誰でも予約なしですぐにワクチン接種できた!日本が見習うべきニューヨーク流【現地ルポ】

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2021年06月17日 09:00  AERA dot.

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写真ニューヨークのペン・ステーションの片隅に設けられたワクチン会場(撮影・新垣謙太郎)
ニューヨークのペン・ステーションの片隅に設けられたワクチン会場(撮影・新垣謙太郎)
かつてアメリカにおける新型コロナ感染爆発の中心地と言われたニューヨークだが、感染拡大から一年以上が経ち、街中では多くの地元住民や観光客も見られるようになった。市の中心部ではコロナ禍で閉店を余儀なくされたレストランや小売店も未だに目立つが、街の活気は徐々に戻りつつある。そして際立って目を引くのは、無料で受けられるワクチンを求めて海外から訪れる観光客の姿である。「ワクチンツーリズム」に湧くニューヨークの現状を、現地のジャーナリストがルポした。

【写真】NYでワクチン接種した後、配られる証明はこちら

「ニューヨークは両手を広げて、海外からの観光客を歓迎します」

 ニューヨーク州(以下はNY州)が全米で最もコロナ陽性率の低い州となったことを受けて、アンドリュー・クオモ知事は6月2日の会見で呼びかけた。15日にはNY州における18歳以上の成人7割が少なくとも1回のワクチン接種を受けたと発表し、知事は屋内における人数制限などほぼすべてのコロナ規制の即時解除を決定した。筆者の身の回りを見ても、以前の日常生活が少しずつはあるが戻ってきていると実感している。

 その大きな理由として、ワクチン接種が広まったことが挙げられる。数ヶ月ほど前から、市内のいたるところでワクチン接種をすすめるテントや車両型のワクチン接種所、いわゆる「ワクチン・バス」などを見かけるようになった。さらに、多くの通勤客が利用する主要な駅においても、予約なしに無料で受けられるワクチン会場が登場した。その会場の一つ、「ペン・ステーション」に筆者は足を運んでみた。

 訪れたのは週末であったが、駅の構内の一角に設けられた簡易テントのワクチン開場前には10人程度の人々が列を作って並んでいた。ワクチン接種を終えた一人に話を聞いてみた。

 韓国人のパク・チョンウォンさん(24)によると、受付からワクチン接種を終えて出てくるまでに20分程度もかからなかったという。現在メキシコ在住のパクさんは、ESTA(エスタ=電子渡航認証システム)を使ってアメリカに入国。翌日ペン・ステーションに、早速ワクチンを受けに来た。

 受付ではパスポートを見せて、名前とアメリカにおける住所を登録するだけで、事前予約なしにその場でワクチンを接種することができたという。接種後は経過観察をするために、15分間会場に設置された椅子で待機しなければならないが、それが終わるとワクチン証明書と一緒に、地下鉄やバスの7日間乗り放題の乗車券が無料で配られた。

「こんなに早く簡単に(ワクチン接種が)済むなんて、驚きました」

 そう語るパクさんは、1週間ほど友人たちと一緒にニューヨークに滞在し、観光を楽しんでいく予定だと話した。

 この会場はNY州が期間限定で設置したもので、ワクチン接種はすべて無料。NY州の住民以外でも18歳以上ならば、他の州や海外から来た誰でも受けられるようになっている。さらに、使用しているワクチンは1回の接種で済むジョンソン・エンド・ジョンソン製のものなので、海外からの旅行者でもワクチンを接種するために長期滞在する必要はない。

 アルゼンチンから訪れた姉妹は空港から会場まで直行し、航空会社の荷物タグを付けたままのスーツケースを持って、ワクチン接種に挑んでいた。

「1回の接種で済むワクチンを探していたから、この会場を選んで来ました」

 こう語る姉のマリアナ・ドナトさん(37)は妹のメルセデスさん(27)と一緒にニューヨークに10日間滞在し、街の散策や買い物を楽しむ予定だという。

 現在NY州では12歳以上の住民であればワクチン接種が可能であるが、米疾病対策センター(CDC)によると、これまでに約980万人(12歳以上の州人口の58.7%、6月15日時点)の州民がワクチンの接種を完了している。

 しかし、1週間で150万回以上のワクチン接種が行われた4月のピーク時に比べると、6月8日から14日までの7日間では約58万回となっていて、接種ペースがかなり低下している。

 さらに、アメリカの一部の州では入荷したワクチンが未使用のまま、期限切れなどの理由で廃棄されるケースも出てきているという報道もある。

  観光客にワクチンを接種するのは、コロナ禍で失われた観光業を盛り返すという目的以外にも、余剰ワクチンの問題もありそうだ。

 しかし、ワクチン接種がまだまだ行き届いていない国から見れば、うらやましい状況である。

 メキシコ人のパトリシオ・ガルシアさん(18)は、40代の両親と一緒に初めてニューヨークを訪れたという。ワクチン会場近くのホテルに滞在しており、ニュースでこの会場のことを知り、家族3人でワクチンを接種しに来たと話した。メキシコでは自分たちのような若者がワクチンを受ける事ができるのはかなり先のことだろうと考え、今回両親と一緒にワクチンを接種することにしたと語った。

「メキシコにおける(ワクチン接種の)状況は、非常に時間がかかっています。自分みたいな若者にとって、今は(接種するのが)不可能です」

 父親のアレックスさん(45)によると、昨年、家族旅行でニューヨークに来る予定だったが、コロナ禍の影響でキャンセルに。今年は少し早めの夏休みを取って、こちらで休暇を過ごしながら、ワクチン接種も受けることにしたという。ニューヨークには11日間の滞在予定だが、家族3人で飛行機代やホテル代なども含めると1万ドル(約110万円)以上はかかるとみている。

「ニューヨークのすべてを見てみたいですね。非常に滞在が楽しみです」

 アレックスさんは誇らしげに腕のワクチン接種の跡をみせ、大きく微笑んだ。(取材と文=新垣謙太郎)











このニュースに関するつぶやき

  • アメリカは、感染爆発を経験してますからね。これは戦争です。
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  • AERAいいの?米見習っても( *´艸`)本国から何か言われちゃうよ?(笑)いつもの中韓国推しは?
    • イイネ!24
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