田原総一朗「続く入管死亡事案。外国人への人権侵害は是正されるか」

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2021年06月16日 07:00  AERA dot.

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写真田原総一朗・ジャーナリスト (c)朝日新聞社
田原総一朗・ジャーナリスト (c)朝日新聞社
 ジャーナリストの田原総一朗氏は、人権侵害を指摘され続ける出入国在留管理局の問題点を指摘する。

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 3月に名古屋出入国在留管理局の施設で、スリランカ人女性ウィシュマ・サンダマリさん(当時33)が死亡した事案についてである。

 遺族も野党も、女性が死亡に至るまでの過程で逐一記録されているはずの監視カメラのビデオ映像の開示を求めているのだが、政府(法務省)と自民党はかたくなに拒んでいて、それが国会で大論戦となり、改めて日本の入管行政が厳しく問われることになった。

 その女性は日本語を学ぶために日本に留学してきたが、学び続ける資金がなくなって、その時点で日本に在留する資格を失った。ところが恋人ができて、その男性と暮らしていたのだが、男性の暴力に耐えられなくなって、警察に訴えたら、在留管理局の施設に入れられてしまったわけだ。

 在留管理局の施設の待遇は相当悪く、1997年以降、死亡事案が20件以上発生しているのである。24時間監視カメラで見張られていて、刑務所よりも悪い待遇だとも言われている。

 その女性の場合、体調を壊して、診察した医師が「仮放免」を勧めたようだが、在留管理局はそれを認めなかったのである。

 実は、在留管理局の収容者への対応については、20年以上にわたって国連などから人権侵害を指摘され続けて、再三の改善勧告を受けているのである。

 入管に収容された外国人の死亡が繰り返し起きるのは、入管施設で甚だしい人権侵害が繰り返されているからではないのか。

 2018年の安倍内閣のとき、働く人材が不足しているので、外国人の労働者を一定数受け入れることになった。ところがこのとき、政府は「移民ではない」と強調しているのである。たとえば、入国した人物が病気になっても、日本人に行われているような医療保護は行わない。そして、結婚している妻が母国にいても日本への入国は認めない。言ってみれば人間扱いをしないということである。

 14年には国連の自由権規約委員会が、在留管理局の施設に収容する場合には独立した審査が必要だが、それが欠如している、と強く批判し、是正を求めたが、入国管理局(当時)はそれを認めなかった。

 さらに、警察が人間の罪を問うて自由を奪うためには、裁判が行われなければならないのだが、入国管理局の場合は自由裁量でできてしまう。つまりチェックする仕組みがないのである。

 そして、日本は難民認定率が国際社会に対して極端に少ないのである。米国、フランス、ドイツなど海外の先進国では、難民認定率が20〜50%で、年間に数万人の難民を受け入れているのだが、日本の難民認定率はわずか0.4%で、19年には1万人超の申請に対して、44人しか認定されていない。野党各党は難民認定率を国際基準並みにせよ、と強く求めている。

 こうした問題について、自民党の元厚生労働副大臣の木村義雄氏に問うと、「スリランカ人女性のビデオ映像は開示されるべきです。ただし、難民認定率を国際基準並みにするのは、イギリスなど欧州諸国、そして米国でも自国民の失業が増えるというので大問題になっていて、この点は慎重にやるべきです」と語った。

 絶えない入管施設での死亡事案は到底看過できず、ブラックボックス化は許されない。

田原総一朗(たはら・そういちろう)/1934年生まれ。ジャーナリスト。東京12チャンネルを経て77年にフリーに。司会を務める「朝まで生テレビ!」は放送30年を超えた。『トランプ大統領で「戦後」は終わる』(角川新書)など著書多数

※週刊朝日  2021年6月25日号

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  • 支援者とやらが間違ったことを教えなければ起こらなかったとは考えないのか?立派なお葬式をして人権を言い募ることに利用することが正しいのか?
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