出川哲朗、稲垣吾郎、吉岡里帆…50人の愛読書から有名人の知られざる一面が露わに!

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2021年06月17日 20:11  ダ・ヴィンチニュース

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写真『あの人が好きって言うから… 有名人の愛読書50冊読んでみた』(ブルボン小林/中央公論新社)
『あの人が好きって言うから… 有名人の愛読書50冊読んでみた』(ブルボン小林/中央公論新社)

 他人の家の本棚を覗くのはいつだって楽しい。恋人や友達の部屋に入ったら真っ先にチェックすべきポイントは本棚だ、という読者の方も多いのではないか。その人が人格形成の過程でどのような本に触れてきたのか、その傾向が分かるだけで友達や恋人の気質や性格の特徴が見えてくる。その人のイメージがガラッと変わることあるだろう。

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『あの人が好きって言うから… 有名人の愛読書50冊読んでみた』(中央公論新社)は、著者のブルボン小林氏が、有名人50人が挙げた「愛読書」を読み、その人がなぜその本が好きなのかを考察したエッセイ集だ。「あの人が好きって言うから…」というセレクト理由も面白いし、有名人によっては愛読書を推す理由まで開陳されているのも嬉しい。

 例えば、芸人の出川哲朗氏の愛読書は『矢沢永吉激論集 成り上がり How to be BIG』(KADOKAWA)。芸能人でもスポーツ選手でもミュージシャンでも、同書を座右の書に挙げ、バイブルとしている人は多い。出川氏のチョイスはある意味ベタである。

 だが、ブルボン氏は出川氏が矢沢氏の生き様だけでなく、その言語感覚にも影響を受けていることに注目する。同書での矢沢氏の価値観に感化された人は多いだろうが、語尾の「〇〇したわけ」という言い回しや言葉の切り方まで、出川氏のように矢沢氏そっくりに話す人は思い当たらないという。

 本人のパブリック・イメージと愛読してきた本の内容に違和感や齟齬がまったくないのが、稲垣吾郎氏だ。テレビ番組『ゴロウ・デラックス』で作家と対話し、ジャニーズ時代に知的芸能人枠を期待されてきた彼は、ボリス・ヴィアン『うたかたの日々』を愛読書に挙げている。ジャズを愛する青年コランの恋愛の物語だが、ブルボン氏も「これを好きだという吾郎ちゃんマジ最高!」と称える。

 最初はそのセレクトが意外だと思ったのが、吉岡里帆氏が挙げた、唐十郎氏の『戯曲 吸血鬼』。唐氏は劇作家/俳優/作家であり、アングラ演劇の突端で活躍してきた大御所。そんな唐氏によるこの戯曲は、かなり実験的で正直とっつきにくい。だが、ブルボン氏は彼女が18歳で初めて舞台で主人公を演じたのがこの戯曲だったことに触れ、こう記す。

戯曲をただ読む行為が演劇を味わうことにはならないわけで、彼女の「愛読」も、役者にしか味わえない

 筆者は彼女が18歳で小劇場デビューしていたという事実も知らなかったので、そこからテレビドラマなどでブレイクに至る道のりの長さに思いを馳せた。いわば同戯曲は女優としての彼女の原点であり、初心に返るために何度も読み返してきたバイブルなのではないか。有名人と愛読書の関係や距離感が最も如実に表れたケースである。

 愛読書を挙げる企画は雑誌の特集などでも見かけるが、その多くは本人が推薦コメントを付けたり、インタビューでその魅力を話したりもしている。だが、時々「おや?」と思うこともある。皮相な見方かもしれないが「この人、ちょっと背伸びして小難しい本を挙げているのでは?」と思ってしまう瞬間があるのだ。翻って本書はそうした「本当のところ」をスルーせず、軽いつっこみも入れているのがいい。

 なお、著者のブルボン小林氏は『マンガホニャララ』『ゲームホニャララ』『ぐっとくる題名』など、ユニークな視点と意想外の切り口で対象に迫るエッセイを上梓してきた。ブルボン小林ってどんな人? その正体は? という方は本書に添えられている、ブルボン氏を描いたイラストは本人そっくりなので、あれ、この人は小説家の……と思う方もいるはず。せっかく縁があって手に取った本、余計なお世話かもしれないが、即Wikipediaを当たるのはちょっと無粋じゃないだろうか。

文=土佐有明

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  • よく音楽(ロック)雑誌で紹介されているアラン・シリトーの「長距離走者の孤独」は読んだ。タイトルの作品も良かったがオマケで付いている幾つかの短編はもっと良かったよ�ؤ�OK
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