森保ジャパン、最終予選へ残る不安。格下に勝って喜んでいる場合じゃない

0

2021年06月18日 16:01  webスポルティーバ

  • チェックする
  • つぶやく
  • 日記を書く

webスポルティーバ

写真写真

 キルギスとのW杯アジア2次予選最終節。森保ジャパンは5−1で有終の美を飾った。

 試合後、森保一監督はW杯アジア最終予選に向けて、「2次予選とは別次元の厳しい戦いになることを覚悟して臨まなければならない」と気を引き締めながらも、今年の7試合で「より強い日本代表になった」とコメント。ここまでのチームづくりに自信と手応えを感じている様子だった。




 確かに、今年3月の2試合と今回のシリーズ5連戦では、7戦全勝で計40得点を叩き出し、相手に許したゴールはわずか2点。おそらく日本代表史を振り返っても、ここまで華々しい勝ち方をつづけた時期はなかったと記憶する。

 しかし勝負ごとは、得てしてそこに落とし穴が潜んでいる。だからこそ、指揮官は"勝って兜の緒を締める"発言をしたのだろう。

 そこで今回のキルギス戦は、2つのポイントに絞りながら、あえて厳しい視点で振り返る。一つは、前半に日本が決めた3ゴールに至るまでのプロセス。そしてもう一つは、後半途中で見せた森保監督の采配である。

 まず、この試合でキルギスが採用した布陣は、前回対戦時(2019年11月14日)と同じ5バック(3バック)だった。日本のアウェー戦となったその試合では、1トップの後方に1人を配置した5−3−1−1を基本としていたが、今回はほぼ自陣で守ったこともあり、本来1トップ下の7番が2列目に加わった5−4−1の布陣で、日本の攻撃を封じようとした。

 そんなキルギスに対し、日本は前半開始から積極的に攻撃を仕掛けた。とりわけ目立っていたのがサイドからのクロスボールで、前半だけで22本を記録。その内訳を見ると、左サイドからが12本、右サイドからが10本と、左右のバランスも悪くなかった。個人別では、小川諒也(FC東京)が最多の8本を記録し、次に多かったのは6本の坂元達裕(セレッソ大阪)だった。

 実際、日本が前半で決めた3ゴールすべてが、サイドからのクロスによるものだった。相手のハンドボールを誘ったPK判定のシーンを演出したのは、山根視来(川崎フロンターレ)が右サイドから入れたクロス。2点目は、右サイドを突破した川辺駿(サンフレッチェ広島)のクロスから生まれた。さらに、オナイウ阿道(横浜F・マリノス)のハットトリックが達成された3ゴール目のアシストも、左サイドからクロスを供給した小川だった。

 5バックの相手に対して、絵に描いたようなサイド攻撃でゴールを重ねた日本だったが、しかしその一方で、それぞれのゴールシーンをよく見てみると、その主な原因が相手にあったと見ることができる。

 たとえば、PKにつながった27分のシーンでは、日本がボールを保持するなか、敵陣で川辺が浅野拓磨に供給したパスが合わずに相手ボールに。直後に川辺が素早くアプローチしてタックルをしかけたことが奏功し、ルーズボールを守田英正(サンタクララ)が回収。そこから4本のパスをつないで山根がオナイウにクロスを供給している。

 しかしそのシーンで、仮に川辺のタックルがかわされていた場合、7番を含めたキルギスの5人に対し、4人での守備対応を迫られ、ピンチを招いた可能性は高かった。つまり、日本がトランジションで相手を上回ったとも言えるが、相手の個人能力の低さに救われたとも言える、紙一重のシーンだったのだ。

 これは、W杯アジア最終予選に進出した、イラン、韓国、オーストラリア、サウジアラビア、イラクなどの強豪国であれば、失点を覚悟する必要がある場面だった。

 また、31分の2点目のシーンは、右サイドで3人に囲まれながら、川辺が強引に突破を図ってクロスを入れてゴールが生まれたが、これも最終予選でできるかと言えば稀と考えるのが妥当。互角以上の相手であれば、このゴールが生まれていなかった確率は高い。

 それは、3点目のシーンにも言える。小川のクロスに対し、かぶってしまったキルギスの20番、あるいはオナイウ阿道を視界に入れながら離れてしまった6番の対応を見るにつけ、最終予選レベルの試合で同じようなゴールが生まれるかは疑問が残る。

◆日本代表、大迫不在時の解決策。浅野拓磨の2つのプレーに注目>>

 もちろん、控えメンバー中心の日本が決めた正真正銘の3ゴール自体は称賛に値するが、先を見据えて厳しく考えた場合、この試合で見せたパフォーマンスがそのまま最終予選ではほとんどできないことも頭に入れておく必要はあるだろう。

 とくに今年に入ってから代表でプレーするようになった選手にとっては、入門編の試合を終えただけで、対戦相手のレベルが高くなる上級編の舞台にはまだ立った経験がない、と言える。今後は、各選手がそのギャップをどれだけ埋められるかが問われる。

 一方、後半の日本は、コーナーキックから佐々木翔(サンフレッチェ広島)が、カウンターから浅野がそれぞれゴールを決めて2点を加えたものの、立ち上がりの15分は1本もシュートを打てず、すっかり攻撃が停滞した。

 その間にクロス6本を記録したが、前半と比べるとペースダウンは否めず、敵陣での縦パス供給も4本のみ。最終的に後半は8本の縦パスを記録したが、前半の12本からは減少し、クロスに至っては12本に激減している。

 そのなかで見逃せなかったのが、68分に見せた森保監督の采配だった。

 1トップのオナイウを下げて佐々木を投入し、プランBの「3−4−2−1」へシステム変更したその策は、日本の攻撃にキルギスが順応できるようになっていた時間帯だけに、試合の流れを変えられるかどうかが注目された。

 しかしながら、その後にピッチで起こっていた現象を見ると、その采配は失敗に終わったと言わざるを得ない。

 5−4−1で構える相手に対し、同じように両ウイングバックを配置するシステムを当てたことにより、小川、山根、その後に右ウイングバックで起用された室屋成(ハノーファー)が前進しにくい状況が生まれた。後半のボール支配率は15分ごとに、72.9%(46〜60分)→70.1%(60〜75分)→59.6%(75〜試合終了)。結果的にシステム変更後に数字が低下している。それは、クロスの本数にも如実に表われ、システム変更前の8本が、変更後には4本に減少した。

 ただ、この采配は攻撃の活性化ではなく、あくまでも選手の疲労を考えてのローテーションだった可能性はある。とはいえ、日本の攻撃の勢いを失わせたことに違いはない。システムを変えずに、小川と佐々木を交代させたほうがよかったと言われても仕方がないだろう。

 森保ジャパンは、このあとW杯アジア最終予選に挑む。昨年の欧州遠征4試合から一転、今年に入ってからの国内7試合で快勝しつづけたことにより、日本代表はすっかりポジティブな空気に包まれるようになった。

 果たして、その雰囲気をそのまま継続できるのか。森保ジャパンの真価が問われる。

    ニュース設定