平井コーチ、選手村の「中と外」の「垣根を取っ払いたい」

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2021年06月14日 17:00  AERA dot.

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写真平井伯昌(ひらい・のりまさ)/競泳日本代表ヘッドコーチ、日本水泳連盟競泳委員長
平井伯昌(ひらい・のりまさ)/競泳日本代表ヘッドコーチ、日本水泳連盟競泳委員長
 指導した北島康介選手、萩野公介選手が、計五つの五輪金メダルを獲得している平井伯昌・競泳日本代表ヘッドコーチ。連載「金メダルへのコーチング」で選手を好成績へ導く、練習の裏側を明かす。第72回は、「『中と外』の情報共有」。

【写真】ジャパンオープンの男子400メートル個人メドレーで優勝した瀬戸大也選手

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 競泳日本代表チームは5月31日から6月6日まで第2次合宿を行いました。

 4月の五輪代表選考会直後の第1次合宿を終えてから所属チームで強化を続けてきた選手、コーチ、スタッフが久しぶりに顔をそろえて、コミュニケーションを深めていきました。

 合宿期間中に日本代表チームとしてジャパンオープン2021(3〜6日、千葉県国際総合水泳場)に出場して、五輪本番を想定したチームとしての動き方も確認しました。チーム内の役割分担をしたコーチから選手に話をしてもらい、結束力が高まる合宿になったと思います。

 第1次合宿から私がヘッドコーチとして心がけているのは、選手、コーチ、スタッフに対して、その時点でわかっている情報を、できるだけ早く正確に伝えていく、ということです。

 今回の代表チームのコーチは私も含めて11人です。第2次合宿が終わると選手たちは所属チームに戻って練習します。五輪直前に代表チームに合流して、選手村に入って11人の代表コーチのもとで五輪のレースに出場します。代表チームのコーチは、選手村に入っていない代表選手輩出コーチと十分に情報交換することが、極めて重要です。

 これまでの五輪では、代表チームの「中と外」という言われ方もしましたが、今回はできるだけ垣根を取っ払いたい。その前提として、迅速な情報の共有化を進めているわけです。

 新型コロナウイルスの感染拡大にともなって、オンライン授業や会議が急速に普及しました。代表チームでもこの「不便な世の中で普及した便利な道具」を使っています。報道されたように5月に代表選手の一人から新型コロナウイルスの陽性反応が出たときも、すぐにコーチ間でオンラインミーティングを開いて選手の健康状態を聞いたり、感染拡大防止策を確認したりしました。代表チームの入江陵介キャプテンにも連絡して、ソーシャルネットワーク(SNS)を使って、選手に体調管理の徹底を呼びかけてもらいました。

 今回の日本代表チームはフレッシュなメンバーが多く、今のところのびのびやってくれている感じがして、それがなによりです。

 東京五輪に力を集結してよい結果を出すことが最大の目標です。それと同時に今回の代表メンバーを中心に将来の日本の競泳を背負っていってもらいたい、という願いがあります。

「チームジャパン」の意識を強く持って、ナショナルチームに入る意義というものを、選手だけでなく、コーチ陣、スタッフ陣にも感じてもらいたい。そのために早い時期から話し合いをして一人ひとりのスタッフが役割を分担し、細部の動きまで詰めて考えて、選手が力を発揮できるように行動予定を立てています。

 地元五輪の利点を生かして、味の素ナショナルトレーニングセンター(NTC=東京都北区)も有効活用していきます。私と一緒に指導してきた東洋大の岡田真祐子コーチも五輪前から大会終了までNTCに常駐して、代表選手とコーチをサポートしていきます。

 今回選手団に入れなかったコーチ、スタッフの方たちも東京五輪をできるだけ身近に感じてもらって、今後のパリ五輪、ロサンゼルス五輪につなげていってほしい、と思っています。

(構成/本誌・堀井正明)

平井伯昌(ひらい・のりまさ)/競泳日本代表ヘッドコーチ、日本水泳連盟競泳委員長。1963年生まれ、東京都出身。早稲田大学社会科学部卒。86年に東京スイミングセンター入社。2013年から東洋大学水泳部監督。同大学法学部教授。『バケる人に育てる』(小社刊)など著書多数

※週刊朝日  2021年6月18日号

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