再婚直後、「夫の元妻」とトラブル発生! 「よくものうのうと……」養育費増額の主張に怒り収まらず

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2021年06月15日 14:02  サイゾーウーマン

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サイゾーウーマン

写真ACより

 人生、何度でも、いくつになっても、やり直しができる。間違えても大丈夫、もう一度、立ち上がって生きていこう!――そんなメッセージを込めてお送りする連載「2回目だからこそのしあわせ〜わたしたちの再婚物語」では、失敗を糧にして「結婚」に再チャレンジし、幸せを手にしつつある人たちの物語を紹介していく。

結婚相談所に登録してお見合い、半年後に再婚

 滝沢美菜子さん(仮名・45歳)は、娘たちが4歳と3歳のときに離婚し、昨年まで15年間、シングルマザーとして生きてきた。お付き合いをした人も何人かいたが、いずれも結婚には至らず、ひとりでもいいかな、と思っていた。でも、娘たちが高校生になったころから、老後を共に過ごせるパートナーが欲しくなってきた。

「いずれ娘たちも独立してしまうし、老後ひとりなのはさみしいかなあと思って……」

 職場の人に紹介され、個人でやっている結婚相談所に登録し、お見合い。そこで出会ったのが、優作さん(仮名・50歳)だ。市役所に勤める公務員。3年ほど前に離婚し、3人いる子どもは前妻が育てていると聞いた。喫茶店で会って話をした第一印象は、「真面目そうな人だな」。

「まあ、どこにでもいるおじさん、でしたよ(笑)。でも、人間、お付き合いしてみないとわからないから、よっぽど変な人じゃなければ、とりあえず、ごはん行ったりしてみようかなと思っていました。それで、なんとなくお付き合いがスタートしたんです」

 お付き合いは順調に進み、半年後に再婚という流れになった。

「両親も喜んでくれたし、娘たちも『いいんじゃない』って」

 娘たちが学校に通いやすいように、美菜子さんが住んでいたアパートの近くにマンションを買い、4人で一緒に暮らし始めた。

 燃えるような恋愛感情はなかったが、堅い職業、朴訥な人柄に安心感をもった。一緒にいて、ほのぼのとした気持ちになれる人だった。

「元夫とは違うタイプ。元夫はスポーツも得意、人付き合いも上手で友達も多く、ノリのいい人でした。私がどちらかというと地味な性格だから、明るい元夫に憧れる気持ちがあったんだと思います。恋愛しているぶんにはよかったけれど、結婚してみたら消費者金融からの借金が発覚したり、小さな浮気もたびたびあったりで、私は気が休まりませんでした」

 美菜子さんの父親は半官半民の会社勤めで、美菜子さんは堅い家庭に育った。消費者金融など、縁のない世界。だから、CMでよく見る消費者金融のマークが入った督促状が家に届いたときは、恐ろしくて震え上がった。

「お金は、友達との遊びやギャンブルに使っていたみたいです。結局、借金が膨れ上がり、返済が追いつかなくなって。元夫が私に内緒で仕事を辞めていたのが決定打になり、私は離婚を決意しました」

 美菜子さんは地元の銀行に正社員として勤めていたので、子ども2人を育てていくことは可能だった。元夫も、少ないながらも養育費は毎月、入れてくれたので、生活は回った。それでも、シングルマザーとして生きていくことは生半可ではなかった。15年間、常に気を張っていた。優作さんと再婚することで、ようやく安らげる生活を手に入れたーーと思いきや、思いがけないトラブルが、優作さん、美菜子さん夫婦を待ち受けていた。

「主人(優作さん)が離婚したのは、前妻が不貞をし、子どもを連れて出て行ってしまったから。当時はいろいろあったけれど、養育費は一括で払い込み、もう決着がついていると聞かされていたんです」

 過去があるのはお互いさま。だから、前妻の存在は特に気にしていなかった。もう関わらなくてよい相手だと思っていたからだ。それなのに、結婚生活が始まってすぐ、優作さんは前妻から養育費増額調停を起こされてしまった。

「主人から『実は……』と打ち明けられて。初めは『そんな昔の女のことなんか知らん、自分で片付けてよ』と思ったんです。でも、一晩考えて、『いまは私がこの人の妻なんだし、味方になってあげたほうがいいんかな』って思い始めました」

 それで、一緒に弁護士事務所に相談に行った。

「男の人がひとりでいくより、女の人も一緒のほうが話を聞いてくれるかなあと思って」

 相談の過程で、知りたくない話もたくさん聞かされることになった。元妻は、思春期の子どもが3人もいるのに不貞をしたこと。優作さんが問い詰めたら、子どもを連れて出て行ってしまったこと。優作さんは子どもにも会わせてもらえず、家族で暮らしていた家にひとり取り残されたこと。元妻は自分の不貞を棚に上げ、子ども3人分の養育費を請求、優作さんは真摯にそれに応えたということ。元妻はその後、その不貞相手と再婚し、相手との間に2人も子どもをつくったということ。

「彼女のSNSをチェックしたら、このご時世に家族総出でチャラチャラと出かけている様子やらがたくさん出てきて。『なに、この女』って思うと同時に、つらい思いをさせられてきた主人のことが心底かわいそうになりました。『この人を絶対、傷つけたらダメだ』って、女としてというより、母親のような愛情が湧いてきたんです」

 結局、養育費増額調停では相手方の主張が認められ、優作さんは一括で支払った養育費に加え、さらに毎月、養育費を支払うことになった。子どものためのお金だから致し方ないが、「さんざん主人を傷つけておいて、よくものうのうと……」。

 美菜子さんの怒りは収まらない。

 しかし、「災い転じて福となす」とは、このことか。元妻から調停を起こされるという不愉快極まりない出来事のおかげで、夫婦の間にタブーがなくなった。本来、元の配偶者の情報など話したくもない、聞きたくもないはずだが、それが「触れてはいけない話題」ではなくなったということだ。

 弁護士費用をどうしようという話から、お金の話も互いにさらけ出せるようになった。優作さんの財布を預かり、美菜子さんが家計管理をする流れが自然に決まった。美菜子さんの娘にかかる費用も、「そこから出していい」と、優作さんは言ってくれた。

 そして、元妻という共通の敵に立ち向かうことで、夫婦としての絆がグッと強まった。

「私、主人が愛おしくて愛おしくてたまらないんです。キュッとくっついて寝るのが、とてもしあわせ……」

 平日は、美菜子さんのほうが帰宅が早い。食事の支度をし、子どもに食べさせ、ひと通りの家事を終わらせた8時か9時ごろ、優作さんが帰ってくる。

「2人ともお酒が好きなので、晩酌をしながらおしゃべり。職場での出来事や愚痴、テレビやネットで見たニュースの感想、毎晩、2時間も3時間も話していますね」

 休日は、料理が得意な優作さんが腕を振るう。先日の子どもの誕生日には、ケーキを焼いて祝ってくれた。こんなにいい人なのに、どうして元妻は浮気をしたのだろう? 優作さんを捨てたのだろう? 美菜子さんは不思議でたまらない。たちの悪い人間というものが、この世の中にはいるのだろうか?

 優作さんも同じように、いまこの生活にしあわせを感じているようだ。折に触れて「かわいいね」「大好きだよ」と言ってくれる。「美菜子がいて、しあわせ」と、ちゃんと言葉に出してくれる。

 この春、上の娘が大学進学に伴い、家を出た。来春には、下の娘も出ていくかもしれない。そうしたら、いよいよ夫婦2人の生活だ。ささやかだが、楽しい日常。派手なイベントはなくても、毎日、笑顔でいられる。これこそが結婚の醍醐味だ。2回目にして手に入れたしあわせを、優作さんも美菜子さんも愛しんでいる。

(上條まゆみ)

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