前田敦子や木下優樹菜と元夫の生き方が示す、新しい「元夫婦」の作法 【家族社会学者に聞いてみた】

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2021年06月21日 22:02  日刊サイゾー

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 近年は、別れた元夫婦の関係性も多様化しているようだ。例えば今年4月に離婚を発表した前田敦子は、元夫・勝地涼との間の一人息子に関して「今後も力を合わせて育てていきます」とコメントしている。

 また、木下優樹菜と藤本敏史も19年末に離婚をしていながら、現在も協力して子育てをしており、木下のInstagramに藤本が登場することもしばしば。離婚したようには見えない仲睦まじい様子から“偽装離婚”などと騒がれたこともあった。

 近年は離婚を経ても、子育てのパートナーとして良好な関係を築く元夫婦も目立っているようだ。家族の在り方が多様化するという意味で、これはポジティブな変化なのではないだろうか。家庭社会学者の兵庫教育大学大学院准教授・永田夏来氏に話を聞き、新しい家族の在り方について考えた。

「結婚がロマンティックなものではなくなった」から

──前田敦子や木下優樹菜のように、離婚後も協力して子育てをする夫婦は増えている印象があります。

永田夏来氏(以下、永田):統計的に確認できないので、増えたか減ったかという話はできないですが、昔からそういう方向で関係を継続する元夫婦はいたと思います。ただ、近年になってそういう在り方が世間的に受け入れられるようになってきたんでしょうね。

──なぜ、新しい夫婦関係の在り方が認められ始めたのでしょうか?

永田:90年代くらいまでは、一番大好きな人と運命的に出会って一生幸福に暮らすという、「ロマンティック・ラブ・イデオロギー」の延長から結婚することが社会的に当たり前で、理想的であるとされてきました。

 ですが、00年代以降に若い人たちの恋愛が活発になってくると、どんなに相手との恋愛が盛り上がっても必ずしも結婚するわけではないということを、みんなが経験的に知るようになってきました。すると、自分が一番大好きな人と結婚するのが幸せなんだという前提に立てなくなってきたんです。

 その結果、子育てのパートナーと、自分のときめきや性を含めたパートナーとを区別できるようになったんですね。そして、そんな夫婦関係に共感できる人も増えた。そこが新しい点でしょう。

──それを象徴しているのが、前田敦子や木下優樹菜の例ということですね。

永田:少し前だったら「ずうずうしい」と、ネガティブな捉えられ方をされていたかもしれません。でも世論が、離婚したあとも協力し合うって考え方もかっこいいよね、と肯定的に変化しているのも大きなポイントだと思います。

──多様性を認めることがクールであるという昨今の社会の空気感が、ここでもいい方向に働いているのかもしれませんね。協力して子育てを行う元夫婦以外にも、新しい元夫婦の形はどのようなものがありますか?

永田:先日最終回を迎えたドラマ『大豆田とわ子と3人の元夫』(フジテレビ系)は、新しい元夫婦のあり方を描いた作品でしたよね。松たか子さんが演じる主人公の女社長は、結婚と離婚を繰り返していて3人の元夫がいますが、なぜかその元夫同士が仲良しで。

 これまでの日本だったら、バツ3なんて恥ずかしい、離婚したあとの元夫なんて会いたくもないという前提が強かった。でも、『大豆田とわ子』は離婚が憎悪しか生まないわけではないし、消し去るべき汚点ではないという描き方をしています。そういうドラマが放送されていたことからも、社会が変わろうとしていることがうかがえますよね。

──このように新しい元夫婦の関係が認められることによって、どんな変化が想定されるかも教えてください。

永田:逆に聞こえるかもしれませんが、結婚が促進されるのではないでしょうか。90年代ごろまでの価値観の結婚だと、子育てを一緒にしていけて、かついつまでも性的な魅力を感じられる相手を選ばなくてはいけなかった。そうなるとなかなか大変なので、結婚へのハードルが結果的に高くなっていたと思います。

 けれど、離婚が必ずしも悪いことではないという考えが共有されると、子育てを一緒にしていくのにピッタリと思える相手と子どもを育て、それがひと段落したら次の人生を共に歩むパートナーを新たに探すというような選択肢ができてくる。

 つまり、一生添い遂げるという点にこだわらず、その都度人生を選べるようになるということです。結婚するときは結婚する、そのあとちょっと違うなと思ったら離婚も選択肢として入ってくる……というように、これまでの常識とは違う形でそのときの自分にとってベストな選択をできるような社会になるでしょうね。

 離婚もあり得るという考え方がもっと浸透していけば、一生添い遂げるという前提の結婚の価値が下がります。でも、人間関係が多様になるし、私は悪いことばかりではないと思います。結婚以外にも様々なパートナーシップを制度化している国では、結婚に縛られないカップルも多いんですよ。

──形式ばった結婚の価値が崩れ、良くも悪くも身軽な状態で人生を選択できるようになるということですね。でも、このような考え方が日本で完全に受け入れられるには、まだ時間がかかりそうな気もします。

永田:そうですね。確かに選択的夫婦別姓や同性婚の例を見ると、まだまだ社会が変わりつつある過程ではありますが、ありのままの自分を受け入れられる人も増えつつあると思います。経済的自立や子供への影響など課題は多いですが、これまで離婚歴があることに引け目を感じていた人や、自分の夫婦関係に疑問を持ち始めた人が、こんな生き方もありだと思えるようになっていけたらいいですね。

<取材・文=福永全体(A4studio)>

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