「らちが明かない」の「らち」の謎 知らずに言ってて大丈夫?

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2021年06月20日 10:30  AERA dot.

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写真写真はイメージ/GettyImages
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「関の山」の「関」、「食指が動く」の「食指」……知らずに使っている言葉には、意外な語源があるものです。現在2021年7月号が発売中の朝日新聞出版『みんなの漢字』から14のうんちくを紹介します。※監修・久保裕之(立命館大学白川静記念東洋文字文化研究所)

*  *  *
Q 「関の山」ってどんな山?
A 関宿の山車(だし)のこと

「関」は三重県亀山市にある関宿という旧東海道の宿場町のことで、「山」は山車のことです。関宿の山車がこの上なく立派だったことから、これ以上は無理だという限界を「関の山」というようになりました。また、立派な山車が街道をふさいでそれ以上は通れない様子が基になったともいわれています。ほかにも、「関」は「堰」で、山と同じく越えにくいことから、限度を表すようになったとする説などがあります。

Q 「葛(かずら)」と「藤」を合わせた「葛藤」で、もつれやいざこざを表すのはなぜ?
A 蔓(つる)がもつれて絡み合う様子が基になっている

「葛」は蔓性植物の総称で、蔓草の意味もあります。「藤」も蔓性植物です。二つ合わせた「葛藤」で、絡み合って解けないもののたとえに用いられ、人と人が対立して譲らない様子や、相反する考えを持って悩む状態などを表すようになりました。「葛」は「かずら」ではなく、やはり蔓性植物でマメ科の「くず」とする説もあります。

Q ビルの壁などにある「定礎」って何?
A 建物の基礎となる石を定めること

「定礎」とは、建物の基礎となる礎石を据えることで、建築工事の開始を表します。ビルやマンションの壁などに見られるプレートは、「定礎式」とよばれる建物の安泰を祈願する儀式で取り付けられるものです。「定礎式」はもともと、石造りやレンガ造りの建物で行われる西洋的な儀式で、工事開始時に行われていましたが、今ではコンクリート工事が終わった後に行われるのが一般的です。プレートの奥には「定礎箱」があり、図面や関係者の名簿、式が行われた日の新聞などが収められています。

Q 「片棒をかつぐ」の棒はどんな棒?
A 人を乗せて運ぶ「駕籠(かご)」の棒

「駕籠」の前後にのびた棒の片側を片棒といいます。前後で力を合わせて運ぶ様子から、いっしょに何かすることを「片棒をかつぐ」というようになりました。特に悪事に加担する場合によく用いられます。ちなみに、「相棒」という言葉も駕籠の棒に由来します。

Q 「南」を「指す」ことが、なぜ教える意味になるの?
A 南を指す「指南車」に由来する

「指南車」は、方向指示装置を載せた古代中国の車です。方位磁石のように自ら方位を示すわけではなく、指南車の上に据えられた仙人像の指をあらかじめ南に向けておくと、車が向きを変えても歯車の仕掛けで仙人像の指は常に南を指しているというものです。古代中国の皇帝である黄帝がつくったともいわれ、戦で周囲が霧に覆われた際に「指南車」のおかげで助かったという伝説も残っています。方向を示して導くことから、教え導くことを指南というようになりました。

Q 「試金石」ってどんな石?
A 貴金属の純度を測るための石

「オリンピックへの試金石となる試合」というように、力量や価値などを判定するための基準となる物事を「試金石」といいます。試金石はもともと、貴金属の純度を測るための黒い石です。貴金属をこすりつけて、残った痕の色から純度を判定します。日本では、三重県熊野市の名産として知られる「那智黒(なちぐろ)」という石が古くから用いられていました。

Q 「土壇場」ってどんな場所?
A 処刑場

「土壇(どだん)」は、盛り土で一段高くなった場所のことです。近世に、そこで斬首刑を行ったことから、処刑場のことを「土壇場」というようになりました。処刑場が命を絶たれる最後の場所であることから、物事のせっぱつまった場面などを「土壇場」というようになりました。読みが「ドダンバ」から「ドタンバ」に変わった時期はわかっていません。

Q 「ベイゴマ」の「ベイ」って何?
A 貝(ばい)がなまって「べイ」になった

「ベイゴマ」が子どもたちの遊びとして広まったのは、平安時代とも、室町時代ともいわれています。もともとは、「バイ」とよばれる巻き貝の殻に砂や粘土をつめて独楽にしたことから、「貝独楽(ばいごま)」とよばれていました。のちに関東に伝わると、なまって「ベイゴマ」になりましたが、関西では今も「バイゴマ」「バイ」とよばれています。なお、よく知られている鉄製のベイゴマは、明治末期から大正中期につくられ始めました。

Q 「埒(らち)が明かない」の「埒」って何のこと?
A 馬場の周囲を囲う柵

「埒」とは、囲いや仕切りのことで、特に馬場を囲う柵をさします。本来は、柵がなくなると自由に行き来できることから、「物事がはかどり、決まりがつく」という意味で「埒が明く」と使われていましたが、現在は否定形の「埒が明かない」のほうがよく使われています。同じ「埒」を用いる言葉に、道理に外れているという意味の「不埒」や、一定の範囲の外という意味の「埒外」などがあります。

Q 「毛嫌い」は、何の毛が嫌いなの?
A 馬の毛

 馬の仲買を行う博労(ばくろう)の世界では、牝馬(ひんば)が種馬を嫌って種付けがうまくいかなかったときに、牝馬が種馬の毛並みを嫌ったと考えました。そこから、明確な理由なく嫌うことを「毛嫌い」というようになったといいます。また、馬に限らず鳥獣が毛並みによって相手を嫌うことが基になったとする説もあります。ほかに、「け」は「けだるい」「けおされる」などと同じ接頭語で、「なんとなく」という意味があるともいわれています。

Q 「皮切り」が「はじまり」を意味するのはなぜ?
A 最初にすえるお灸を「皮切り」と言ったから

 最初にすえるお灸は「皮切りの一灸(ひとひ)」というように、皮が切れると感じるほど熱く痛いといいます。そこから最初のお灸を「皮切り」というようになり、転じて物事の始まりの意味で用いられるようになりました。1603年ごろに発行された、日本語をポルトガル語で解説した『日葡(にっぽ)辞書』にも、「皮切り」は「日本人が治療のために最初にすえるお灸」と説明されています。

Q 「図星」っていう星があるの?
A 弓矢の的の黒い丸のこと

 図星とは、もともと弓道などの的の中心にある黒い点のことです。そこから、「狙ったところ」「急所」などの意味になり、さらに「人の思惑が的中する」という意味で用いられるようになりました。江戸時代には、単に「星」ということもあったといいます。

Q 「食指が動く」ってどんな指が動くの?
A 人さし指

 中国の『春秋左氏伝』という歴史書に、鄭(てい)の国の公子宋という人物は、ごちそうにありつく前兆として人さし指がピクピクと動いたという故事があります。そこから食欲がおこることを「食指が動く」というようになり、さらに物が欲しくなったり、やる気が起きたりするときにも使われるようになりました。

Q 「呂律が回らない」とは「舌がまわらない」こと?
A 「呂律」は雅楽の音階のこと

 舌がよくまわらず、言葉がはっきりしないことを「呂律が回らない」といいますが、「呂律」は「舌」の意味ではありません。「呂律」は、日本の伝統的な音楽である雅楽の音階を表す「呂律(りょりつ)」が訛ったものです。雅楽には「呂」の音と、「律」の音があり、この二つの調子が合わないと美しい和音にならないといいます。そこから、「呂律」は音の調子という意味でも用いられるようになり、さらに転じて言葉の調子を表す「呂律」になりました。

文/美和企画
※『みんなの漢字』2014年9月号から

【おすすめ記事】「図に乗る」の「図」ってナニ? 知ってるとかっこいい、実は仏教用語


このニュースに関するつぶやき

  • こうしてみると知らない事があるな……�������������ӻ��������������������ӻ�������
    • イイネ!2
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  • こういうのを読んだときは勉強になった・利口になったって気にはなるが、少し時間が経つと記憶にほとんど残っていないわ���������������������ӻ�������
    • イイネ!43
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