アメリカ宇宙軍 小型衛星を契約からわずか4か月足らずで打ち上げ

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2021年06月15日 18:01  おたくま経済新聞

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写真アメリカ宇宙軍 小型衛星を契約からわずか4か月足らずで打ち上げ
アメリカ宇宙軍 小型衛星を契約からわずか4か月足らずで打ち上げ

 アメリカ宇宙軍は2021年6月13日未明(現地時間)、小型衛星をノースロップ・グラマンの空中発射式ロケット「ペガサス XL」で打ち上げました。


 今回の打ち上げは、従来なら年単位の時間がかかる人工衛星の打ち上げを情勢の変化に応じて素早く行う試験で、契約締結から打ち上げまで4か月足らずという短期間で実施されています。


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 今回の打ち上げは「TacRL-2(Tactically Responsive Launch-2)」と呼ばれるもので、戦術的な要求に基づいて、必要な人工衛星を素早く打ち上げる手法の確立を目指す試験として実施されました。刻々と変わる世界の安全保障環境に応じて、適した軍事衛星を素早く打ち上げ、軍の活動をサポートするのが目的です。


 通常の人工衛星は、衛星の仕様決定から設計、製造、打ち上げ前試験までが数年がかりになるプロジェクト。それ以外にも、打ち上げロケットの選定やロケットの製造にかかる期間や、打ち上げ時の条件が整うタイミングを計算しなくてはなりません。


 これに対し、打ち上げ時の気象条件を問わない空中発射式ロケットを使い、望み通りのタイミングで素早く人工衛星を軌道へ投入する手段を確立しよう、というのがTacRL-2での目的です。今回の打ち上げに使われたのは、ノースロップ・グラマンの空中発射式ロケット「ペガサス XL」でした。


 今回の試験では、6か月間に設定された準備期間中、人工衛星を21日以内の打ち上げができるようにしておき、指令によって素早くペガサス XLロケットに搭載。そして発射母機のロッキード・マーティンL-1011トライスター「スターゲイザー」に搭載して離陸し、太平洋上空約4万フィート(約1万2000m)で打ち上げました。


 発射母機「スターゲイザー」から切り離されたペガサス XLは順調に上昇し、人工衛星を予定された軌道へ投入。打ち上げは成功しました。


 アメリカ宇宙軍の制服組トップ、ジョン・“ジェイ”・レイモンド作戦部長は「今日の打ち上げ成功は我々の戦略的競合相手に対し、宇宙へのアクセスを絶対に譲らないという意思を明確に示すものです。私が1年前、宇宙ミサイルセンターに対して即応性の高い宇宙への能力を要求したのに対し、彼らは受け入れ、そして成し遂げたのです!チームは統合型警戒衛星を記録的なスピードで打ち上げました。通常なら2〜5年かかるところ、わずか11か月で打ち上げたのです」と語り、衛星打ち上げまで驚異的な速さだったことを強調しています。


 ロケットの打ち上げを担当したノースロップ・グラマンのロケット担当副社長、リッチ・ストラカ氏は「このペガサス打ち上げは、私どものチームが運用上のニーズに素早く対応できることを明らかに証明するものです。チームは契約からわずか4か月足らずでロケットの設計から製造、統合作業に試験までをやってのけ、指令から数週間のうちに打ち上げてみせました」とのコメントを発表しています。


 空中発射式ロケットは、搭載機器に悪影響を及ぼす雷(積乱雲)などの気象条件の影響を受けず、気流の安定した成層圏から打ち上げるため、スケジュール通りの打ち上げや、素早く打ち上げる必要がある際には大きな役割を果たします。ペガサスロケットの場合、発射母機が運用できる場所がアメリカやヨーロッパ、南太平洋のマーシャル諸島など5か所あり、さまざまな軌道に対応できるのが特徴です。


<出典・引用>
アメリカ宇宙軍 ニュースリリース
ノースロップ・グラマン ニュースリリース
Image:USSF


(咲村珠樹)


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