角田裕毅、次戦に自信。レッドブルの重鎮からの「金言」を胸に刻んだ

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2021年06月18日 16:41  webスポルティーバ

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 フランスに戻ってきた角田裕毅(アルファタウリ・ホンダ)は、肩の荷が下りたような表情で木曜のFIA記者会見に臨んでいた。

 前戦アゼルバイジャンGPで初めてQ3に進出し、自己最高位の7位でレースをフィニッシュ。開幕戦以来の入賞を果たした。イモラのクラッシュから続いた迷走はようやく終わり、角田の目に自信が戻ってきた。




「バクーのあと、自信が深まったことは確かです。クルマはサーキットにとても合ってパフォーマンスも高かったので、それまでのレースに比べて楽にQ3に行ける状況でした。それでもきちんとQ3に行けて、ポイントを獲得することができたのはよかったと思います」

 モナコGPのあとに急遽イタリアに引っ越し、アゼルバイジャンGP後もファエンツァ(アルファタウリの本拠地)でチームとともに時間を過ごしてきた。それが角田のライフスタイルを一変させ、レースに臨むアプローチを変え、アゼルバイジャンの結果につながったことで自信が持てた。

「1日2回のジムセッションとエンジニアミーティングをやって、自分のフリータイムはまったくないです。ちょっとストレスは感じていますけど、これも成長のためですし、そのおかげでいい進歩が遂げられていると思います。アゼルバイジャンGPの週末を通していいアプローチの仕方が見つけられましたし、それが今週末にもうまくいけばと思っています」

 モナコの初日に不用意なクラッシュを喫し、レッドブルの重鎮ヘルムート・マルコからきつく言われた言葉が「自制心」。以前の角田は、結果を出そうとして気がはやるあまり、抑えが効かなくなって無線で暴言を吐いたり、クラッシュを喫したりしていた。

「自制心が重要だというのは、僕も完全に同意です。最近はとくに、それを痛感しています。だからこそイタリアに引っ越して、フランツ・トスト(アルファタウリ)代表の決めたスケジュールで生活することにしたんです。

 ファエンツァに引っ越してから自由な時間はかなり減り、以前よりもレース中心の生活になりました。速く走れない理由は何だったのか、レース週末に対するアプローチはどうすればよくなるかを考えたり......。それが成長につながっています。

 自信を固めることになったことが、バクーの結果につながったと思います。そうは言ってもまだ時々、深夜2時までゲームをしてしまったりするので(笑)、もっと強い自制心が必要ですね」

 そうやって、週末に向けた角田の心の持ち方は変わった。マシンに対する技術的理解も進み、セッションの使い方やエンジニアとのマシンの作り上げ方も変わった。

 コンクリートウォールに囲まれた市街地サーキットのモナコやバクーではミスが許されず、初めてのサーキットということもあって、リスクを冒して攻めることは難しかった。しかし、ポール・リカールは2年前のFIA F3時代に走った経験のあるサーキットだ。ランオフエリアは広く、多少のコースオフではマシンを壊すようなこともない。

 つまり、角田にとっては、いろんなことを試す絶好のチャンスだ。

「今回はランオフエリアが広いので、ウォールに突っ込む可能性は低いでしょう(笑)。サーキットも違えばマシンの(相対的な)パフォーマンスもわからないので、どんな週末になるかわかりません。バクーのようなパフォーマンスがあれば、走り始めからプッシュしてQ3に進みたい。予選でもっと上位を獲得して、決勝でさらに多くのポイントを獲得できればと思っています」

 もちろん、チャンスの時ほど油断は生まれる。我を忘れる悪いクセを出さないよう、目の前のセッションでやるべきことを意識し、確実にそれをこなさなければならない。

 バクーでは同じような実力のマシンに乗るドライバーたちと戦い、互角の走りを見せた。しかし、ここ一番の勝負どころで敗れて7位に終わった。また、同僚のピエール・ガスリーが表彰台に立ったことも、角田にとってはいい刺激になると同時に、自分に足りていないものを痛感することになったはずだ。

 フランスGPのコースは勝手知ったるサーキットだけに、これまでの6戦でまだ一度もできていない、ミスなく3日間を戦い抜くクリーンな週末を見せてほしい。それはF1ドライバーにとって欠かせない要素であり、それができれば角田にとってはさらに大きなステップとなるはずだ。

 フランスGPの舞台となるポール・リカール・サーキットは、2018年に復活してからの2回ともメルセデスAMGが圧倒的な強さを見せてきた。バルセロナ・カタルーニャ・サーキットと同様、ありとあらゆるタイプのコーナーが存在し、長いストレートもある。テストコースとして整備されたサーキットだけに、マシンの総合力が問われる。

 しかし、バクーの長いストレートで、今年のレッドブル・ホンダは強力なパワーユニット性能を見せた。MGU-H(※)からのエネルギー回生をとぎれさせず、メルセデスAMGのルイス・ハミルトンにオーバーテイクを仕掛けさせなかった。

※MGU-H=Motor Generator Unit-Heatの略。排気ガスから熱エネルギーを回生する装置。

 それだけのパワフルさがあれば、これまでレッドブルがポール・リカールで苦労してきたストレートとコーナーのバランスは大幅に改善される可能性が高い。

「過去数年間、メルセデスAMGのクルマはこのサーキットでとても強かったので、それが突然変わるとは思わないよ。直近の2戦はタイヤのウォームアップに苦しんでいたようだけど、普通のサーキットでそれは問題にならないだろうから、彼らが本来の速さを発揮できることは間違いないだろう。

 でも、僕らも去年までのクルマよりいい。これまでポール・リカールは僕らにとって最高のサーキットとは言えなかったけど、今年はもっといい走りができると願っている。今週末は楽しみにしているよ」

 マックス・フェルスタッペンはすでに選手権争いを考えてシーズンを見通し、ひとつひとつのレースを丁寧に戦おうとしている。そういう意味では、バクーでセルジオ・ペレスが勝利を挙げたように、レッドブル・ホンダが2台で戦えることは極めて大きい。

 苦手のポール・リカールで、どこまでメルセデスAMGを追い詰めることができるのか。それは、これから先のシーズンを占う重要な分水嶺になりそうだ。

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