バレたらポイント返還で一方的な幕引き? オンラインクレーンゲームが抱える問題点、業界大手5社に見解聞いた

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2021年06月20日 13:08  ねとらぼ

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写真運営会社のモラルに任せる形で運営されているオンラインクレーンゲーム
運営会社のモラルに任せる形で運営されているオンラインクレーンゲーム

 規制する法律が存在しないことから、現状は運営会社のモラルに任せる形で運営されているオンラインクレーンゲーム。運営実態がブラックボックス化している側面もあり、プレイヤーからは「連続プレイ中の設定変更」が存在するのではないかとする疑いや不正に関する報告が多数寄せられており、ねとらぼでは問題に直面したプレイヤーや内部関係者からの証言を記事にしてきました。



【画像で見る:運営会社からのメール】



 クレーンゲームを連続プレイ中にいきなり設定が変更されることは許容されることなのか、それとも不正に当たるのか――。オンラインクレーンゲームをめぐる問題点や実店舗でのクレーンゲームとのサービスの違いについて、ねとらぼ編集部が、アミューズメント大手5社と全国のプレイヤーを取材しました。



●連続プレイ中の設定変更とは



 クレーンを操作して景品の獲得を目指すクレーンゲーム。最近はポイント購入により、実在するクレーンゲーム機をオンライン上で遠隔操作できる「オンラインクレーンゲーム」も流行の兆しを見せています。



 近年のクレーンゲームの傾向としては、1回のプレイで景品を獲得できるというよりも、複数回プレイを重ねて、徐々に景品獲得を目指していくという方式が主流。そのため、連続で課金とプレイを繰り返すプレイヤーが多いのですが、そのプレイ途中に急激にアームのパワーが弱まったり、アームの開き幅が変わったりと筐体の設定が変更されるのが、問題視されている「連続プレイ中の設定変更」です。



 分かりやすく例えるならば、500円を投入したら6回遊べるというクレーンゲームがあったとして、4回目までプレイして「あと少しで獲れそう」というタイミングになった途端に店員さんがやってきて、機械のパラメーター設定を変更したとしたらどうか。という話ですが、オンラインクレーンゲームの場合、企業によっては完全なリモートで筐体の設定を行っている場合もあるため、その調整が加えられたか否かがプレイヤーには見えないのです。



 実店舗の場合、前述したような「連続プレイ中の設定変更」に関する報告はほとんど聞きませんが、オンラインクレーンゲームをプレイする読者からは、「途中から急にアームのパワーが弱くなった」という報告や、「景品が獲れないように裏で操作されているのではないか?」「特定のユーザーだけが獲れやすくなっているのではないか?」といった疑問が複数寄せられており、ねとらぼでは2020年11月から2021年1月まで3度にわたり、オンラインクレーンゲームを取り巻く環境や複数のユーザーに対して発生した「連続プレイ中の設定変更」事案について記事化してきました。



 そんな「連続プレイ中の設定変更」ですが、一般プレイヤーにとってどのようなものなのでしょうか。ねとらぼ編集部は複数のクレーンゲーマーに見解を聞きました。



●連続プレイ中の設定変更とは:プレイヤーサイドの意見



 まずお話を伺ったのはクレーンゲーム歴17年で、オンラインクレーンゲームを中心に攻略動画をアップしたり、プレイの様子を配信したりしている専業YouTuberのAさんです。



――「連続プレイ中の設定変更が行われているかもしれない」という疑惑や動画証拠などがねとらぼにも情報提供されているのですが、Aさん自身もこのような疑念を抱いたことはありますか。



Aさん:例えば私のような配信者の間では「YouTuberやVTuberといった著名人のみプレイが優遇されているのではないか?」という疑惑は長く取り沙汰されてきましたし、私自身もプレイ中の経験から、「もしかすると、連続プレイ中に設定変更が行われているのではないか?」と感じたことはあります。



――連続プレイ中の設定変更についてどう考えますか。



Aさん:クレーンゲームというサービスが営利的なものである以上、想定よりも早く景品が獲得された等の理由で台解放後に調整が加えられる可能性があるという点は理解しています。



 しかし、筐体の調整はプレイヤーがプレイできない「メンテナンス中」に行うことが常識であり、課金途中である連続プレイ中にプレイヤー側に隠された状態で調整が行われるというのは起きてはならないことだと考えています。



――なぜ連続プレイ中の設定変更は起きてはならないことなのでしょうか。



Aさん:なぜプレイヤーが連続プレイをやるかといえば、それまでのプレイで、アームの調整や動きや特性を理解した上で、そのプレイと同等のサービスを受けられるという前提があるからです。そうした前提条件が崩れるのであれば連続プレイはしないユーザーがほとんどですし、いかなる理由があったとしても連続プレイ中の設定変更はあってはならないこと、つまり「不正」という見方が一般的だと思います。



 続いてお話を伺ったのは実店舗、オンラインクレーンゲーム双方をプレイしているBさんです。



――プレイヤーに分からないように連続プレイ中に設定変更される、という事象は、それなりにあることなのでしょうか。



Bさん:一般的には、台開放されている筐体を調整する際には、メンテナンス画面を表示したり、メンテナンス状態であることを周知したりした上で、プレイヤーがプレイできない状態にしてから調整が行われています。



――連続プレイ中の設定変更についてどう考えますか。



Bさん:プレイヤーは思い通りの場所にクレーンを動かすためにプレイ代金を支払っています。それなのにプレイヤーには分からないように筐体の設定を調整されていたというのは、それまでのプレイと同じ動きをすることを前提に連続課金している私たちに対する不正行為ということになります。



――連続プレイ中の設定変更が仮に設定ミスや不具合に由来するものだった場合はどう考えますか。



Bさん:仮に連続プレイ中の設定変更がミスであったとしても、許されることではないでしょう。



 こうした問題が発覚した際、多くの場合、運営会社はユーザーの意向とは関係なくポイントの返還をもって勝手に幕引きをはかることが多いです。しかし、そもそもクレーンゲームというサービスの根幹を揺るがすような問題が発生しているわけですから、“発覚したらポイント返還すれば許される”という性質の問題ではないと思います。こうした対応には私を含め、多くのプレイヤーが不満を持っています。



 Bさんが指摘するように、運営会社が一方的にポイント返還を行いトラブルを強制終了させるケースについては、複数の情報提供が寄せられており、Cさんもそのうちの一人です。



――オンラインクレーンゲーム運営会社とのトラブルについてきっかけを教えてください。



Cさん:「ドラゴンボールGT ワールドコレクタブルフィギュア」という非常に人気の高いアミューズメント景品が投入された台を194回にわたって連続でプレイした際に、連続プレイ中の設定変更が疑われるケースに遭遇しました。



 初期位置では景品をつかんで持ち上げていたのに、だんだんアームのパワーが下げられていったように感じた他、同連続プレイ中には奥行きの設定も変更されたのか、当初は奥までアームが動かせたのに、景品が獲得できそうになったあたりから手前しか持ち上げられないようになりました。



 これにより、「持ち上げ」「押し」「引っ張り」など、どの技を使っても景品を動かすことができなくなったため、私は194回の連続プレイ終了後、景品の獲得を諦めました。



――運営会社には問い合わせましたか。



Cさん:はい。運営会社に対して、「獲得可能な設定であったのか」の確認と「返金を希望する」旨の問い合わせを行いました。すると「運営チームにて調査いたしましたところ、不具合が発生していたことを確認いたしました」との返答があり、利用期限付きのポイントが一方的に付与されました。



 不具合の内容やその原因に対して納得できる説明がなかったことに加え、私としてはポイントの付与ではなく現金の返金を求めていたため、その後もメールにて運営会社に問い合わせを行いました。しかし、ポイントの付与後は運営会社が私のメールを無視するようになり、電話で問い合わせた際には担当者から「電話ではお問合せは受け付けていません。お話を聞くことはできますが、対応はできません」と言われるばかりでした。



――Cさんのケースが連続プレイ中の設定変更にあたるのかどうかは不明ですが、連続プレイ中の設定変更についてどう感じますか。



Cさん:プレイヤーはそのようなことが秘密裏に行われているとは夢にも思っていない中、連続プレイ中の設定変更が行われていたとすれば、それはプレイヤーに対する詐欺行為であり完全な不正です。



 サービスの根幹を揺るがす連続プレイ中の設定変更が「ミスでした」で済まされるわけがありませんし、プレイヤーからすれば大切な1プレイなんです。理由はどうあれ「連続プレイ中の設定変更」が行われることは不正の他何物でもありません。



 Aさん、Bさん、Cさん以外にも複数のプレイヤーから「連続プレイ中の設定変更は不正である」との理解が寄せられた今回の取材。運営側であるアミューズメント業界の大手は「連続プレイ中の設定」をどのよう認識しているのでしょうか。



●連続プレイ中の設定変更とは:業界大手5社の意見



 取材を申し入れたのは、「GENDA SEGA Entertainment」、クレーンゲーム専門店エブリデイを運営する「東洋」、「ラウンドワン」「タイトー」「イオンファンタジー」のアミューズメント大手5社です。



 「連続プレイ中の設定変更を行った事例があるか」について尋ねたところ、取材に応じたすべての企業が「お客さまがプレイ中の筐体において調整を行うことは原則的にあり得ず、連続プレイ中に設定変更を行うことはない」との主旨の回答をしました。



 また実店舗でのクレーンゲームサービスとオンラインクレーンゲームの両方を提供する企業においても、「実店舗、オンラインクレーン共に、連続プレイ中に機械設定を操作することはありません」、(タイトー)。「(連続プレイ中の設定変更は)実店舗、オンラインともにございません」(イオンファンタジー)との回答が寄せられました。



 次に「連続プレイ中にメンテナンスに突入することはあるか」について尋ねたところ、「起きえないことについては回答できない」という回答を除き、「原則的には連続プレイ中にメンテナンスを行うことはありません」との回答がほとんどの企業からありました。



 原則に反してメンテナンスを行う場合がなぜ存在するのかについては、「万が一、機械の故障やエラーが出てしまった場合はいたしかなくメンテナンスに入る場合がありますが、その場合は状況に応じて真摯に対応しております」とタイトー。



 東洋も「物理的な筐体の故障、もしくは、お客さまが獲得された景品が在庫の最後の1個であった場合に関しては別景品を投入する関係でやむなく調整に入るということはありますが、その場合であってもお客さまに丁寧な説明を行ってご納得していただいたうえで実施するため、お客さまに分からないように設定を調整するといったことはあり得ません」としました。



 またイオンファンタジーは「実店舗の場合は、品切れ、筐体故障等により一時プレイを休止とすることはございます。オンラインの場合も、マシーンエラー、通信不具合等で意図せずメンテナンスとなってしまう場合がございますが、意図的に連続プレイ中にメンテナンスに入れることはありません」との回答を寄せました。



 誤ってメンテナンス画面に突入したり、連続プレイ中に調整を加えてしまったりする可能性はあるか」については、実店舗でもオンラインでもクレーンが動作しているかを目の前で確認できるため、誤ってメンテナンス画面に突入することはあり得ない旨の回答が主で、イオンファンタジーは「オンラインの場合、マシーンエラー、通信不具合等で意図せずメンテナンスとなってしまう場合がございますが、意図的に連続プレイ中にメンテナンスに入れることはありません」と回答を寄せました。



●なぜ連続プレイ中の設定変更を行ってはならないのか



 最後に「なぜ連続プレイ中の設定変更を行わないのか」「なぜ連続プレイ中の設定変更を行ってはならないのか」を尋ねたところ、各社より「お客さまの信頼を損なう不正行為であるからです」「ゲームプレイ中の設定変更は『不正』であると判断しているためです」「ユーザーへ不信感を与えてしまう可能性があるからです」「クレーンゲーム事業はお客さまとの信頼関係で成り立っている商売であり、連続プレイ中の設定変更はやるべきではないからです」「弊社以外のサービスの状況は分かりかねますが、実店舗、オンラインクレーンともに連続プレイ中の設定変更は行っておりません」との回答がありました。



●サイバーステップを再取材



 こうした回答を踏まえて、ねとらぼ編集部はトレバを運営するサイバーステップに再度取材を申し入れました。トレバについては2020年11月に掲載した記事において、個別のプレイヤーに対する連続プレイ中の設定変更2件については発生を認めたものの、原因は「スタッフのミスや機械の不具合に由来するもの」であったと取材後に反論。故意性について否定した上で、名誉棄損を理由に記事の部分的な削除を求める仮処分命令申し立てを行いました。尋ねた点は、以下の通り。



(1)顧客の連続プレイ中に筐体の設定を変更することはあるか。



(2)仮差し止め請求時の主張では、YouTuer、VTuberのコラボ時には、撮影時間内に獲得する景品数を定めていることから撮影のためにプレイ中に設定変更する場合がある、としていたが、広告案件では連続プレイ中の設定変更が行われているという理解でよいか。



(3)仮差し止め請求時の主張では、総プレイ数59万2938回と非常に多くのユーザーによる膨大な数のプレイの内わずか2回、連続プレイ中の設定変更がミスや不具合によって発生したとしても全く不思議ではない、とのことだったが、どうしてもこの程度のミスや不具合は発生するのか。また対策等を行っているか。



(4)連続プレイ中の設定変更についてプレイヤーからは「不正にあたる」との意見が上がっているが、運営会社から見ても「不正」にあたるか。もし不正にあたる、やってはいけないことという意見の場合、なぜやってはいけないのか。



(5)連続プレイ中の設定変更が起きてしまった場合、プレイヤーに対してどのような対応を取るか。



(6)顧客の連続プレイ中にメンテナンスに突入することはあるか。



(7)実店舗とオンラインでのクレーンゲームの一番の違いはどういうところか。



 以上の7点について、サイバーステップからは「ご質問の件ですが、貴社の記事を巡る当社と貴社の係争は現在も継続中であると認識しており、ご質問への回答は控えさせていただきます」との回答がありました(取材時である5月24日時点)。



 Aさんも言及していましたが、複数のプレイヤーから「YouTuberやVTuberのプレイ時は通常よりも設定がいいのではないか」「PR動画のように簡単には獲れない」旨の情報提供が寄せられていたため、ねとらぼ編集部は消費者庁に対し、そうした手法で撮影された動画広告がPR動画として公開されることに関する問題点を取材しました。



 表示対策課の担当者は、「個別の事案についての回答ではなく、あくまでも一般的な回答」として、一般消費者に対し、実際のものよりも著しく優良であることを示す行為、または、不当に顧客を誘引し、一般消費者による自主的かつ合理的な選択を阻害するおそれのある表示については、禁止されている「優良誤認表示」(景品表示法5条1号)に該当する可能性があると説明。



 また故意に偽って表示する場合だけでなく、誤って表示してしまった場合であっても、優良誤認表示に該当する場合は、景品表示法により規制されることになるとのことでした。



 経済産業省が2016年7月に「店舗内において客に遊技をさせることが想定されないことから、風営法第2条第1項第5号に規定する営業に該当せず、同法の規定による規制を受けない」との見解を示したことにより、実店舗を構えるゲームセンターに対しては風営法が適用される一方で、オンラインクレーンゲームサービスにおいては風営法の規制を受けないことが明確化されました。



 急成長を遂げる一方、現在は同サービスを規制する法律や明確な基準がないため、今回の取材でアミューズメント大手5社や複数のプレイヤーが見解を述べている「連続プレイ中の設定変更が不正に当たるかどうか」についてもあくまで、業界内での常識、慣例といったものになります。



 しかし、業界各社が今回のようなコメントを寄せることについては、「全国のクレーンゲームを楽しむユーザーにとっても心強い言葉になる」「健全化に向けての大きな進歩になる」との声がプレイヤー、運営会社双方から上がっているほか、規制する法律や明確な基準が不明確な状態についても双方から問題視されています。



 オンラインクレーンゲームを取り巻く環境改善のためにも、ある程度の法規制が必要なタイミングに来ているのかもしれません。



(Kikka)


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  • ☆ アレはギャンブルかつ詐欺。 繰り返す。 アレはギャンブルかつ詐欺。 止めとけ。あんなんゲームちゃう。パチンカス・スロッカスへの一方通行の入口。
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