先制の2ランと追加点を放った杉本は「(本塁打は)最近、インコースを攻められていたので、内角のボールに対していい反応で打つことが出来た。(追加点は)カーブ。変化球が増えてきたので、それを頭に入れて打席に入った」と、打席での対応力が身についていることを実証した。

 吉田正は「7-8、ルーズベルト・ゲームですね。盛り上がって見応えのある試合。冷や冷やしたけど、最後に勝って次につながる勝利になる」と振り返ると、「上位に行くチームには逆転勝ちがつきもの。勝てるゲームは確実に勝って、厳しい試合も最後で盛り返す。サヨナラ勝ちもあったし、3点差でもひっくり返せる雰囲気がある。チーム全体として誰もあきらめていない」と、あきらめないチームを評価した。

 中嶋聡監督は、「増井は本当に良かった。(今日は)球数よりイニングで切ろうと思っていた」と、74球での交代も予定だったことを明かし、「吉田正はああいうところで打ってくれるのが頼もしい。打線は粘りがあり、何とか後ろにつないで返してくれる」と、主将の勝負強さと打線の粘り強さを称えた。

 これで交流戦の今季成績を3勝3敗の5割に戻した。次のカードは、セ・リーグ首位の阪神戦(甲子園)。吉田正が「同じ関西のチーム。勝って借金を返したい。ベストを尽くすだけ」と語れば、中嶋監督も「(首位など)気にせずにやる」と気持ちを引き締めていた。


取材・文=北野正樹(きたの・まさき)

このニュースに関するつぶやき

  • 破壊力ある打線は魅力的ですよね。ライオンズと壮絶な打撃戦を展開したタイガースとはどんな打撃戦が観られるのか、ワクワクしてきますね。
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