戦慄のホラーサスペンス小説が教えてくれたこと。『リカ』/佐藤日向の#砂糖図書館

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2021年06月12日 22:41  ダ・ヴィンチニュース

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写真佐藤日向
佐藤日向

みなさんはどこからが「浮気」だと感じるだろうか。

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最近ではSNSでのコミュニケーションが発達したこともあり、会ったことのない相手と簡単にメッセージのやり取りが出来たり、そこから恋愛に発展するなんて話は様々なところで聞く。だがきっとそのメッセージのやり取りが恋愛的な面で悲劇を生む可能性は十分にある。

今回紹介するのは五十嵐貴久さんの『リカ』というホラーサスペンス小説だ。主人公のとあるサラリーマンが普遍的な生活に飽きを感じ、出会い系サイトに手を出すところから物語は始まる。

彼は妻子がいるにもかかわらず、”メール交際”で日常に刺激を与え、メール上のみでの浮気に背徳感を感じ、楽しんでいた。しかし彼が「リカ」というハンドルネームを使った女性とメール交際を始めることによって、その日常生活は怒涛のように崩壊していく。

私がこの作品を知ったのは、仕事が終わった日にたまたまつけていたテレビで放映されていた『リカ〜リバース〜』というドラマから目が離せなくなったのがきっかけだ。ドラマを観ている間、終始鳥肌が止まらず、続きが気になったので検索してみたところ原作を見つけ、今回手に取ってみた。

本作は、ドラマよりも更にサイコホラー要素が強く、可憐な少女のような「リカ」という女性がストーカーになっていくまでの恐ろしさが緻密に描かれている。

中でも印象的だったのは、作中で描かれるいくつものメールの文章だ。主人公とメールのやり取りを始めたばかりの頃のリカは、純粋にメールを楽しんでいるような雰囲気だが、リカが彼に依存をした瞬間から、文章に虚言が含まれていることを主人公が感じ始め、過去の純粋なやり取りですら虚言だった節が、最後の方では見えてくる。

近年、ストーカー被害の話題をニュース等で耳にすることがあるが、実はその種を蒔いているのは自分自身なのかもしれない、という教訓のようなものを、私はこの作品から感じた。『リカ』の舞台となっているのは、まだインターネットが普及し始めたばかりの時期であり、多くの人にとってインターネットを未知の世界と捉えていた部分もあったのだと思う。

私は幼い頃から芸能の仕事をしていたため(そして、かなりの頻度で迷子になっていたこともあり)、小学生の頃からキッズケータイを持たせてもらっていた。毎週新潟から都内で行われる事務所のレッスンに通う際、母と連絡を取る以外の手段では使わなかったが、当時から母に何度も繰り返し言われた「メール然り、SNS然り、インターネット上に残した言葉で誰かを傷つけてしまっていないか、言葉を使う時は責任を持ちなさい。」という言葉が、今でも私の中で強く残っている。

だが、もし私が芸能活動をせず、普通の女の子として生きていたら、インターネットやSNSの使い方は違っていたのではないかと思う。もしかしたらインターネットに対して「怖い」という認識が全く持てずに、無意識のうちに個人情報を写真などを通して晒していたかもしれない。

『リカ』はたった一度、主人公が自分の電話番号を教えただけで、住所、家族関係、職場、よく行くお店、新しい携帯番号、全てを把握していた。たったひとつの情報から招く悲劇というのはこの作品内だけでなく、いつ誰にでも起こりうる可能性があるのだと思うと、やはり母の言いつけ通り、私はインターネットと上手く付き合っていかなければいけないのだろう。

本作が発売された2003年の当時より、更にインターネットが必要不可欠になった今、その怖さを『リカ』から学んでみるのは如何だろうか?

さとう・ひなた
12月23日、新潟県生まれ。2010年12月、アイドルユニット「さくら学院」のメンバーとして、メジャーデビュー。2014年3月に卒業後、声優としての活動をスタート。TVアニメ『ラブライブ!サンシャイン!!』(鹿角理亞役)、『少女☆歌劇 レヴュースタァライト』(星見純那役)のほか、映像、舞台でも活躍中。

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