伊東純也は「当確」なのか。久保建英、堂安律…競争激しい右サイド

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2021年06月13日 06:41  webスポルティーバ

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 6月11日、神戸。セルビア戦の70分を過ぎた頃、伊東純也は右サイドのタッチライン際で、もんどり打って倒れている。セルビア代表ディフェンスのやや暴力的なチャージを受けていた。明らかに焦燥に駆られた末のプレーで、伊東はそれだけ相手を追い込んでいたのだろう。

 この日、伊東はセルビアに悪夢を見せていた。並走した瞬間、燃料を爆発させるように一気にスピードが増す。エンジンパワーの違いで相手を絶望させた。

 微妙なオフサイドの判定でオナイウ阿道の「幻のゴール」になったシーンも、伊東はカウンターから右サイドでボールを受けて爆走。中の動きを見計らって、ほぼ完璧なクロスを流し込んでいる。圧倒的なスプリントをアドバンテージにし、右サイドに翼を与えていた。

 カタールワールドカップ最終予選を戦う森保ジャパンの右アタッカーは、伊東で当確なのか?




 セルビア戦で伊東は、勝利につながる虎の子の1点を決めている。

 いわゆるクラシックな右のウイング的なタイプだが、現代的な性格を持ったアタッカーでもあり、ゴールに対するアプローチが単純明快で、左サイドで作ったボールに合わせてゴールを仕留められる。得点は右CKを谷口彰悟がニアでそらしたボールをファーサイドで蹴り込んだ。ポイントに入り込める得点感覚があるのだ。

 かつてアルベルト・ザッケローニは、左に香川真司を置いてボールの起点とし、ゲームを作りながら、右サイドの岡崎慎司をポイントゲッターにした。選手の特性は少し違うが、今の森保ジャパンの論理もそれに近いものがある。左に10番の南野拓実を配置し、そこに起点を作りながら、右からの強烈な一撃で相手をノックアウトする志向だ。

 その点で、右サイドで右利きのスピードスター、伊東は最適な選手と言える。タッチラインに立てば幅を作れるし、裏を狙えば深みを作り出せる。この日も、中に切り込んで左足で強烈な一撃を放っているが、"縦だけ"ではない。そして何より、左で攻撃を作った時のフィニッシャーともなれるのだ。

「純也は攻守に思い切って、アグレッシブに戦ってくれました」

 森保一監督は、セルビア戦の伊東をそう評している。

「前半、ボールが入らなかった時から、我慢強くプレーしてくれました。守備でシステム的にミスマッチしていたところ、献身的に走ってスペースを埋め、カバーしてくれた。後半は、まさにいい守備からのいい攻撃。CKからゴールを決めてくれましたし、背後のスペースに抜けて、(オナイウ)阿道にいいクロスを送っていました。2点目は幻のゴールにはなりましたが、奪いにいく姿勢をチームとして示せたのが良かったです」

 森保ジャパンが3−4−2−1のシステムを採用した場合も、伊東は適応性が高い。右ウィングバックとしてもアップダウンを繰り返し、サイドを支配。スプリンターとしてだけでなく、スタミナも豊富で、ズレを作り出したときは独壇場となる。伊東がファーストチョイスになっているのは、必然と言えるだろう。

 もっとも、これはチームとしての戦い方次第である。例えば、右サイドで左利きの選手を配置し、中に切り込みながら、ゲームを作るタイプを起用し、左で仕留める。それもひとつの形で、それを実現できる人材もいるのだ。

 その場合、久保建英、堂安律の2人は有力候補だろう。2人ともただ切り込むだけのドリブラーではない。起点になれるし、ラストパスも卓抜で、何よりシュート精度は万金に値する。加えて左利きの感覚は特別で、相手に的を絞らせず、独創的なプレーで勝負を決められる。セルビア戦の日本代表は左利きが少ない点で物足りなかった。意外性のあるプレーが乏しく、その単調さが苦戦にもつながっていた。全体的に右利きが多いと、選手の動きや発想が一本調子になりがちだ。

◆東京五輪代表メンバーの残り枠は「3」。当落線上ギリギリにいる選手は?

 率直に言って、南野は左サイドでゲームを作る選手というよりも、ゴールに近いところで力を発揮する選手で、明らかに空回りしている。自陣に戻ってボールを受けようとして、センターバックからのフィードを背負って受けようとして食いつかれてボールを奪われ、この日、最大のピンチを与えていた。ポジション適性は、もう一度整理して改善する必要があるだろう。

「前半は相手もタイトに頑張ってくるけど、後半は必ず空いてくると思っていました。そこで自分の良さが生きました。前の選手はタレントも多いので、常に結果を出せるように、チームのためになれるように意識しています」

 伊東の言葉である。彼自身、現状に満足せず、競争を意識している。伊東はひとつのチョイスになっているが、まだ当確とは言えない。逆説的に言えば、その程度の選手層の厚さでは世界を勝ち抜くことはできないのだ。

 伊東は負傷した後、大事をとって退いた。診断は打撲で、1、2日で痛みは引くという。6月15日には大阪でキルギス戦がある。

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