軽自動車のボディをびっしり埋め尽くす妖怪百体…世界“最恐”の車「妖怪百鬼夜号」を覚えていますか

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2021年06月13日 18:10  まいどなニュース

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写真完成した当時の妖怪百鬼夜号。こどもが泣くレベルのリアルさ
完成した当時の妖怪百鬼夜号。こどもが泣くレベルのリアルさ

 いまからちょうど20年前、廃車寸前の軽自動車のボディに、エアブラシで妖怪を百体も描いた人が居ました。その車の名は「妖怪百鬼夜号」。名前も存在も強烈なクルマは世界最強ならぬ“最恐”の車として、マニアの間で注目を集めていました。現在の様子をお伝えします。

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最初は「エアブラシ塗装の修行のため」

 百鬼夜行(ひゃっきやぎょう、ひゃっきやこう)とは、「日本の説話などに登場する深夜に徘徊をする鬼や妖怪の群れ、および、彼らの行進(出典・ウィキペディア)」のことだそうです。

 そう、深夜というのは人間の時間ではなくて、鬼や妖怪の領分なのですね。なんで行進するのかはよくわかりませんが、きっと楽しくやっているのでしょう。

 岐阜県美濃市にある自動車の鈑金工場で働くたっくさんが、お友達から軽自動車を譲り受けたのは2001年の11月。車検切れ、走行距離7万キロ、廃車寸前の旧型ダイハツ・ミラでした。そのどこにでもありそうな軽自動車の白いボディは、その頃エアブラシ塗装の修行をしていたたっくさんの目には魅力的なキャンバスに映りました。ボディ全体にびっしりと妖怪を描く。なぜその方向に情熱が迸ったのかはわかりませんが、とにかくそこから「妖怪百鬼夜号計画」はスタートしたのです。

 当初は全部で47体の妖怪を描く予定でしたが、いざ描き始めると軽自動車一台分のボディは予想外に広く、スペースに余裕がありました。そんな折、周囲から「百鬼夜行なんだから100体描け」という鬼のような声が続出、悩んだ末にたっくさんはついに100体描く決心をします。

妖怪百鬼夜号、公道にデビュー

 その年の暮れ、妖怪100体を描き終えて「妖怪百鬼夜号」は完成しました。最初の一体「がしゃどくろ」を描いてから42日、仕事の合間をやりくりしての制作でした。そして年明けには車検を取り、妖怪百鬼夜号は晴れて公道デビューを果たしました。

 しかし描き終えてから、たっくさんはふと不安を抱きます。100体の妖怪の中には、かなり縁起の悪いやつも居る。怨念を抱いてたり、人を襲ったりするやつらが(って妖怪ってもともとこわいもんですからね)。クルマなので縁起が悪いのはよくない、と。それで、たとえば「油すまし」を「油さまし」(オイルの温度が上がりすぎるのを防いでくれる妖怪)にするなど、元の名前をもじってラッキーな妖怪にしようというミニ公募キャンペーンをブログ上で開催しました。

 当初はもっとコミカルな感じになるかと思っていたけど、完成してみるとかなりリアルでちょっとこれはヤバいなって感じだったのでしょうか。

 実は筆者も当時、このブログの読者でした。それで賞品の「妖怪掛け軸」欲しさにいくつか妖怪の名前を投稿した記憶があります。惜しくも抽選に漏れましたが、いまもそのブログに名前が残っています。

あの水木しげる先生も助手席に!

 そして、実は妖怪百鬼夜号には不安がもう一つありました。妖怪というのは、ほぼほぼ日本の伝承などから生まれたものなので、誰が描いても構わないのですが、この妖怪百鬼夜号には2体だけ「ちょっと問題のあるやつ」が居たのです。それは「目玉おやじ」と「ネズミ男」でした。そうなんです、彼らは日本古来の妖怪ではなくて水木しげる先生が創作されたキャラクターなのですね。つまり「著作権」の問題があるのです。

 そこでたっくさんは水木プロとコンタクトを取ります。もちろん電子メールのあった時代ですが、あえて直筆の手紙を送りました。すると後日水木プロから電話がありました。

 いろいろお話をした最後に、「ワタシ、この車に今まで通り乗っていてもよろしいんでしょうか…?」「ああ、いいよいいよ」の言葉。これでめでたく妖怪百鬼夜号は水木プロの公認になったのです。

 妖怪百鬼夜号はその後、たっくさんを乗せてあちこち旅をします。水木しげる先生ゆかりの境港へ行って、助手席に先生を乗せるという得がたい体験をしたり、ついにはこの妖怪百鬼夜号計画をきっかけに知り合った女性と結婚!北海道まで花嫁を迎えに行くという、まさに人生を大きく変える幸運のクルマになりました。

2022年、水木しげる先生の生誕百年を期に

 妖怪百鬼夜号計画が始まって今年で20年。あの時廃車になろうとしていた軽自動車は、いまも健在です。ただし塗装はかなり劣化し、バッテリー上がりや冷却水漏れ、何度ガスをチャージしても効かないエアコンなど、車齢なりのトラブルはあったそうですが。

 たっくさんは来年、2022年を持ってこの妖怪百鬼夜号にピリオドを打つつもりだといいます。車体の老朽化もそうですが、それよりも水木しげる先生の「生誕百年」の節目の年に合わせて、ということです。

    ◇   ◇

 最後に、「もしいままたこういう素材があったら、もう一度やってみたいですか?」とたっくさんに質問してみました。

「現実の問題として百鬼夜号引退後の車(通勤車)を考えなければいけません。題材はまだ決めてませんが、また中古の軽でも買って全体びっしりブラシ入れたいですね」

 たっくさんの通勤車、次の展開にも興味が尽きません。

 そして、平成・令和を駆け抜けた妖怪百鬼夜号に、当時からのいちファンとして筆者も「お疲れ様」の言葉を贈りたいと思います。

(まいどなニュース特約・小嶋 あきら)

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このニュースに関するつぶやき

  • ホイールの中央に輪入道を描いて、口から火を吹くのが良いなwww
    • イイネ!7
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  • 魔除けとなるか、引き寄せるかは、神のみぞ知るかだな(。-∀-)
    • イイネ!23
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