巨人三軍からMLB屈指の救援投手へ…澤村拓一が1年前の屈辱から描く“成功物語”

54

2021年06月21日 18:00  AERA dot.

  • チェックする
  • つぶやく
  • 日記を書く

AERA dot.

写真レッドソックスの澤村拓一(写真/gettyimages)
レッドソックスの澤村拓一(写真/gettyimages)
 澤村拓一(レッドソックス)が、アメリカンドリームをつかもうとしている。

 紆余曲折を経てたどり着いた米国の名門球団。1年前には考えられなかった勇姿からは、充実感が溢れている。

「レッドソックス…澤村選手 吠えてたね? よく粘った!! おつかれさん ニュース出るかなぁ あっ、ダメだ…. 大谷選手、ダルビッシュ選手が出てるから…」(上原浩治ツイッター)

「春先かなり寒いボストン、レベルの高いア東地区、ルーキー、タフなリリーバーであれだけ投げてるのに日本のメディアは一体何をしているんだろう」(ダルビッシュ有ツイッター)

 5月30日、上原の呟きに対してダルビッシュ(パドレス)がSNS上で呼応した。レッドソックスで世界一になった先輩、そして現在メジャー屈指と言われる右腕が揃って澤村の投球を称えた。2人が苦言を呈しているように日本のメディアでの扱いは小さいが、米国での評価は日に日に高まっている。

「レッドソックス好調の要因の1つはブルペンの充実。その中で欠かせない1人になった。当初は米国の野球に適応するため試行錯誤していたが、ようやく自分らしい形が定まった。自分の中である程度、四球を許容するようになった。日本時代は制球力の悪さが指摘され神経質になっていたが、それがない。もともとフォークボール(=スプリット)には定評があったから、ハマれば良いとは思っていたが予想以上。身体も強そうなのでブルペンで重宝されるタイプ」(スポーツ新聞MLB担当記者)

 澤村の日本でのキャリアは山あり谷ありだった。10年のドラフト1位で巨人に入団し、1年目から11勝を挙げて新人王を獲得。3年目には先発とブルペンの両方で活躍し、クローザーを任された16年にはリーグ最多の37セーブをマークするなど、チームに欠かせない選手となった。だが、17年のキャンプで右肩を故障すると、同年はキャリアで初めて一軍の登板ゼロに。その後、19年にはチームのリーグ優勝に貢献する投球を見せるも、不安定なピッチングも目立ち、昨季は屈辱的な三軍降格を経験。結果的にシーズン途中にロッテにトレード移籍となった。

 移籍先のロッテではいい意味での荒々さを取り戻し、チームのCS進出に貢献。救世主的な存在となり、わずか数カ月の在籍ながらファンに大きなインパクトを残した。オフにはロッテが4年10億超の契約で引き留めを目指すとの報道もあったが、海外FA権を行使して、メジャー挑戦を決断。ベースの年俸が120万ドル(約1億2000万円)の2年契約をレッドソックスと結んだ。

「昨年の今頃を思うと信じられない。巨人時代はチーム内での信頼が得られていなかった。練習なども前向きには見えず口数も減った。周囲を寄せ付けない雰囲気でファームでは浮いていた。最近の映像で伝わってくるような明るい様子なんてなかった。気分屋のところがあるからメンタルの部分が大きかったのだろう。乗っている時はすごい投球をするから、このまま行って欲しい」(巨人担当記者)

「メジャー思考は強くなかった。保守的というか安定思考。巨人入団が決定した時は心から喜んでいたしホッとしてた。巨人のドラ1なら生活は一生安泰ですから。結果が出なくなり周囲からも批判され不安が大きかったんでしょう。周囲にあんな態度をする奴ではなかった。ロッテ移籍後くらいから吹っ切れたのでしょうね。ヒゲや長髪を見て笑っちゃいました。覚醒するかもとも思いましたよ」(大学時代のチームメイト)

 先輩・上原のYouTubeチャンネルにゲスト出演した際には、「『なんで俺がこんなところにいるんだ』と思ったら終わると思っていた」と三軍時代の苦しい胸の内を吐露していた澤村。飛び抜けたものがあってもメンタルが伴わなければ、パフォーマンスには生かせない。150キロを超えるストレートと140キロ台のスプリット。持っているものはメジャー水準にあったからこそ、環境が変化したことによって再び結果を残すことができているのだろう。

「メジャーで最も速いスプリットと評価されているのが嬉しいみたいです。承認欲求ではないが褒められて伸びるタイプ。ただし勝負はここから先です。ボストンはニューヨークなどと並び、ファンやメディアがうるさい街。優勝を狙える今年、打たれた時に逆風が吹くことも想像できる。その時に巨人時代の澤村に戻らないか? 米国仕様のまま乗り越えて行けるかが大事になる」(スポーツ新聞MLB担当記者)

 現地6月20日時点の成績は26試合に登板して、3勝0敗、4ホールド、防御率2.86。三振数は28回1/3の投球回に対し、37個と抜群の奪三振率をマークしている。ヒゲを蓄えた威圧感のある風貌に、“えげつない”変化をするスプリットを投げ込む姿は、既にメジャーリーグで何年もプレーしているかのような錯覚を覚える。上原と同じ背番号「19」を背負い、ボストンのマウンドで躍動している。

 日米で話題の中心となっている大谷翔平(エンゼルス)と、救援投手では報道量が異なるのは仕方がない。しかし澤村の活躍には地元ボストンの野球ファンが注目しており評価も高い。そして何よりレッドソックスには世界一になれる可能性がある。昨年は日本のプロ野球で三軍にいた男が、チームを世界一に導けるか……。これだけ痛快なサクセスストーリーはなかなか存在しない。








【おすすめ記事】「巨人が使わないならウチに欲しい」他球団が高評価する意外な伏兵とは?


このニュースに関するつぶやき

  • 巨人時代の後半には接戦に出てきたらファンから不安視されたりしたが、もともとは凄いピッチャーだし、活躍を願いたいね
    • イイネ!0
    • コメント 0件
  • まぁこの人には日本のチマチマした「土人野球」が合わなかったという事かも 良くも悪くもアメリカは豪快というかそちらを好むし どちらが上か下かという話でもないし
    • イイネ!8
    • コメント 5件

つぶやき一覧へ(29件)

ニュース設定