『DEATH NOTE』『東京喰種』『HUNTER×HUNTER』……闇堕ちした主人公、一番ダークなのは?

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2021年06月16日 08:01  リアルサウンド

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 味方サイドのキャラクターが、ショッキングな出来事を体験し、ダークサイドに堕ちる「闇堕ち」。闇堕ちは正義感が強く心優しいキャラであればあるほどその影響は大きく、作品にスパイスを効かせる。そして闇堕ちは常に作品の中心にいるはずの主人公にも、縁遠いものではない。漫画界には主人公であるにも関わらず闇堕ちしてしまったキャラクターが、数多く存在するのだ。そこで本稿では魅力溢れる闇堕ち主人公を、4人厳選して紹介していく。


夜神月/『DEATH NOTE』
『DEATH NOTE』1巻(集英社)

 累計発行部数3000万部を突破し、映画化やドラマ化など様々なメディアミックスが為された『DEATH NOTE』。本作の主人公である夜神月(やがみライト)は、闇堕ち主人公の代表格と言っても差し支えないだろう。


 高校生の夜神月は真面目な優等生だ。容姿端麗、成績優秀、運動神経抜群、周りの凡人を見下す節はあるが、警察庁幹部の父譲りの正義感を持つ少年だった。そんな月はある日、“死神のノート”と説明が記された「DEATH NOTE」を拾う。すぐにそのノートが名前を書いた人間を死に至らしめる“本物”であると気付く月。こうして月は悪人を私刑によって罰し、自身が「新世界の神」となることを高らかと宣言する。


 最初は歪んだ正義感によって活動していた月だったが、徐々に眠っていたプライドや自己顕示欲の高さが露呈していく。そして自分の保身のためであれば善人であれ冷酷に殺すようになる月。そうなってからの彼には、宿敵の死を前に悦びに浸る姿なども描かれた。月はDEATH NOTEを拾ったことにより、正義感溢れる優秀な少年から大量殺人者まで身を落としたのだ。


金木研/『東京喰種トーキョーグール』
『東京喰種トーキョーグール』1巻(集英社)

 「となりのヤングジャンプ」で2021年5月から連載を開始した『超人X』で話題の石田スイの代表作『東京喰種トーキョーグール』。本作の主人公、金木研は元々文学好きの心優しい平凡な大学生だった。しかしある事件がきっかけで、金木は「人間を喰らって生きている怪物」である喰種の臓器を移植されてしまう。そんな序章から闇堕ち要素満載の金木だが、作品内で彼の外見のみならず人格まで変えてしまう事件が起こる。


 仲間を逃す代わりとして喰種組織「アオギリの樹」のヤモリに捕縛された金木。そんな金木を待っていたのは想像を絶する苦痛を伴う拷問の数々だった。無限と感じるほど幾度となく手足の指は捻じ切られ、耳に巨大なムカデを入れられる。極め付けに自身の身を挺して逃したはずの親子を目の前で殺された金木は、ストレスで髪の色素も抜け落ち遂に壊れてしまった。そして精神世界の中で、金木はもう2度と仲間を失わないために、身体に眠る因縁の喰種を喰らってみせる。そして喰種と人間の間で悩んでいた自分とは決別し、金木は残虐性を心に宿したのだった。


 この一件以降金木の人格は大きく変化することになる。仲間を傷つけた敵を半殺しにするとして、文字通り「人体全ての骨の半分である103本の骨を折る」という暴挙に出た彼には、昔の心優しい青年の面影はなかった。


漆間俊/『十字架のろくにん』
『十字架のろくにん』1巻(講談社)

 『別冊少年マガジン』で連載中の『十字架のろくにん』の主人公である漆間俊。彼もまたある事件によって人格を歪められてしまった、理不尽の被害者だ。


 心優しく他人や動物を大切にする漆間は、突如5人組の同級生からいじめのターゲットにされてしまう。心苦しくもいじめの事実を家族に打ち明ける俊。しかし転校も決まったある日、彼の家族は殺人に異常な興味を持つ5人によって殺されてしまう。そして何もかもを奪われた俊は、人の殺し方を知る秘密部隊出身の祖父の元、復讐を誓うのだった。


 祖父から殺人技と拷問方法を叩き込まれ、復讐に臨む俊。この俊の復讐方法がなんとも酷たらしい。彼は身体の前面の表皮を全て剥ぎ、むき出しの神経に改造エアガンの弾を撃ち込む。無垢な少年は、復讐心によって残忍な悪魔と化したのだ。


ゴン・フリークス/『HUNTER×HUNTER』
『HUNTER×HUNTER』1巻(集英社)

 『週刊少年ジャンプ』が誇る、王道ファンタジーアクション『HUNTER×HUNTER』。冒険と異能が飛び交うまさに王道の少年漫画である本作だが、珍しくも主人公であるゴンは凄惨な事件によって闇堕ちを経験する。


 元々危うい主人公として登場したゴンだったが、闇落ちしてしまったのが「キメラアント編」である。恩師であるカイトが敵幹部のネフェルピトーによって弄ばれたゴンは、彼にカイトを治すように迫る。しかしカイトには外道な振る舞いを見せたにも関わらず、コムギを懸命に助けようとするピトーに、ゴンは怒りを露わにしていた。瞳は暗い闇へと沈み、親友であるキルアにも冷たく当たるゴン。そしてカイトが死んでいると知ったゴンは、我を失い全てを無に帰す覚悟で、ピトーを原型が無くなるまで殴り続けた。


 仲間を大切にし、純粋な心が魅力的だったゴン。しかし彼はその純粋さ故に、深い闇へと心を堕とすことになったのである。


 主人公でありながら負の感情に身をまかせ、闇に身を堕とすキャラクターたち。彼らには明るく元気な主人公とは、また違った魅力がある。衝撃的な体験によって変貌を遂げたキャラクターが、様々な結末を迎える。そんな闇堕ち主人公に興味がある人は、ぜひ他作品もチェックして欲しい。


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