若者の「テレビ離れ」は衝撃的か? 調査データから見える、今どきの若者の生活習慣

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2021年06月14日 10:02  ITmedia NEWS

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写真年層別 インターネット・テレビの行為者率
年層別 インターネット・テレビの行為者率

 5月20日に朝日新聞らが報じた、「若者のテレビ離れ」の記事。元はNHK放送文化研究所が20日に発表した、国民生活時間調査である。メディア側ではこれを「衝撃」と受け止めているが、ネットでは「いまさら何を」的な反応であった。



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・10〜20代の約半数、ほぼテレビ見ず「衝撃的データ」



 メディアが世間とズレている、と一刀両断してしまえば話は簡単なのだが、そこにはなかなか簡単にはいかない話がある。まず、こうしたニュースを拾って積極的に自分の意見を発信するネットユーザーは、毎日何らかの形でSNSと関わっている人たちで、そういう人たちは多いとはいっても、まだ「それが平均」とまではいかない。



 メディアでは後追いで、若者のテレビ離れについてさまざまな分析記事を掲載しているが、どうも別の有識者に聞くというものばかりで、元データに当たったものが少ないように見える。元データを分析すれば、そこに回答は載っているのではないか。そう考えて、元データを引っ張り出して検討してみることにした。



●なぜ「衝撃」なのか



 「若者のテレビ離れ」記事の元になったデータは、これである。



 元となった調査は、テレビに関する時間の使い方だけでなく、生活における時間の使い方を幅広く調査したものだ。



・2020年 国民生活時間調査概要



 これは、1日のうちに接触したかどうかの調査であり、19歳以下の若者層でのテレビ接触率はほぼ50%ということになっている。この調査は5年に1度しか行われておらず、2015年の調査では、減少傾向は加速していたが、まだ5割を切るまでには至っていなかった。



・2015年 国民生活時間調査報告書



 各新聞社がこのデータを衝撃的と報ずる理由は、上のグラフで20代〜30代のいわゆるF1層を見ると分かってくる。いわゆる広告が一番効く層が含まれるのだが、ここの数値が20代ではインターネットに大負け、30代で均衡と、テレビ広告時代の終わりを示すには十分なデータだ。



 そしてF1層予備軍の16〜19歳がこの数字では、あと数年で20代の接触率も下がるだろう。



 日本の民放キー局は、新聞社資本である。稼ぎ頭であったテレビでは、もう広告は稼げない、と喉元に刃を突きつけられた。黙っていればバレなかったのに、その刃を突きつけたのが広告収入無関係のオノレNHK、という構図なのである。



●若者世代の時間の使い方



 ではもう少し詳しく、若者世代は何に時間を使っているのかを見ていこう。下のグラフは、ネットの内訳も含めて全メディアに対する1日の接触時間を分析したものである。



 これによれば、16〜19歳のメディア接触時間は、30代、40代とさほど変わらないことが分かる。青年層の中では20代が突出しているだけだ。ただその内訳は、動画以外のネット活動で、多くの時間をSNSなどのコミュニケーションに費やしているのが分かる。



 一番人付き合いが増える時期でもあるのは事実だが、全員が積極的発信者であるわけではない。SNSなどを娯楽読みものとして楽しんでいるという裏返しでもある。



 こうした行為比率は習慣の上に成り立っており、年齢が上がったからといって大きく比率が変わるわけではない。「もうおとなになったんだからテレビ見なきゃ」とはならないのである。



 時間別の内訳を見てみよう。テレビは操作しなくても受動的に見られるメディアなので、視聴時間帯に大きく左右される。つまり朝、昼、夜の食事時である。



 16〜19歳でテレビ視聴のピークが国民全体平均と近いのは、親がその時間にテレビを点けてるから成り行きで見ているということであろう。昼の視聴が少ないのは、学生であれば学校にテレビがないからだと考えられる。



 またネット利用のピークはテレビの山場のあとにやってくる。ゴールデンタイム時に食事して、それ以降はネット利用が本番を迎えるわけだ。



 利用の終わりは、国民全体としては23時過ぎにはすでにテレビもネットも利用者が5%程度にまで下がるのに対し、16〜19歳ではまだネット利用者が20%もいる。全体的に夜ふかしの傾向にあるということだろう。



 そのしわ寄せは、朝に来る。ここから先のデータは公開されている概要PDFには載っておらず、別途公開されている専用サイトにある。



・国民生活時間調査WEB



 10代の朝の動きを見てみると、5年前と比べて男性では特に有意な違いは見られないのに対し、女性の方は午前7時以前に起床する割合が減少している。夜ふかしの影響は、女性の方が多く受けているようだ。



 7時以降の行動については、男女ともにテレビを見ず、身支度に時間を取られているのが分かる。



 年頃の子どもを育ててきた経験からすると、夜にネットばかりやって風呂に入らず、朝慌ててシャワーを浴びて頭を洗うと、今度はドライヤーで乾かすのに時間を取られて身支度に掛かる時間が飛躍的に伸びるという、ダメダメな図式が見えてくる。プラス母親の小言に対応するのにも時間が取られていく。



 そんなことで10代の朝は忙しく、悠長にテレビを見ながらご飯を食べている時間などないわけである。



 青年層のテレビを見ない傾向は、食事のタイミングが親とズレ始める16〜19歳ぐらいから顕著になると考えられる。高校生になれば通学が遠距離になり、家族より一足先に出るという家庭も多いだろう。また部活動で遅くなり、家族と夕食の時間もズレるケースも多い。それ以前は親と一緒に食事を取るので、必然的に親が点けているテレビを眺めることになる、というわけだ。



 結局、家族といろんな時間やタイミングがズレてくると、リアルタイム放送しかないテレビは見るチャンスがなく、いつでも同じコンテンツが見られるネットのほうが面白い、ということになる。



 そうして形作られた習慣は、歳を重ねても大きく変わることはない。テレビは今、若い世代を取り込む必要はあるが、インタラクティブではない以上、リアルタイムでテレビを見ろというのは無理がある。



 一方でTVerなどストリーミングサービスを通じてテレビ生まれのコンテンツに接触する機会は増える可能性があり、これからのテレビ運営はネットで稼ぐ方法へシフトせざるを得ない。



 他先進諸国がとっくにやっていることを、10年遅れで始めたということである。



※この記事は、毎週月曜日に配信されているメールマガジン『小寺・西田の「マンデーランチビュッフェ」』から、小寺信良さんのコラムを転載したものです。


このニュースに関するつぶやき

  • 企業がTVCMからYoutubeに乗り換えてる現実って話じゃないの?直接ネットから買い物できる世代はTVが必要ないって話よ。
    • イイネ!24
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  • いあ、テレビおもんないやんw
    • イイネ!25
    • コメント 2件

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