立場逆転したら自分が「昭和のお父さんに」 漫画家が狢膵柱畉覆鯢舛い人由「固定観念に惑わされない」

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2021年06月20日 07:10  ウィズニュース

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写真夫の代わりに「稼ぎ頭」となり、帰宅が連日遅くなる女性。頭をよぎるのは、ワンオペ妻だった頃の……=『大黒柱妻の日常 共働きワンオペ妻が、夫と役割交替してみたら?』(C)田房永子
夫の代わりに「稼ぎ頭」となり、帰宅が連日遅くなる女性。頭をよぎるのは、ワンオペ妻だった頃の……=『大黒柱妻の日常 共働きワンオペ妻が、夫と役割交替してみたら?』(C)田房永子

連載『#父親のモヤモヤ』
夫の帰宅が遅い。妻は子どもと「無言の抗議」で先に就寝。でも、夫は気にする様子もなく、リビングでビールを「プシュッ!」。なぜ、伝わらないのか。そんな夫婦のギャップを鋭く描いた漫画「大黒柱妻の日常 共働きワンオペ妻が、夫と役割交替してみたら?」(エムディエヌコーポレーション)が人気です。「男は仕事」「女は家庭」、そんな旧来の家庭像を逆転させたらどうなった? ギャップの背景にあるものは何か。著者で漫画家の田房永子さんに聞きました。(朝日新聞記者・高橋健次郎)

【漫画】立場逆転し妻が「大黒柱」になったら 連日遅くなる帰宅、頭をよぎるのはワンオペだった頃の…

立場逆転したら「昭和のお父さんに」
漫画の主人公は、ふさ子(40)。夫のトシハル(41)、小学2年の花ちゃん、年少のりっくんの4人家族という設定です。

ワンオペ妻から大黒柱妻になったふさ子。反動で仕事をしたいという気持ちが抑えられず、気がつけば「昭和のお父さん」に。大黒柱妻であるふさ子を通じて、夫婦間で見える世界の違いがリアルに描かれています。

――なぜ、「大黒柱妻」に着目されたのですか。

私イコール主人公のふさ子ではありませんが、経験も織り交ぜています。

大黒柱妻になったことはあります。子どもを産んでから6、7年は仕事をセーブしていましたから、その反動で仕事に集中しすぎるようになってしまったのです。ふさ子も、同じように仕事に夢中になります。

本の中には、ふさ子が遅くなって帰宅すると、部屋が真っ暗で家族が先に寝ているというシーンが出てきます。実は、帰宅が遅くなったことに対する夫の「無言の抗議」なのですが、ふさ子には響かず、リビングでくつろぐわけです。

私にも似たような経験があります。その時、自分は「昭和のお父さん」だなと思いました。家事や育児に関わらない存在として批判してきたのに、です。女性だろうが男性だろうが「昭和のお父さん」になってしまう。ジェンダーのステレオタイプに惑わされてはいけないと思いました。

そんなことがきっかけで、夫婦の立場を逆転させた漫画を描きました。

「無言の抗議」の意味
――自宅でワンオペだった夫は、帰宅の遅いふさ子に対し「最後の力をふり絞って」「無言の抗議」として、子どもと先に寝るわけですね。でも、帰宅したふさ子は異変を感じながらも、結局リビングで映画を見てくつろいでしまいます。

夫婦で同じ場面を共有しても、見えているものがまったく違うということを描きたかったのです。

待っている側、多くは妻側ですが、ワンオペで瀕死(ひんし)の状態です。そこでは、子どもと早く寝るというのが「無言の抗議」になるわけです。

「代わってくれ」「改心せよ」という気持ちを込めて。子どもを連れて家出もできない、大きなケンカにもしたくない、冷静に話し合いする気力もない、そういう時の「先に寝て部屋を真っ暗にしておく」は、全力の抗議なんです。

――「見えている風景が違うから」でしょうか。

社会は、女性が家事や育児をするという「前提」で出来ています。「女性は働く必要はないでしょ?」というのが「前提」です。保育園の待機児童はいまだに解消されていません。「保活」を経て何とか保育園に通わせても、今度はワンオペが待っています。そうしたたくさんのハードルを越えているわけです。「無言の抗議」は、散々戦い続けた後のものなのです。

でも、ビールを飲む側には、それが見えない。しかも「俺は仕事で疲れている」という言葉がある。その一言があるから、気づかないフリができます。妻の怒りが何に由来するのか、深掘りする必要を感じないのだと思います。

ただ、帰る側、多くは夫側にはダメージにならないんです。それどころか、普段は子どもがいてくつろげないリビングが快適な空間になります。そこでプシュッとビールを飲み始めるわけです。

「構造」が問題
――本の中では、夜の会議を打診された夫が「すみません小さい子が」と頭を下げるシーンがあります。女性の困難に目を向けつつも、「男は仕事」のような考え方が根強く、家庭に関わるのが難しい父親もいます。

「男は弱音を吐かない」ではなくて、どんどん声をあげていいと思います。会社に直接訴える勇気がなくても、ツイッターなどのSNSで間接的に社会全体に声を上げることもできます。SNSによって、社会の受け止めが急速に変わることもあります。

その時は、ぜひギャップが生まれてしまう構造の問題を指摘してほしいと思います。

――構造ですか? 男性優位の社会構造でしょうか。田房さんは、これまで男性優位の社会の問題点を指摘されています。本の中でも「男たるものこれに登るべし」と男社会を象徴する「山」が描かれています。

はい。固定観念は根強く、多くの男性にとって「山」に登ることは当然になっているのではないでしょうか。むしろ、登る以外の選択肢がない。降りれば死ぬ。それくらいの気持ちでは? ただ、降りても死なないし、山の裾野には豊かな生き方がある。そう思います。

「山」に登る。つまり出世したり、成功したりしていくことは確かに大変です。でも、最後まで登らなくてもいいんです。疲れたら座って休める。「山」には坂道ではなく座れる階段が描かれています。それに「山」から降りると家事や育児が待っています。

だから、ほどよく居心地のよいところで、「山」から降りない。こうした居心地の良さも、男性優位の社会を維持させているのだと思います。

ただ、新型コロナの影響もあって働き方も見直されているのではないでしょうか。男社会にありがちな「何が何でも出社」みたいな考えは、ずいぶんとやわらいでいると感じます。この機会に、無理を強いる「山」から逃れよう。そう思う人もいるはずです。少しずつ、社会が変わっていくと希望を持っています。

リアルな声、お寄せください
記事の感想や体験談を募ります。いずれも連絡先を明記のうえ、メール(dkh@asahi.com)で、朝日新聞「父親のモヤモヤ」係へお寄せください。

【#父親のモヤモヤ】仕事と家庭とのバランスに葛藤を抱え、子育ての主体と見られず疎外感を覚える――。共働き世帯が増え、家事や育児を分かち合うようになり、「父親」もまた、このようにモヤモヤすることがあります。

一方、「ワンオペ育児」に「上から目線」と、家事や育児の大部分を担い、パートナーとのやりとりに不快感を覚えるのは、多くの場合「母親」です。父親のモヤモヤにぴんとこず、いら立つ人もいるでしょう。「父親がモヤモヤ?」と。

父親のモヤモヤは、多くの母親がこれまで直面した困難の追体験かもしれません。あるいは、父親に特有の事情があるかもしれません。いずれにしても、モヤモヤの裏には、往々にして、性別役割や働き方などの問題がひそんでいます。

それらを語り、変えようとすることは、誰にとっても生きやすい社会づくりにつながるはずです。語ることに躊躇しながら、でも、#父親のモヤモヤについて考えていきたいと思います。

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