Appleの「AirTag」を使うメリット 後発だけど他のスマートタグとはどう違う?

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2021年06月13日 06:12  ITmedia Mobile

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写真4月にAppleが発売したスマートタグ「AirTag」
4月にAppleが発売したスマートタグ「AirTag」

 4月に発売されたApple初のスマートタグ「AirTag」を使ってみた。本稿では、筆者のインプレッションを交えつつ、AirTagの概要や使い方、注意点、アップデートされた内容などについて、改めてまとめていきたい。



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 「紛失防止タグ/トラッカー」や「スマートタグ/トラッカー」などと呼ばれるアイテムは、財布や鍵、カバンなど、特定のアイテムに取り付けたり、収納したりしておくことで、スマートフォンのアプリから位置情報を検索したり、音を鳴らしたりできるIoT機器のことを指す。こうした製品ジャンルは、AirTag登場以前に存在しなかったわけではない。AirTagはむしろ市場において後発だ。



 例えば、知名度が高いブランドとして、「Tile(タイル)」や「MAMORIO(マモリオ)」などを耳にしたことがある(あるいは使っている)読者も多いだろう。他にもさまざまなメーカーが製品を展開しているため、インターネットで「スマートタグ」などと検索すれば、10や20の類似製品はすぐに見つかる。



 製品の形状やタイプによっても価格は異なるが、例えばオーソドックスな「Tile Mate(電池交換版)」は2150円(税込み、以下同)、キーホルダーに装着できる「MAMORIO」は2728円である。一方、AppleのAirTagは単体で3800円(4個入りで1万2800円)となっており、価格設定はやや高い。



 加えて、他社製品はタグ本体に穴が空いていて鍵などにも装着しやすいが、AirTagは碁石のようなつるんとした形状になっており、タグ単体で鍵などに装着することはできない。そのため、必要に応じて固定用のアクセサリーを追加購入しなくてはならず、Apple Stsoreで販売されている最も安いBelkin製のホルダーでも+1580円がかかる。つまり、1個のAirTagを鍵に付けるには3800+1580=5380円が必要だ。この点はまず理解しておきたい。



 では、そんなレッドオーシャンにおけるハイエンド商品として登場したAirTagを、消費者が選択するメリットとは――。筆者は、そのメリットは3つあると思う。1つ目は、iPhoneなどApple製品との親和性の高さ。2つ目は、なくしたものの正確な場所が分かること。3つ目は、見つけた人が所有者に連絡をとりやすいという点だ。



●初期設定がとても簡単



 1つ目は「Apple製品との親和性の高さ」だ。既にAirPodsシリーズやHomePodシリーズを使ったことがある人ならば想像しやすいだろう。



 具体的には、パッケージを開封し、AirTagの絶縁シート(ラップ)を引き抜いて通電させた状況で、iOS 14.5以上を搭載するiPhoneの画面をオンにして近づける。すると、iPhoneのディスプレイにポップアップで初期設定の操作画面が現れる。そして、画面指示通りに数ステップの操作を行えば、すぐにペアリングが完了する。



 もちろん、競合他社が出しているスマートタグの類も専用アプリを介して設定するだけなので、そこまで初期設定が煩雑だとは思わない。しかし、それを踏まえても、専用アプリのインストールや、別途アカウント登録などが不要で、OS標準の機能として利用できる――そんなAirTagの初期設定は、開封から使用までのスピード感がスバ抜けている。特に、家族複数人がiOSデバイスを使っているなど、複数個導入する場合、容易に初期設定できるのは魅力的だ。



 なお、AirTagに対応するのは、iOS 14.5、iPadOS 14.5以降を搭載し、2ファクタ認証を有効にしたiPhone、iPad、iPod touchに限られる。購入後、もしうまく設定が行えなかった場合には、端末のOSバージョンや、2ファクタ認証の設定有無、加えてBluetoothや位置情報サービスのオン、オフなどを確認してみるといいだろう。



 ちなみに、AirTagのリセットするには、バッテリーの取り外し操作を繰り返し行えばよい。着脱を4回繰り返し、最後に取り付けるのを合わせて、計5回の通電音が鳴れば良い。



●家の中の探し物で本領発揮



 2つ目は、「正確な場所を見つける」という機能が使えることだ。「探す」アプリ内から近くにあると思われるAirTagを探すことで、AirTagまでの距離や方向がアプリ画面に示される。Appleイベント時のキーノートでも面白いビデオで表現されていたが、まさにソファの隙間に鍵などが落ちてしまっているような場合でも、すぐに見つけ出せる。



 もちろん、スマートタグにスピーカーが備わっていて、音が出せるという製品はある(AirTagにもスピーカー付いていて音も鳴らせる)。例えば、先ほど紹介した「Tile」シリーズはスピーカーを備えているので音で似たような捜索は可能だ。ただし、それこそソファの隙間に鍵があるような場合、音が聞こえたとしても、どこから鳴っているのかを判断して、それを探すのに苦労することもある(筆者もApple Watchの操作で、見失ったiPhoneから音を鳴らしつつも、結果的に家中を探し回った経験がある……)。



 こうした視点から考えて、近くにAirTagがあるのかどうか、そして、音が鳴らせることに加えて、AirTagまでの方向や距離がすぐに分かるというのは、AirTagならではの優れた機能だと思う。実際に使ってみた印象として、紛失物がある建物の階が異なる可能性まで示唆してくれるのは、なかなか優秀だと感じた。



 ただし、こうした「正確な場所を見つける」機能を利用できるのは、iPhone 11やiPhone 12シリーズなど、「U1」チップを搭載し、UWB(超広域無線テクノロジー)を利用できる端末に限られる。旧機種を長く使い続けている人や、iPhone SE(第2世代)を購入した人などは、すぐには同機能を利用できないので留意しておきたい。



●紛失物発見者が報告しやすい



 3つ目は、AirTagを装着した紛失物を発見した際に、所有者に対して連絡を取りやすいことだ。具体的には、AirTagがユーザーの手から離れて3日経過すると、AirTagが動いたときに音を鳴らして近くにいる人に居場所を知らせる機能が備わっている。また、ユーザーが「AirTagをつけたものをなくした」と思った際に、「探す」アプリからAirTagの「紛失モード」をオンにすれば、発見者に連絡先を知らせることができる。



 なお、紛失モードで知らせることが可能な連絡先情報としては、iOS 14.5当初は電話番号のみだったが、iOS 14.6のアップデートで、電話番号だけでなくメールアドレスも選択できるように変わった。



 AirTagからユーザーの連絡先情報を知るには、NFCタグを読み込めるスマートフォンが必要だ。該当機種のNFCリーダー部分をAirTagにかざすことで、URLが表示され、そこにアクセスすることで、AirTagのシリアルナンバーと持ち主の連絡先が表示される。なお、紛失モードをオンにしていない場合には、連絡先情報は表示されない。



 もちろん発見者がAirTagの特徴を知っているという前提条件はあるものの、スマホをかざせば情報が分かるというシンプルな機能は覚えやすい。



 ただし、AirTagが着いた落とし物を拾ってしまった人の視点では、安全面を考えると、自身が使っている電話番号やメールアドレスで不用意に連絡するのは避けた方が無難だろう。まずは、落とし物として交番等や駅の窓口などに届けた上で、そこから所有者本人に連絡をしてもらうのがいいだろう



●セキュリティについて知っておきたいこと



 その他、AirTagを購入する予定がない人も知っておきたいこととして、セキュリティに関する基本事項が挙げられる。



 まず、前提として、AirTagの通信にはBluetoothが使われている。AirTagそのものにGPS受信機が含まれているわけではなく、周囲に存在するiPhoneやiPadなどの対応機器との接続を利用して位置情報を発信する仕組みだ。例えば、AirTagを遠く離れた街に落として来てしまった場合、その付近にペアリングしたユーザーのiPhone等は存在しない。しかし、通りすがりの人がiPhoneを持っていれば、その端末に接続し、ネットワークを拝借してAirTagの位置情報をクラウド上に送信してくれる。



【訂正:2021年6月15日11時55分 「GPS発信機」を「GPS受信機」に変更しました。】



 こうした仕組みは、他のスマートタグでも一般的に利用されているものであり、ユーザーとして恐れる必要はない。AirTagを通してやりとりされる情報は、匿名化かつ、暗号化されるともAppleは説明している。この点で、AirTagのユーザーも、通りすがりのiPhoneユーザーも、プライバシーやセキュリティ面を心配する必要はないといえる。むしろ、タグの発見に他ユーザーを利用するという点で、ユーザー数の多いApple製品のネットワークは非常に心強い存在だ。



 一方、位置情報のトラッキング機能が悪用される可能性は、残念ながらゼロとは言い切れないのが現状だ。例えば、悪意を持った者が相手の荷物にAirTagを紛れ込ませるといったリスクは容易に想像できる。ただし、AirTagはこれを見抜く機能も備えている。



 具体的には、AirTagを持っていないのに、「あなたが所持中のAirTagが見つかりました」というアラートがiPhoneに表示されたら、身の回りに第三者のAirTagがあることを示しており、危険だ。このセーフティ通知は30分以上他者のAirTagと行動を共にしており、そのAirTagの登録端末がBluetoothで接続されていない場合に表示される。また、Androidユーザーであっても、3日間が経過すれば、先述の通り、自動でAirTagから音が鳴るので、時間はかかるものの存在に気付くことはできる。



 Appleの公式ヘルプページの記載によると、その場合は、同通知のメッセージをタップし、「続ける」→「サウンドを再生」をタップするとAirTagから音を鳴らして発見できるとある。また、「AirTagを無効にする手順」をタップし、画面の案内に従うことで、AirTagを無効にして位置情報の共有を停止可能だという。ただし、既に位置情報が知られてしまっている可能性もあるので、安全が脅かされていると感じる場合には、警察などに相談しよう。



●まとめ:総合的な使い勝手は優れている



 AirTagの本質は、「簡単に使えてなくしものを見つけやすいスマートタグ」だと思う。iPhoneで簡単に設定でき、iPhone 11以降のユーザーならば、家のなかでなくしたものの正確な場所を判断できる。そして、強力なApple製品ユーザーの「探す」ネットワークを活用して、外出先で紛失した場合もネットワークを活用できる。さらに、プライバシーやセキュリティに対する配慮もある。一方、MAMORIOのように“置き忘れ防止”のための通知機能がない点はやや惜しい。



 繰り返しとはなるが、AirTagは1個3800円。スマートタグとしては高額な部類ではあり、機能的に完全無欠というわけではないものの、総合的な使い勝手は非常に優れている。iPhoneユーザーならぜひ購入を検討したいアイテムだ。


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