清原和博、「ベストファーザー賞」に異論はないが……“同じ罪”でも「ベストマザー」になれない酒井法子に思うこと

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2021年06月18日 00:02  サイゾーウーマン

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羨望、嫉妬、嫌悪、共感、慈愛――私たちの心のどこかを刺激する人気芸能人たち。ライター・仁科友里が、そんな有名人の発言にくすぐられる“女心の深層”を暴きます。

<今回の有名人>
「一番悪い父親が…」清原和博
清原和博公式Twitter、6月15日

 元プロ野球選手の清原和博が、日本生活文化推進協議会などが主催する「ベスト・ファーザー賞in関西」を受賞した。これは関西にゆかりがあり、“明るく楽しい家庭づくりやユニークな子育てをしているお父さん”に送られる賞で、清原が「挫折の中でも2人の息子に向き合い再起を果たそうと前向きに生きている」ことが授賞理由だという。清原は授賞式が行われた6月15日、自身のTwitterに「一番悪い父親が…。感謝しか出て来ない」と投稿し、恐縮する様子を見せていた。

 清原は2016年に覚醒剤取締法違反で逮捕され、懲役2年6カ月、執行猶予4年の有罪判決を受けた。一時期、2人のお子さんと交流は途絶えていたようだが、19年3月に再会を果たす。長男が大学野球部に入ったこともあり、「父子鷹なるか?」とマスコミの注目を集め、その姿を見守る清原について、好意的に伝えるネットニュースもよく見かけるようになった。

 順調に社会復帰しているように見える清原だが、薬物というのはそう甘いものではないらしい。清原の公式YouTubeチャンネル「清ちゃんスポーツ」では、現在も手の震えや耳鳴り、不眠などの後遺症に悩んでいることを明かすなど、薬物と完全に手を切ることの難しさを語ったこともある。

 一歩間違えば悪い方向に行ってもおかしくない、まだ不安定な状態の清原を「ベストファーザー」と言うのはおかしいと思う人もいるだろう。清原がどんな父親かを決める権利があるのは2人のお子さんだけだが、父親が警察のお世話になってハッピーな思いはしないだろうから、子どもたちの心を傷つけた清原を「ベストファーザー」と呼ぶのはいささか無理があるように思う。

 しかし、この賞に限らず、“ベスト〇〇”というのは商業的なイベントである側面は否めない。そうなると、「ベストファーザー賞」の場合は「真面目に働く、名もない市井のお父さん」よりも、その年に注目を集めた人や、旬な有名人に賞を与えて、「ベスト○○賞」そのものの知名度を上げる狙いもあるのではないだろうか。

 主催者側だけでなく、受賞者にとっても得があるはずだ。ネット上で「清原は賞を辞退すべきだ」という意見を見たが、人前に出る商売の人は「〇〇賞受賞」のような肩書は多いほうがいいし、こういう賞が次の仕事につながる可能性もある。ビジネス的な観点でいえば、少しでもイメージアップを図りたいはずの清原が辞退するのは損だろう。

 なので、清原が「ベストファーザー賞」をもらうことに異論はないが、ここで考えてしまうのは「父親の役割とは何か?」ということである。その前に、清原と同じように覚醒剤で逮捕された子持ち芸能人のケースに触れたい。

 覚醒剤で逮捕された有名人といえば、女優・酒井法子が思い浮かぶ。酒井に限らず、違法薬物で逮捕される芸能人はたくさんいるが、酒井の場合、“失踪”が印象的だった。

 2009年、酒井の夫だった自称プロサーファー・高相祐一が、覚醒剤所持の現行犯で逮捕される。現場にかけつけた酒井も任意で尿検査を求められたが、「絶対に嫌です」と拒否。「子どもを預けているから」との理由でその場から去り、そのまま行方がわからなくなった。

 芸能人の夫が覚醒剤所持――。これだけでも、マスコミが大騒ぎすることは目に見えており、酒井の失踪後、世間では「自殺をはかろうとしているのではないか?」という見方も出てきたが、その後、警察は家宅捜索で酒井の自宅から覚醒剤と吸引器具を押収。こうなると、酒井は夫の逮捕にショックを受けて“失踪”したのではなく、体内から覚醒剤の成分を抜くために“逃亡”しているという見方が強くなった。結局、酒井は弁護士に付き添われて警察に出頭し、逮捕。裁判で懲役1年6カ月、執行猶予3年の有罪判決となる。

 現在、酒井の執行猶予はとっくに明けているが、コンプライアンスに厳しい昨今、芸能界への復帰は簡単なことではない。とはいえ、今はテレビに出ることだけが芸能活動という時代でもないのだ。今年5月に個人事務所「株式会社スマイル」を立ち上げ、YouTubeチャンネルを開設した酒井は、タレントとして新たな地盤を固めようとしているのだろう。また、同6日配信のニュースサイト「AERA.dot」のインタビューでは、社会人になる長男が酒井のYouTube動画を見て「あーでも、めっチャ、カッコ良かったよ。がんばれ」と、応援してくれたエピソードも語られている。

 再犯することもなく、個人事務所を立ち上げて再出発、さらに息子を社会人になるまで育て上げた立派なお母さんだと思うが、そんな酒井を評価して「ベストマザー賞」を送ろうという動きは、今のところない。同じ罪を犯しても、清原は許され、酒井は許されない。それは酒井が「母親なのに」罪を犯したからではないだろうか。

 「ベストマザー賞」といえば、清原の元妻でモデルの亜希は、2011年5月に「第4回ベストマザー賞」を受賞している。この賞は、清原が受賞した「ベスト・ファーザー賞in関西」とは違う団体が運営する賞なので、選考基準は違うことも考えられるが、ここでどうしても気になることがある。

 賞を受賞する前の亜希は、お子さん2人を超名門小学校に入学させ、自身も08年から10年までファッション誌「STORY」(光文社)のカバーモデルを務めるなど、公私ともに絶好調だったといえるだろう。こうした活躍が評価されて「ベストマザー賞」に選ばれるのは当然とも思えるが、これは「子どもも自分も一流でなければならぬ」という、母親にかけられた“圧”の裏返しに感じる。

 対する清原は、覚醒剤で逮捕される前から、不倫報道や入れ墨の問題などで週刊誌をにぎわせてきた。16年2月発売の「週刊ポスト」(小学館)によると、清原の右腕には上を向いた2匹の龍が彫られていて、これは「2人の息子を思ってのもの」だと書かれているが、本当に息子さんのためを思うなら、入れないほうがよかったのではないか。

 やんちゃをしても「前向きに生きている」ことが父親の役割なのに対して、母親は「夫や子どもを大成させ、自分も美しくある」ことがマスト。薬物依存症と戦う清原のことは応援したいが、その一方で、「父親と母親に求められるものの違い」にちょっと首をかしげたくなるのも事実である。

このニュースに関するつぶやき

  • どうでもいいが清原元選手の薬物使用の再開のないことを願いたい、実際何人も著名人が再開して逮捕されたのだから…。
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