一之輔「貴族間にも格差がある」 五輪貴族、焼酎貴族、刑事貴族…!

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2021年06月20日 16:00  AERA dot.

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写真春風亭一之輔・落語家
春風亭一之輔・落語家
 落語家・春風亭一之輔氏が週刊朝日で連載中のコラム「ああ、それ私よく知ってます。」。今週のお題は「貴族」。

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 世の中にはいろんな『貴族』がありますね。『五輪貴族』だって。煌びやかなドレスと宝飾品で着飾った、物憂げな表情をしたザ・貴族ないでたちの五輪真弓さん。ではなく……IOCに関わるお偉いさんたちのことを揶揄(やゆ)して『五輪貴族』というようです。開催国に大挙してやってきて、高級ホテルに泊まり、日々パーティーに明け暮れ、飯を食いながらスポーツ観戦して、観光したり、ワーワー騒いで終わったらご機嫌で帰っていく人たち(ボンヤリした情報)。羨ましいですね。私も来世は五輪貴族に生まれたい。スポーツ、興味ないけど。ところで『五輪真弓』って字面。オリンピックのアーチェリー会場に貼ってある横断幕のキャッチフレーズみたいで、ちょっとカッコいいね。

『焼酎貴族トライアングル』。松田優作さんや石橋凌さんがCMに出演していた、めちゃくちゃ安い甲類焼酎です。親父がランニングにパンツ姿でよく飲んでました。ネーミングやCMのイメージと実際のユーザー層のギャップがたまりません。水と間違えて飲んでしまった私に親父が「ハハハ、それが『貴族の味』だ!」と言い放ち、「そんな奴ら、みんなギロチンのサビになれ!」と思ったものです。『五輪貴族』はトライアングル飲むかしら。高い酒よりよっぽど燃費がいいですよ、バッハさん。

『刑事貴族』。読み方は「でかきぞく」。雅楽の厳かな調べにのって、パトカーでなく牛車でカーチェイス。衣冠束帯で「おじゃるおじゃる」と言いながら、昼休みに屋上で蹴鞠をする刑事たち(タイトルからのイメージ)。1990年に舘ひろし・郷ひろみ主演で始まりましたが、いろんな理由で殉職を繰り返し、パート2で水谷豊主演、人気を得た刑事ドラマ。寺脇康文や高樹沙耶も出てたので、「相棒」の原型とも評されています。「アルマゲドン」より「刑事貴族」ですよ、パウンドさん!

『珈琲貴族エジンバラ』。私がよく行く新宿三丁目の喫茶店。『貴族ブレンド』1杯800円。貴族な値段です。焼酎貴族トライアングルの700ml瓶より高い。貴族間にも格差があるのですね。繁華街という土地柄か、隣席でマッチングアプリのカップルが自己紹介してたり、勧誘・交渉・謝罪・恫喝……様々な人間模様が繰り広げられる貴族空間、エジンバラ。『五輪貴族』のロビー外交もぜひここで。待ってるよ、コーツさん!

『池田貴族』。イカ天でデビューしたロックミュージシャン。心霊研究家としても活躍しましたが、1999年に36歳の若さで早世。「古畑任三郎」のクイズ王の回に司会役で出演されてましたね。当時、私は18歳。大学受験に全部不合格しボンヤリとした不安の中、実家の居間のテレビの前で「あ、池田貴族」と呟いた記憶が微かにあります。ちなみに池田貴族さんのバンド名は「remote(リモート)」。令和の時代が見えていたのでしょうか。クーベルタンによろしく、池田さん!

 ネットで『貴族』で検索すると1ページ目はほとんど居酒屋『鳥貴族』の情報なのが、日本っぽくていい。個人的には五輪開催より、早く『鳥貴族』で酒を飲めるようにして頂きたいものです。

春風亭一之輔(しゅんぷうてい・いちのすけ)/1978年、千葉県生まれ。落語家。2001年、日本大学芸術学部卒業後、春風亭一朝に入門。この連載をまとめた最新エッセイ集『まくらが来りて笛を吹く』が、絶賛発売中

※週刊朝日  2021年6月25日号

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  • STVラジオには、『貴族の時間』という番組がありましてなあ…
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  • ん?公卿と殿上人の違いとかじゃなくて?(すっとぼけ)
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